合理性 / 非合理性(分裂気質 / 循環気質、難動性 / 易動性とも)は4種類あるユングの二分法の1つであり、15種類あるレーニン二分法の1つでもあります。
ソシオニクスの合理性とは、「行動と感情に焦点を当てること」によって定義される知覚の性質です。
非合理性とは「心や身体の状態に焦点を当てること」によって定義される知覚の性質です。
合理性と非合理性の情報要素
精神機能を合理性 / 非合理性に分類した最初の人はユングです。
タイプ分類
α | β | |||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
ILE | SEI | ESE | LII | EIE | LSI | SLE | IEI | |
合理 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | ||||
非合理 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | ||||
γ | Δ | |||||||
SEE | ILI | LIE | ESI | LSE | EII | IEE | SLI | |
合理 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | ||||
非合理 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 |
各クアドラには、合理型の双対ペアと非合理型の双対ペアがそれぞれ1組ずつ存在します。
理論的性質
ソシオニクスの8つの情報要素のうち4つ(Te, Fe, Ti, Fi)が合理性であり、残る4つ(Se, Ne, Si, Ni)が非合理性です。
典型的な特徴
合理型
- 事前に計画をたて、早期に決断を下す傾向がある。
- 融通がきかず、頑固なことが多い。
- 一度下した決定を変更するのは好きではない。
- 始めたことは終わらせる傾向がある。
- 動作が堅苦しい。
- 「権威主義的」なリーダーシップスタイル [1]。
- ストレス耐性が低い。
非合理型
- 待ちの姿勢をとり、一貫性がない傾向がある。
- 多くの場合、柔軟性があって寛容。
- 決定を頻繁に変更する。
- 始めたことを終わらせないまま、別の新しいことを始める傾向がある。
- 動作が柔らかい。
- より「民主主義的」なリーダーシップスタイル。
- ストレス耐性が高い。
追加の解説と注釈
タイピングをする際は、「完全に合理的なタイプ」や「完全に非合理的なタイプ」というものは存在しないということに注意する必要があります。ソシオニクスの全てのタイプは合理性機能と非合理性機能の両方を持っており、両方の特性が混ざり合って表現されるからです。したがって、この二分法のどちらか片方の特徴だけに完璧に合致するというわけではありません。
この合理性 / 非合理性という二分法は、サブタイプの影響も受けます。例えば合理型であっても「非合理性機能」が強調されているサブタイプの場合 [2]、非合理的な特徴がより顕著になります。合理性機能が強調されている場合 [3] はこの逆のことが起きます。
このことは接触・不活性サブタイプが「接触」側である人のタイピングに混乱をもたらす可能性があります。
タイプが合理性か非合理性かというのは先導機能に基づいて決定されますが、創造機能が強く表れている人の場合、創造機能が先導機能を覆い隠してしまいます。そのため、実際には合理型なのに「非合理型だ」と誤診されたり、その逆のことが起きてしまいがちです。例えばFe-IEIである人が「合理型であるEIEだ」と診断されてしまったり、Ni-EIEが「非合理型であるIEIだ」と診断されてしまったりします(こうした誤解は、本人が自分自身のタイプについて考える際にも起こります)。
こうしたミスタイプを避けるために、タイピングの際は合理性 / 非合理性という二分法を単独で使用せず、他のタイプパラメータを考慮に入れることをお勧めします [4]。
合理性/非合理性とタイプ間関係
この二分法は、タイプ間の相互作用において特に重要な役割を果たします。
ソシオニクスの主な4つの二分法(いわゆる「ユングの二分法」)のうち、合理性/非合理性は、双対ペア [5] において共通している唯一のものです。
訳注
- ^ この出典では合理/非合理に紐づけられているが、合理/非合理ではなくベータ・クアドラの特徴として「権威主義的」およびそこから派生して「社会的ヒエラルキー(上下関係)が明確な状態を好む」とされる説もあれば、そうした特徴と関係するのはTiだという説、あるいは「貴族主義/民主主義」だという説がある(つまり諸説ある)。合理タイプで、ベータ・クアドラで、強力なTiを持つ貴族主義タイプのLSIにこういう傾向があるとするのは多くの専門家の間で共通しているが、二分法や機能単位で見た場合、どの要素とこれらの特徴を紐づけるかは現状曖昧と言わざるを得ない
- ^ 例:Ne-EII
- ^ 例:Fe-IEI
- ^ 合理性/非合理性の特徴との判別が難しい二分法として、他に「臨機応変/先見」「戦術/戦略」がある。これらの二分法をタイピングで使用するのは困難ではないかと思われる(諸説あるため)。
- ^ 双対ペアENTpとISFpは、p以外全ての文字が異なる。別の双対ペアESFjとINTjは、j以外の全ての文字が異なる。しかし、もしもpjも含めて4文字すべてが違う場合、例えばENTpとISFjなどの場合、衝突関係となってしまう。つまりソシオニクスの場合、4文字表記をした時「pjは同じ、他の3文字は違う」タイプ同士の相性は「良好」であり、「4文字全部違う」タイプ同士の相性は「悪い」ということになる(「相性」という言い方は、細かくいえば語弊があるかもしれないが)。