ソシオニクスのLII(INTj)と、そのサブタイプTi-LII、Ne-LII
LII
LII (ロベスピエール [1])
LII, INTj (論理的・直観的内向タイプ): 分析家
外見
LIIの視線は思慮深く、冷たく、距離を感じさせられるものです。会話相手の上に視線が止まると、そのままじっと固定され、注意深くなります。まばたきもせず凝視して相手を観察することもあります。
会話していると、かすかに柔らかさを見せたり、怒りを見せたり、陽気さを見せたり、夢を見ているような様子を見せることがありますが、ほとんどの場合表情が乏しく、何を考えているのか分かりません。めったに笑いませんし、反応するのも特定の物事に限られています。
通常かなり抑制的です。礼儀正しく見せようとして、少し不自然な笑みを無理やり浮かべることがあります。本気で笑うことは滅多にありません。また笑い方自体もおかしく、痙攣しているような笑い方をしたり、声だけ消音されているような笑い方をしたり、悲鳴を上げているような笑い方をします。
顔の表情は無表情なことが多いですが、まれに強い感情のせいで興奮して、目がギラギラすることがあります。
歩き方は軽快で、背筋を伸ばして歩きますが、明らかに何かに拘束されているような一種のぎこちなさを感じさせられます。肩がこわばって見えることもあります。
身体の動かし方には自信がなさそうで、少し遅く、慎重さが感じられます。
体型はスマートで、禁欲的なことが多いです。抑圧された感情が、無意識のうちに神経質そうで散漫な身振りとして表現されることが多いです。
誰に対しても適切な態度で接しますが、しばしば無口で、他人との距離を縮めず、一定の距離を保とうとします。
人物像
優れた分析的思考力を持ち、巧みに論理展開できます。二次的なことは後回しにして、本当に重要なことを取捨選択し、それに集中できます。
決められた時間内に全ての予定を終わらせることができるよう、巧みに段取りできます。一度に複数のことをするのは好きではありません。どうでもいい雑談や急な来客が嫌いです。
さまざまな構造や分類に興味を持ちます。真新しいアイデアにはまず不信感を抱く方ですが、信用した場合は一貫性を持って支持します。目的意識が強く、粘り強いです。義務は必ず果たします。
命令や統制に鈍感で、自分が独立できている状態を好みます。このタイプの人に何かを押し付けることは難しく、納得させるのも簡単ではありません。
自分の気持ちをあまり表現せず、気持ちのままに行動することも稀です [2]。官僚主義は時間と労力の無駄だと考えており、事務書類と印鑑をもってあちこちの部署や上司の間を右往左往しなければならないような仕事が嫌いです。
物欲はあまりなく、食へのこだわりも薄いです。好きではありませんが、家庭内の問題には取り組もうとします。
個人的な問題について他人にあれこれ話すのは嫌いです。コミュニケーション時の感情表現は抑制的です。人に忠実で、他者の欠点には寛容です。
Ti-LII
外見
このサブタイプは、冷静で真面目で自己完結していることが多いです。しばしば断定的で妥協のない判断を下し、反論の余地を残しません。
興味のない会話を聞いている時は、無言のまま、厳しそうな態度で相手をじっと見つめます。自分に対する礼儀のない人はぞんざいに扱います。
余計な感情は排して、自分の考えを明瞭かつ簡潔に説明できます。長々とした議論や雑談は好みません。思索と考察に多くの時間を費やし、様々な現象、数値、事実を分析し、比較します。
意志の強そうな人に見えるかもしれません。唇は固く閉じられていることが多いです。話し方は正確ですが唐突です。声のイントネーションは単調です。
感情の波がなく、バランスが取れています。表情が凍り付いたようになることがありますが、こういう時には意図せず表情筋が動いて、内なる感情を垣間見せることもあります。
人物像
論理的傾向の強い分析的思考能力を持っており、システム、スキーム、分類、構造などに精通しています。主要な構成要素を特定し、二次的な性質のものは全て切り捨てます。
特殊な事例や個別事例を一般化するのが好きです。自分の目で確かめられるまでは、新しいアイデアには疑ってかかりますが、もしも自分で確認できた場合は、そのアイデアを熱心に支持するようになります。
あらゆるプロジェクトの見通しや可能性、機会を現実的に評価します。個人的な興味や人間関係よりも、ビジネスを優先します。仕事のためなら、自分の都合や快適さを無視できます。
公正性と合理的秩序を非常に重視します。
普段は礼儀正しく、きちんとしていて、真面目な人です。行動は非常にストレートで、人間関係での柔軟性や外交的な対応力には欠けます [3]。
感情や愛情はかなり安定しています。突然の来客や電話は嫌いです。あまり馴染みのない人とは積極的に関わろうとしません。友達は少なく、交友関係が「職場の同僚」や「気の合う数人の仲間」だけに限られることもあります。
他者が自分のことをどう思っていて、どう関わりたいと思っているのかを読み取るのが苦手なせいで、かなり遠慮のあるコミュニケーションをしがちです。
厳格そうな仮面をかぶることで、自分の感受性の強さを隠しています。他者の同情を買おうとはしません。
自分の興味のある話題に関わりのある会話は楽しみますが、どうでもいい話題は時間の無駄なので避けたがります。もしそういう話題を聞かされても、適当に流してしまったり、バッサリ終わらせてしまったりすることでしょう。
褒め言葉や、押しつけがましいアドバイスを言われたり、自分の身の回りに過剰な注目が集まることは好みませんが、心の底では自分の活動に対する肯定的な評価を求めています。
◆◆◆
目的意識が高く、目的を達成するために粘り強く努力します。必要であれば自分から進んで行動するほうです。
勤勉で几帳面に仕事をこなします。面白味のない仕事であっても、必要なことであれば自分から進んで行います。一度に複数のことをするのは嫌いです(特に急いでいる時ほど嫌がります)。
約束はきちんと守ります。人の良心や個人の責任感に訴えかけるのではなく、管理的な手法に裏打ちされた秩序と規律を支持します。人が何かを選択したら、その人はその時点でそれに対する責任を担わなければならないという考えを持っています。
自分の利益を追いかけるような行為はあまり好きではありませんが、必要であれば、断固とした態度で妥協せずに自分の意見を主張します。命令されるのは苦手です。
他人から高圧的な態度を取られた場合は、冷静に対処します。強く批判されたら、激しく言い返すこともあります。強引な手段に訴えるのは稀です。他の手段に失敗して、それしか取れる手段がないという場合に限られます。
◆◆◆
不必要な混雑を避けるために、自分の活動を計画立てて、その通りに行動できます。穏やかで慎重な生き方を好みます。
良いパフォーマンスを発揮するために、健康には気を配っています。必要最低限のもので満足します。そこまで快適さを求めず、過剰さを嫌います。
親しい人には気を配る方ですが、家庭内で問題があってもあまり積極的に対処したりはしません。家庭よりも仕事と趣味に時間を費やしたがります。
Ne-LII
外見
このサブタイプのコミュニケーションは少し控え目で、穏やかな印象を受けます [4]。会話では、控え目で気配りができます。
アドバイスをしたり、自分の知識や結論で感銘を与えることで、相手に好かれようとします。こういう時は、真面目な態度や目付きが和らいで、好意的な態度がにじみます。
断定的で絶対的な物言いはしませんが、行動は頑固で妥協したがりません。黙って議論から去ってしまうこともありますが、自分の意見は曲げません。
普段はそれほどでもありませんが、極度の緊張状態に置かれると、声のイントネーションや衝動的な身振り手振りの中に感情が表出するようになります。
歩き方は穏やかで調和的です。猫背気味で、あまり目立たないようにしていることが多いです。体の動かし方は少し不確かで鈍いです。
あまり身振り手振りはしないほうですが、無意識のうちに衝動的で不器用な形でそういったことをしてみせる時はあります。
人物像
さまざまな現象やプロセスを分析するのが好きです。新しいもの、珍しいもの、それから特に自分の興味のある分野であれば、何にでも興味を持ちます。
想像力が豊かで、自分の仕事に創造性の要素を取り入れようとします。新しいアイデアや構想が秘める可能性を感じ取ることができます。また、新しいアイデアを積極的に開発し、実用化しようとします。
特定のテーマについて深く分析することができ、隣接する分野にも興味を示します。仕事のパフォーマンスは安定していますが、ルーチンにはすぐ飽きてしまうため、新鮮な感動や変化を必要としています。
◆◆◆
議論には熱中するほうで、アイデアを通して他者にインスピレーションを与えることができます。自分の基本的な原則に関わる議論では妥協しませんが、他者の弱点や自分とは異なる視点への寛容さを身に着けようと努力します。
通常、会話相手の話を聞き、有益な方向へ向かうよう促すことができます。他者の能力を評価し、適切に応用することもできます。
このサブタイプの中には、簡潔で明瞭な資料を通して、聞き手に上手に情報を伝えることのできる優れた講師や発信者もいます。
◆◆◆
控え目で、それなりに愛想が良く、礼儀正しくて気性も穏やかな人ですが、人付き合いをしているとすぐに疲れてしまうため、誰かと親しくなることはほとんどありません。
特定の人物に興味を持った場合は、知的接触を図り、アイデアや新しい提案で興味を惹きつけることで [5]、その人物に好かれようとします。私的な交流をあまり好まず、自分のプライベートの話もほとんどしません。自分の感情を、ビジネスや自分の個人的な原則・主義主張よりも優先させることはありません。
他者との関係では控えめで不信感があるほうですが、相手の気持ちに応え、相手の問題に関心を示す傾向があります。
「活動的で活発で、強い意志の力を持った人」のサポートを求めています。またこうした人が抱える仕事上の問題を、彼ら自身がサポートする力も持っています。「自分の活力を高めてくれるような、感情豊かで楽観的なパートナー」を必要としています。
しかし、少しでも自分の独立性を損なわれると、自分の中に引きこもり、自分の主義主張に固執して、相手との関係を断ち切ろうとします。「あまり強引ではなく、ソフトな形で説得できる人」以外の言うことは聞きません。
◆◆◆
官僚的なシステムやルールを非常に嫌います。こういったものは、人の持つ可能性を伸ばすには邪魔にしかならないものだと考えています。
仕事において重要なのは、義務感ではなく、プロジェクトに対する興味やプロジェクトがもたらす利害だと信じています。
自分の独立性を重視していますが、同時に、規律正しく、時間に正確で、良心的な人でもあります。自分で計画を立て、その通りに行動します。通常、イベントに遅刻せず、決められた時間に間に合わせます。
◆◆◆
時には判断があまりにも断定的になったり、異なる視点に不寛容になったりすることもあります。
新しい事実や状況の変化があっても、自分の信念や結論、習慣、方向性を劇的に変化させることはありません。自分のこれまでの考え方を見直したり、変えたりするのはかなり難しく、時には無意味な頑固さを見せることもあります。プライドが高いため、自分の間違いを素直に認めるのも苦手かもしれません。
こうしたことをまとめると、このサブタイプの人々は「とても付き合いやすい人」とは言い難いです。そしてこのせいで人生において様々な対人関係の問題に直面することになります。
内面的には強い失望を感じることはありますが、他人からの敬意を失ったり、状況をコントロールできなくなることを恐れて、喧嘩は避けようとします。疑り深く不信感が強いほうですが、それを表には出しません。
感情表現が乏しいほうですが、機嫌がいい時はユーモアで会話を盛り上げます。
◆◆◆
日々の生活や家庭内の物事にはあまりこだわりがなく、従順です。
家事やその他の雑務をどうしても自分でしなければならない場合は、なるべく先送りしようとします。
官僚主義的なシステムや、様々な部署の間で折衝したり、書類作成しなければならないような仕事は嫌いです。たとえそういった物事を疎かにすると自分のプロジェクトにマイナスの影響を及ぼすことがわかっていたとしても、なかなか自分からそういったことをしようとはしません。こうした場合、自分でなんとかするよりは、他人の手を借りようとします。
あまり十分に健康管理ができているほうではありませんが、その重要性自体は理解しています。病気の治療では一貫性や徹底性が欠けています。
それなりに人に見せられる容姿を保つために、最新の流行や一般的なスタイルの情報は得ようと努力しています [6]。
訳注
- ^ マクシミリアン・ロベスピエール:フランス革命時代の政治家。自由・平等・博愛を重んじる。恐怖政治を行った独裁者という評価がある。
- ^ 暗示機能がFeであるLIIは、感情表現自体は乏しいものの、「豊かな感情表現」そのものは嫌いではないし、それが出来る人といると気分が向上する。それに対して脆弱機能がFeであるILIは悪い感情だけではなく、良い感情・明るい感情も含めて、感情表現自体に苦痛やストレスを感じる。
^ 役割機能がFi。主観的には苦手に感じない(むしろ「自分は人間関係における常識はよく理解しているほうだ」と感じたり、人間関係が苦手だと言われて「そんなことない」と反論したくなるLIIや、自分をEII(先導機能がFiのタイプ)だと思っているLIIも多いかもしれない。
一般的に、人は自分の先導機能を批判されても平然としているが、役割機能への批判には過敏な反応を見せることが多いため、LIIはTiへの批判よりもFiへの批判に過敏な反応を見せ、EIIはその逆にFiへの批判よりもTiへの批判に過敏な反応を見せる可能性がある。
- ^ Ne-LIIは接触サブタイプであるため、Ne,Fi,Fe,Niを相対的に好む影響。
- ^ 創造機能がNe。創造機能の機能二分法は生成+接触である。容易かつ自然に他者に共有して、他者を助ける性質がある。また、他者から見た場合に最も強く見える機能がこれである。
^ 動員機能がSiであるため、ある程度は義務的に気を配る(少しなら楽しめもするが、あまりにもそうした情報にばかり触れているとうんざりしてくる)。これはEIIにも同様の傾向があると思われる。
そんなLIIと比較すると、暗示機能にSiを持つILEやIEEはファッション情報などをかなり積極的に楽しんで収集し、それに盲従する可能性がある。暗示機能は機能二分法が受容+接触であるが、この組み合わせは吸収的と呼ばれるほど情報を吸収することに貪欲であり、しかも外部の権威に弱い。