カリナウスカスの輪
Grigory Reininは、現在のソシオニクスで一般的なモデルAではなく、カリナウスカスの輪というモデルを使用している。そのため機能の配置がモデルAとは異なっている。
機能 #1 – 主観的倫理(Fi)
第1機能は、そのタイプにとっての自信の領域です。EIIの場合、ここに主観的倫理、すなわち他人に対する自分の態度(自分の気持ち、その人のことをどう思うか、好きか嫌いか)が配置されます。
EIIが認識する感情は非常に幅広く、色彩豊かでユニークです。このタイプの人々は、他のタイプよりも感情の領域に強い自信を持っています。
他のタイプには考えられないような感情の陰影やニュアンスを感じ取り、見分けることができます。
他のタイプ、例えばSLEの世界には、EIIの世界のようなキメ細かい概念など存在しません。EIIとSLEの世界はまるでパラレルワールドのようですが、この例に限らず、形式的な交流という狭い領域を除いて何の共通点もないパラレルワールドに住んでいるということはよくあることです。
機能 #-1 – 客観的倫理(Fe)
関係の無視
EIIは、この点ではESIと共通した性質を持っています。
もしも何らかの理由があって親密な人々の関係に特別な注意を払った場合、EIIはかなりクリアに捉えることができます。
しかし通常、EIIはこの領域を無視する傾向があるため、ほとんどの場合そうはなりません(時には人間不信の仮面をかぶり、意図的に注意を払わないでいることもあります)
これは予想外の問題を引き起こすこともあります。外の世界を空想の厚いベールで閉ざしたまま、内なる世界に全ての注意を向けてしまうかもしれません。
機能 #2 – 客観的直観(Ne)
外界の完全性、外的調和。
フョードル ドストエフスキー [1] は、どのように小説を書いていたのでしょうか。
まず最初に彼がしたことは、これから創り出す小説の構造を作り、非常に詳細な計画を書くことでした。これにはかなりの時間が必要だったようで、時には数か月かかることもあったようです。
その後二週間ほどで小説が書き上げられることになります。そこで小説の登場人物に命が吹き込まれると、最初の構造から物語がはみ出すことさえありました。
ここに、このタイプの創造的機能(客観的直観 Ne )が見られます。
ドストエフスキーは、自分の小説の登場人物たちに「自由に生きること」「自由に行動すること」を許しました。その結果、彼の作品の登場人物たちは、ただの人形ではなく、本物の人間のように振る舞ったのです。
おそらくこれが真の古典作家たる証であり、言い換えるなら、描かれた人物の自然な姿に対する「直観」の煌めきだといえるかもしれません。
ドストエフスキーは小説の中で「世界はなぜこれほどまでに調和がとれていないのか」を分析し、解明しようとしました。
「美しさは世界を救う」という古いことわざがソビエト・ロシアで流行したのも、ドストエフスキーの小説がきっかけです。外的調和を目指す創造機能を持つ人々が、作家や音楽家、芸術家になることが多いのは、ごく自然なことです。
機能 #-2 – 主観的直観(Ni)
第-2機能は、そのタイプにとっての規範・標準の領域にあたります。EIIの場合、ここにNi、すなわち内的世界の完全性(自分の内面の調和と平穏)が配置されています。
通常、EIIは2つか3つ程度の標準的な精神状態の中で生活しており、それ以上の精神状態のバリエーションは求めていません。
しかし時に、彼らは深い憂鬱に沈み込むこともあります。この状態もまた、EIIにとっては時々経験するなじみ深い状態です。
このような時のEIIは、外の世界から事実上切り離されてしまっており、周りで起こっていることをほとんど認識していません。
機能 #3 – 主観的感覚(Si)
第3機能は、自尊心に関わる領域です。EIIの場合、Siという情報要素が配置されています。したがって彼らの自尊心は、性的親密さの経験や健康状態などに基づいています。
このタイプの人々は、しばしば医師やセラピスト、精神科医としてのキャリアを積んでいます。自分の健康を非情に重視しており、多大な注意を払っています。他人の問題に取り組んだり、他人を助けることを通して、同時に自分自身の問題も解決します。
通常、EIIはネガティブな形で第3機能Siの防衛を行うため、病人じみて見えることが頻繁にあります。まるで末期の深刻な病気でも患っているかのように見えることさえありますが、それでも健康には積極的に気を配っています。充実した性生活が、自分に対する強い自信の支えになることがあります。
機能 #-3 –客観的感覚(Se)
第-3機能は、第3機能(Si)の領域直面した問題に対する解決方法を規定する機能です。EIIの場合ここにSeが配置されています。これはすなわち、EIIの問題が「外見や行動」の領域で解決されるということを意味します。
健康上の問題がある場合、EIIは具体的に何かしらの措置を取ろうとします。風邪を引くと、熱いハーブティーを作り、消毒薬の入ったうがい薬でうがいをし、体操を始めます。普段、医学とは何の関係もないような人であっても、健康にかかわる分野に精通していることは多いです。
機能 #4 – 客観的論理(Te)
第4機能は、暗示機能とも言います。あらゆるタイプは第4機能の領域からの暗示を受けやすいという性質を持っています。EIIの場合、ここに客観的論理(Te)が配置されているため、事実による暗示を受けやすいタイプだと言えます。「これが正しい事実だ」と提示された情報によって、他人から操作されてしまうことがあります。
「客観的な」データを見せて、「本当のことを教えてください」と求めるEIIを操るのは簡単なことです。
EIIなりの理解について、EII自身に説明してもらおうとしても、わかりにくい説明しか得られないことがしばしばあります。これは第-4機能という恐怖の領域の影響です。人は通常この領域に魅力を感じますが、この領域の活動で良い結果を得るのは難しいです。
このタイプの人々は、しばしば人生について自分なりの解釈を持っていますが、その解釈は他の人の解釈とは大いに異なることがあります。神秘主義や数秘術、あるいはその手の説明モデルに傾倒しているEIIは多いです。
機能 #-4 – 主観的論理 (Ti)
第-4機能は、恐れの領域です。そして主観的論理(Ti)とは、「自分なりの理解、自分なりの解釈」に関わる情報要素です。
EIIは、自分なりの理解を持つことを恐れています。そのせいでEIIの説明はどこか漠然としており、混乱しているように見えることがあります。
EIIには極端な二つの傾向が見られます。神秘主義への傾倒と、統計や客観的証拠というものに対する異常なまでの信頼です。
すべてを理解することへの無意識の恐れがあるため、しばしば未知のものを、曖昧なもので説明しようとします。
実践的な人ではありますが、「何かを説明するのが上手い」とは言い難いです。
有名人
- フョードル・ドストエフスキー
- ヴィンセント・ヴァン・ゴッホ
訳注
- ^ EIIはドストエフスキーというニックネームで呼ばれることがある。