ソシオニクスのEIE(ENFj)と、そのサブタイプFe-EIE、Ni-EIE
EIE
EIE (ハムレット)
EIE, ENFj (倫理的・直観的外向タイプ): メンター
外見
このタイプは、内面的にも外見的にも、全てのタイプの中で最も多種多様です。同じEIE同士でも相反する印象を受ける人さえいます。
EIEの瞳に現れる表情は千変万化です。視線をキョロキョロさせるわけではありませんが、若干どこを見ているのかわからないような目付きをしています。目は表情豊かで、内面的な感情の輝きや、時には憂鬱さを映しています。これは彼らの現在の内面状態が表れているというより、外からの影響を強く受けた結果として見せている反射のようなものです。
通常、身振りも豊富ですが、これはその時々の状況や役割に応じたものであることが多いです。EIEが外部の影響や状況に応じて行っている感情や表情の繊細な調整は、必ずしも彼らが意識的に「こうするべき」と考えてやっているわけではなく、もっと自然に行われていることが多いです。
中には警戒心から神経質そうな笑みを見せるEIEもいますが、ほとんどのEIEは普段、あまり笑みを浮かべず、真面目な表情をしていることが多いです。
歩き方は基本的に優雅で、毅然としており滑らかですが、それと同時にすぐ見てわかる程度に、ある種の固さが見られます [1]。マナーや体の動かし方は、印象的で、効果的で、貴族的にも見えます。一挙手一投足を計算して演出しているかのように見えるかもしれません [2]。そのEIEが優秀か、あるいは凡庸かに関わりなく、なんとなく演技っぽく見えることが多いです。
人物像
慎重で先見の明があります。感情的で、人を説得する力があります。自分のアイデアで人を魅了することができます。ロマンチックな人です。問題解決のために自ら立ち上がろうとする人に、思いやりを持って接します。芸術家的な面を見せたり、強い責任感を見せることもありますが、そのあたりは気分次第で変化します。
何度も失敗を繰り返しながら、非常に難しい問題に取り組むことがあります。疑いや躊躇いで頭がいっぱいになったり、時には不必要なほど出来事を脚色しようとすることがあるため、このタイプの人々には道徳的なサポートが必要です。
EIEは、心気症 [3]傾向が比較的強いタイプです。自尊心が高く、傷つきやすいところもあります。一度恨みを抱くと、たとえそうした恨みを抱くような状況から解放されたとしても、ずっとその恨みを忘れません。
批判に敏感で、人から褒められても裏があるのではないかと疑ってしまうほうです。全ての人を理解しようとしていますが、自分の意見や習慣を、他の人に合わせて変えることはあまりありません。
「複雑で予測不可能な性格の人」という印象を他者に与えます。妥協したがらないほうです。上手くいくかどうかがわからない状態が続くのは苦痛です。
危機的な状況に陥っても、エネルギー切れになることなく、奮起し続けることができます。他人の前では自分の感情が乱れないようにしていますが、常にそれができるわけではありません。
自分の芸術観やマナーに対する価値観・考え方を反映した、オリジナリティのある服装を選びます。神秘的で、未解明の現象に関するトピックに興味を抱きやすいです。
Fe-EIE
外見
このサブタイプの人々は、内面的にはかなり感情的ですが、少なくとも表面的には感情表現が控え目で大人しい人に見えます。ベラベラとお喋りな人でもありません(というより、この点でも控え目な人です)。良識に則りながら、聞き心地のいい声で話そうとします。
傷つきやすく、すぐに腹を立てます。心の中では激しい感情の嵐が渦巻いていることもありますが、他人からはそれを隠し、コントロールしようとします。内面的には緊張しやすく、神経質で、かなり自己愛的であるため、心の底からリラックスできることは滅多にありません。様々な不安を抱えており、常日頃それに悩まされていますが、これも表には出さないようにします。
外見的には、プライドが高くて近寄りがたい人という印象を与えることもあります。秘密主義的で、用心深く、先を見通すのが得意です。物事に取り組む際は、事前によく考えて臨みます。あまり自分に自信はありませんが、忍耐力があり、コツコツ努力し続けるだけの根性もあります。自分の目標を達成するためには何をすべきか、自分で理解できる人です。
他者に求める倫理的な行動規範が非常に厳しいです。もしも自分から見て誰かが正しくない行動をしているのを見ると、それを指摘したり、アドバイスしたくなってしまいます。
気分の浮き沈みが激しいです。冷たく、傲慢で、頑固で、人に対する要求が多い時もあれば、ソフトで、心がこもっていて、思いやりに満ちあふれている時、あるいは繊細で無防備になる時さえあります。自分の品位を高く保とうとします。
身体の動かし方は的確でスムーズですが、少し大げさで、わざとらしくみえる時もあります。控え目で品の良い服装を好みます。必要に応じてその服装を非常に効果的に演出することもできます。
人物像
人や出来事について、絶えず分析し続ける傾向があります。道徳的・倫理的な問題についてもよく考えています。人生全般における間違いや、特定の活動における間違いを避けるために、様々な現象に対する自分なりの理解や自分の世界観を他者に広めようとします。
先見の明があり、注意深い人です。差し迫る危機を察知し、どうやってそれを避ければいいのかを考えることができます。出来事をドラマチックに演出し、起こるかもしれない問題について他者に警鐘を鳴らす傾向があります。身近な人が間違った行動をとらないように注意し、保護しようとします。
積極的に他者を引っ張っていくタイプですが、それが行き過ぎて、少し威圧的な人だと受け取られることもあります。交際範囲が広く、温厚で親しみがあり、オープンで誠実ですが、それには限りがあります。
◆◆◆
出来事がどう進展していくか予想するのが得意ですが、焦って物事を前に進めるのはあまり好きではありません。決定を下す前に、かなり悩み、躊躇してしまう傾向があり、全ての長所と短所を比較しないと気が済みません。
急かされるのは嫌いです。他者からペースを押し付けられそうになっても無視します。会話する際は、細部に至るまで気を配っています。
◆◆◆
人と知り合いになる際は、自分から率先して行動することがよくあります。自分自身に恥じることのない、礼儀正しく真っ当な振る舞いをとることを重視しています。
馴れ合いは好まず、もっと敏感で、気配りがあり、慎重な関係性を求めています。自己愛的なところがあり、繊細で傷つきやすく、自分が受けた攻撃や侮辱を長い間忘れません。
個人的な資質や業績だけでなく、社会的な地位も尊重します [4]。
周囲の人々の動機を理解し、将来の行動を予測して、タイムリーなアドバイスを与えようとします。
本質的にはロマンチストで、理性よりも感情を優先させます。感情的で、自分の苦しみや感情を隠すのは苦手ですが、行動には慎重さが見られることが多いです。
抜本的な決断を下すためには、全てのことを慎重に検討しなければなりません。そうやって一度決断を下した後は、絶対に妥協しません。
自己暗示的な傾向が強く、自分の信念を捨てるくらいなら、敗北したほうがマシだと考えるタイプです。不信感を抱きやすく、懐疑的で、他人の行動に批判的です。
「言葉」に高い価値があることを認めてはいますが、具体的な愛情表現や実際的なサポートを好みます。外見には細心の注意を払っており、自分の外見や立ち居振る舞いに気を配っています。
◆◆◆
真面目な人としての自分の評判や権威を大切にします。きちんとした検証がなされていない情報には不信感を抱きます。間違いを恐れ、責任をなるべく他者と共有しようとします。勤勉で精力的です。仕事が与えられれば、真剣に取り組みます。
マルチタスクはあまり好きではありませんが [5]、これ以上遅らせることができないと思った時は、非常に多くのエネルギーと気力を使って、短時間のうちにかなり多くの量の仕事をこなすことができます。
普段、重要な問題に目を向けています。そういった問題から目をそらすのは、彼らにとっては難しいことです。自分のプロジェクトや仕事の重要点を疎かにしないようにするために、小さな仕事は他の人に任せようとします。仕事の細部に至るまで正確であり、中途半端な状態で投げ出しません。
日常生活において、美しさや、きちんと整理整頓されていることを追求します。身だしなみや言動には非常に注意を払っています。
◆◆◆
内面的なバランスを取るのが難しいです。そのため、鬱屈した気分になることが多いです。
危険に敏感で、疑り深く、プライドが高いです。人から観察されていたり、監視されている状態は嫌いなので、誰も見ていない時に家事をしたがる傾向があります。
自己批判力が強く、人から褒められても不信感を抱いてしまいます。自分の外見や行動に対する批判は痛烈に受け止めてしまいます。
Ni-EIE
外見
真面目で活動的、社交的な人という印象を与えるサブタイプです。独創的で、予測できず、創造的な人です。社交的で好奇心旺盛で、コミュニケーション能力が高いです。
かなり感情的で傷つきやすく、外部からの影響を受けやすい面もあります。内面的には張りつめていて、何かと迷ったり、揺れたりしやすいほうです。そのせいで行動が予測できないところがあります。時には怒りっぽくなったり、きつい発言をすることもあります。
非常に芸術的で、自分の感じたことを抑え込まず、簡単に、のびのびと表現できます。他者の機嫌を察するのが上手で、それを巧みに誘導できます。情緒的でインスピレーションに満ちた、時には哀愁さえも感じさせられるような話し方をすることができます。
かなり皮肉屋で批判的です。刺々しく傲慢になることがあります。精神的に充実している時は、どんなグループでも注目の的になることができます。十分に実務的なほうですが、自分に対する自信や自己肯定感は不十分です [6]。
服装の傾向は、その時々で変化します。少し変わっていて贅沢な服装をしている時もあれば、シンプルで控え目な服装をしている時もあります。体の動かし方は、衝動的で急ですが、あまりのびのびとしておらず、抑え気味に見えます。
人物像
優れた戦略家であり、チャンスに敏感で、行動を起こすのに相応しいタイミングを見抜くことができます。イベントを時間ごとに適切に配分することができます。
ビジネス上の有益な人脈作りを好みます。組織力があります。自分の能力を過大評価して [7]、自分の力量を超えているような、大きなプロジェクトや仕事に挑戦し始めることがあります。
一般的なパターンを評価し、重要な部分を選びだすことができますが、新しい問題に気を取られてしまって、主要な作業を先延ばしにしてしまうことがあります。
◆◆◆
感嘆や興奮、ささやかな皮肉から、相手をはっきりと批判するような皮肉に至るまで、様々な感情の色合いを表現しながら、インスピレーションに満ちた雄弁な語り手です。無意識のうちに空想に没頭していることがあり、ドラマチックでセンセーショナルな物語を人に話すこともあります。
ユーモアのセンスがあり、他人の声や振る舞いを真似るのが上手です。かなり人目を引く行動をとるほうで、注目の的になることが多いです。聴衆を魅了し、他者に鮮明な印象を与える術を心得ています。説得の才能もあります。自分のアイデアで人々を魅了し、リーダーになることができます。
◆◆◆
交際関係を広げる際の原動力は、人に対する興味です。このサブタイプの人々は、いつも人に対する興味が尽きません。そのため、後になってから失望してしまうような人との交流に多くの時間を費やしてしまうこともあります。
機嫌がいいときは愛想がよく、活発で、人をよく褒め、他人の能力を賞賛し、グループや組織の中心的存在となり、人々の問題解決に気軽に協力します。機嫌が悪い時は、物思いに耽り、陰気で、悲観的で、孤独を求めます。人に対する不信感が生まれつき強いほうです。懐疑的で、他者の行動に批判的です。「言葉」に高い価値があることを認めてはいますが、具体的な愛情表現や実際的なサポートを好みます。
◆◆◆
いつも内面的には感情的な緊張状態を感じています。定期的に、自分の中に蓄積した感情を吐き出す必要があります。
ルーチンを続けていると、活力が失われていきます。そこから抜け出すために、無謀な行動をとってしまい、後になって後悔することがあります。
行動に一貫性がなく、予測できないところがあります。極限状態では勇気と決断力を発揮できます。
◆◆◆
愛する人を理想化することが多く、愛する人のためなら様々な犠牲を払うことができます。自分の気持ちを美しく表現することができます。自分の失敗や失望は、非常に敏感に感じ取っています。
自分の頭で考え、判断する力があります。そのため、他の皆から批判されているような人であっても、擁護することが少なくありません。
かなり断言的な発言をします。リベラリズムは、社会秩序という意味では役に立たないものだという考えを持っています。悪を許しません。不当な扱いを受けている人を擁護する際、あるいは自分の考えを擁護する際は、権威に囚われずに擁護します。
◆◆◆
せっかちで、待つのは苦手です。不透明な状況には圧倒されてしまいます。規律や厳しい管理は、抑圧的に感じます。創造の自由があることを好みます。
人が持つ無限の力を信じており、自分の能力を発揮できることが好きです。神話やオカルト、物珍しい不思議な現象に興味を持ちやすく、迷信深いところがあるかもしれません。
病気になることを恐れていますが、きちんと計画立てて健康管理することは出来ません。心気症の傾向があります。自分の健康や外見に関する話題には消極的です。
服装の傾向は様々です。厳格でエレガントな服装もあれば、華々しく贅沢に着飾っていることもあります。カジュアルで無造作な服装のことさえあります。しかしいずれにせよ、センスの良さや品の良さを感じられる服装を心がけています。余計なものは好みません。
訳注
- ^ 二分法「合理」
- ^ EIEは、演説が非常にうまかったり、大衆を扇動するのが上手い政治家がタイプされることが多い。例えばヒトラーなど。
参考:https://wikisocion.github.io/en/index.php@title=Adolf_Hitler.html - ^ 心気症:肉体的には異常がないはずなのに、身体的不調に悩まされること。
- ^ ベータ・クアドラ的な特徴。
- ^ 二分法「プロセス」
- ^ 第3機能 Te。
- ^ 第3機能 Te。別の個所の説明では、「十分に実務的なほうですが、自分に対する自信や自己肯定感は不十分です」とあるが、つまるところ、自分の実務面での力量を正当に評価する力があまりないせいで、時には過大評価したり、時には過小評価したりということが起こるのではないかと思われる。