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モデルAにおける情報代謝のメカニズム
モデルAにおける情報代謝の形成
情報代謝のブロックから情報代謝のリングが形成されます。ただし本章では、情報代謝のリングは情報代謝の要素から形成されるというだけに留めておきたいと思います。さらに、一方のリング(静的リング)は静的要素から形成され、もう一方のリング(動的リング)は動的要素から形成されます。静的リングが果たす役割は、周囲の世界の静的現象の反映であり、動的リングが果たす役割は、世界の動的要素の反映です。つまり実質的にいえば、情報代謝のリングとは、物質的現実(material reality)に同時に存在する静的・動的な2つの側面の反映だと言えます。ロジャー・スペリー(Roger Sperry)の研究を含む脳の非対称性に関する研究の数々は、静的リングと動的リングはそれぞれ異なる大脳半球に位置していることを示唆していると筆者らは考えています。帰納的思考は静的リングに固有のものであり、演繹的思考は動的リングに固有のものです。個々人の精神によって、一方のリングはもう一方のリングよりも能動的で意識的であり、もう一方のリングはより受動的で、意識されていないものです。
情報代謝のリングでは、情報代謝の要素はエネルギーインパルスによって接続されます。このインパルスには「+」と「-」の2つの方向があります。これらは一つの情報代謝の要素から別の要素への情報転送の二つの方向です。このため図4において、情報代謝の要素を接続する矢印は双方向で描かれます。
「エネルギーインパルス」とは、情報を受け取った結果として生じる精神の変化のことです。情報の受信は、エネルギーの誘発であると見なすべきかもしれません。
図5は、図4のモデルをさらに拡張したものです。モデル1では、静的リングの情報の方向には「+」記号があり、動的リングの方向には「-」記号があります。逆にモデル2では、静的リングの情報の方向には「-」記号があり、動的リングの方向には「+」記号があります。情報代謝のメカニズム自体は、その形において誘導的に接続されたリングと類似しています。
モデル1とモデル2では、同種の要素が鏡写しに配置されている点に注意してください。例えばFiとFeが、NeとNiが、対称の位置に配置されています。このモデルは「反対称」です。
モデル1とモデル2はどちらも一般化されており、それぞれが情報代謝の8つの具体的なモデルを形成する出発点となります。モデル1を例にとって、どのようにして形成されるかを見てみることにしましょう。
すでにご存じの通り、情報代謝の要素はブロックされています。このブロックは受容的、または生成的のいずれかです。さらに循環タイプ(非合理タイプ)のブロックの受容要素は常に非合理性であり、分裂タイプ(合理タイプ)のブロックの受容要素は常に合理性です。これに基づいて、モデル1から二つのモデルを導き出すことができます:循環タイプ(非合理タイプ)のモデル1-1と、分裂タイプ(合理タイプ)のモデル1-2です。なお、受容要素は情報を認識する要素であるため、外部からの矢印で示しています。
人の循環タイプ(非合理タイプ)または分裂性(合理タイプ)は先天的なものです。筆者らのデータによると、循環タイプ(非合理タイプ)の脳の右半球は静的であり、左半球は動的です。分裂タイプ(合理タイプ)の場合はその逆です。
受容要素は各モデルの両方のリング間で同じ要素であることに留意すべきです。一方のリングが外向的なブロックで構成されている場合、もう一方のリングは内向的なブロックで構成されています [1]。
各リングでは、1 つのブロックが「意志的」ブロックの役割を果たし、もう一方のブロックは「暗示的」ブロックの役割を果たします [2]。外側のブロックはペアの要素から形成されます [3]。これらのブロックの1つはモデルの上部に、もう1つはモデルの下部に配置されます [4]。中央部分のブロック [5]もペアの要素から形成されています。このブロックは、外側のブロックの間に配置されます。これに基づいて、モデル1-1は2つに分けることができます。
このセクションの冒頭で述べたように、情報代謝モデルは、一方のリングを能動的、もう一方を受動的と呼ぶことができます(どちらが能動的リングで、どちらが受動的リングかはタイプによって異なります)。これに基づいて、モデル1-1-1から二つのモデルAを導き出すことができます:一方では静的リングが能動的であり、もう一方では動的リングが能動的です。受動的なリングを下部に配置します:
これらのモデルAは、相互に補完し合う双対的な心理タイプ [6]に基づいたモデルです。このうちの一つは外向的で、もう一つは内向的です。このようにして図4に示す一般化されたモデルAから、16種類のタイプを導き出すことができます。
筆者らの仮説によると、外向タイプの場合、情報代謝の能動的なリングは右半球にあり、内向タイプの場合、左半球にあります。これは人の顔の非対称性においてよく表れます。
モデルAは、厳密なルールに従って4つの情報代謝のブロックから形成されます。16種類の情報代謝ブロックがあります。各ブロックについて、1番目のブロックとなるのは1つのタイプ(つまり1つの情報代謝モデル)だけです。同様に2番目のブロックとなるのも1つのタイプだけであり、3番目、4番目についても同じことが言えます。つまり、あるブロックがモデルのどこに配置されているのか、あるいはどの機能を果たしているのかさえ判明すれば、モデル全体を再構築することができます [7]。
最初の2つのブロック(能動リング)は、静的/動的および外向/内向という点において、同じ二分法を共有しています [8]。これは残る2つのブロック(受動リング)同士のにも当てはまります。この二分法(静的/動的と外向/内向)において、能動リングと受動リングはちょうど逆になります [9]。この4つのブロックは、二分法の合理/非合理が共通しています。そのため、あるタイプの情報代謝を示そうとする場合、最初の情報代謝のブロックに対応する記号を書くだけで十分です。図8は2種類のタイプ(NeTiとSiFe)の完全なモデルAを表しています。このタイプラベリング方法では、先頭のリングの符号も考慮します。
モデルAにおける情報代謝リングの相互作用
情報代謝リングは、受容要素を通じて受け取った情報で「チャージ」されます。理想的には全てのリングが同じ強度でチャージされます。この時、生体のエネルギー代謝の全てのリングが同じ強度で「チャージ」されるため、生体の情報代謝とエネルギー代謝の間に摩擦は生じません。しかしこれは、受動リングが他者によって「チャージ」され、その時の強度が、個人が自らの能動リングを「チャージ」したときと同程度であるという、完璧に理想的な条件下でのみ言えることです。これは、以降の記事を読み進めるうえで、重要な点であることを示しています。
モデルAでは、一つのリングが符号「+」、もう一つのリングが符号「-」を持ちます。これは、互いにエネルギーを誘導し合っていることを意味するのでしょうか。これについてわかっていることは、次の点だけです。受動リングが最初に情報を受け取ると、言い換えると最初に「チャージ」されると、人は力とエネルギーの急増を感じ、能動リングに必要な情報を簡単に見つけ出すことができるという点です。こうした人は能動的でありながら冷静で、たいていは他の人から肯定的な模範として評価されます。
しかし受動リングが特定のプログラムを受け取らない場合、状況は悪化します。人には能動リングによって受け取った情報を現実化させようとする性質があり、その現実化のために、能動リングが受動リングの活動を引き起こすことがあります。この誘導に伴って、人は不安を感じます。外向タイプの場合、この不安は実際の状況を無視して行動を起こす原因になります。内向タイプの場合、状況を無視して何もしない原因になります。このように、人が状況を無視してしまう理由は、状況を見ておらず、状況を理解できていないからです。
モデルAにおける双対タイプ間の情報代謝の相互作用
双対タイプの情報代謝モデルは、ある意味では正反対のモデルだといえます。なぜなら一方の能動リングにある要素が、もう一方の受動リングにあるからです。
このようなモデルの相互作用の研究は、図9に示したものと一致しています。能動リング [10]は、双対の受動リング [11]に意識的な情報を提供します。これにより両者の最適な社会的実現に繋がり、活力が増大します。双対タイプを観察すると、お互いを活性化させるというより、活動のラインを相互に調整しているように見受けられます。このラインの調整によって、外向タイプのエネルギーには明確にバランスがもたらされ、内向タイプの活動がよりオープンなものになります。一方の静的な能動リング [12]が、他方の静的な受動リング [13]に提供する情報は、後者が周囲のオブジェクトの世界をナビゲートするのに役立ちます。また、後者の動的な能動リング [14]が、前者の動的な受動リング [15]に提供する情報は、特定の行動や感情(emotions)がどのような感情(feelings)に繋がるのかを前者が理解する上で役立ちます。
双対がいない場合、図9に示す外向タイプは無思慮に、無秩序に行動し、必要な肯定的感情の充足を得られません。このせいで活動にムラが生じ、気分(mood)は不安定になり、自分が何をすべきか、何に没頭すべきかがわからない「ダウンタイム」が長期化してしまいます。双対がいない外向タイプのほうが、双対のいる外向タイプよりも能動的に見えるかもしれませんが、実際にはそうではありません。バランスを欠いた前者は、他の静的タイプと同様に、身体活動や内部の「感情的(emotional)」活動が不足していることが多いです。そのうえ自分の健康状態を評価することにも難が生じます。彼らは自分の健康に害を及ぼすものが何であるのか、影響を及ぼすものが何であるのか、よくわかっていません。このため、身体の不調、特に消化器系の不調が、不治の慢性疾患に繋がってしまいます。
双対がいない場合、図9の内向タイプは、自分の身体的・精神的な潜在能力を正しく評価できません。自分と他の人を比較することができず、自分ができることは他人にもできると当たり前のように思い込んでしまいます。また他人を評価する方法も知らないため、あちこちに当てもなく顔を出しては、人間関係を増やしてしまいます。双対とペアになっていない内向タイプは、身体活動が不足しているとは言えませんが、目標達成に役立たない無駄な活動に煩わされがちです。双対タイプがいなければ解消できないような絶え間ない緊張に苛まれ、そのせいで慢性疾患、特に心臓や腎臓の病気にかかるリスクが増します。後ほど、異なる情報代謝タイプに共通する慢性疾患と、情報代謝モデル内の異なる要素の位置の関係について触れたいと思います。
モデルAから見た活性化関係の相互作用
図10が示すように、全てのタイプには活性化関係となる別のタイプが存在します。
活性化関係の情報代謝モデルと、双対関係の情報代謝のモデルを比較すると、その主な違いが、同一リング内のエネルギーインパルスの方向性にあることがわかります。双対関係の動的リング [16]には符号「-」があり、活性化関係の動的リング [17]には符号「+」があります。
この違いは何をもたらすのでしょうか。それはまさに活性化をもたらします。すべての観察がこれを裏付けています。通常、活性化の効果は、全くの初対面の人同士の最初の相互作用中において、最も顕著です。一方の能動リングは、他方の受動リングに情報を提供するのではなく、エネルギーを誘導しているように見受けられます。
16種類のモデルA情報代謝
図11に全ての情報代謝モデルを示します。このモデルは静的リングの符号に従ってグループ化されています。これがモデルの社会的情報代謝リングにおける位置を決定します。このリングについては、モノグラフの序論部分ですでに説明しました。ここでは、社会的情報代謝リング、つまり社会的進歩リングは、監督関係のリングから形成されていることを思い出していただくことに留めておきます。新しい社会的経験、つまりその社会にとって質的に新しい情報は、社会的進歩リングを通じて、一方向のみに流れながら伝達されていきます。4つの監督リングは、社会的誘導リング、つまり単に「社会的進歩リング」であるソシオンを形成します。リング間の誘導的なつながりは、社会の発展が物理法則に似た法則に従うという考えを示唆しています。また、これらの法則がどのように現れるかを知ることで、この発展を意識的に加速または減速できることも示唆しています。この問題については、以前のモノグラフ「タイプ間関係の理論」でより広範に、順を追って検討しています。
図11では、各タイプのモデルAを監督関係に基づく順番で配置しています。また、双対関係のモデルは、外向タイプが上部、内向タイプが下部と、垂直に配置されています。各モデルには、双対の番号が静的(S; static)または動的(D; dynamic)の記号と共に割り当てられています。
ソシオン
ここで、もう一度、社会進歩リングの図を、以前示したものよりも詳細に示します。図12では、異なる情報代謝タイプがどのようにして社会的情報代謝リングに統合されるかだけでなく、誰が誰の要求者(要求関係における要求する側のタイプ)であり、誰が誰の監督者(監督関係における監督する側のタイプ)であるかも示しています。
双対関係となるタイプ同士は隣り合わせに配置されています。実線の矢印は監督者から被監督者への関係を示しており、破線の矢印は要求者から被要求者への関係を示しています。
図12は社会的情報代謝リングの主導的な役割を担っているのが監督関係であること、この関係は不快であり、被監督者は、危険で横柄な監督者から距離をとろうとすることを示しています。監督関係は監督者にとっても不快なものですが、ほとんどの場合、その不快さは被監督者の過敏さに起因するものです。
監督関係の作用の結果、一方の双対ペアは、もう一方の双対ペアから距離を置いたり、あるいは「避ける」ようになります。これによって社会的要求を、要求者から被要求者へと伝達するために最適な条件が作り出されます。もしも監督関係が欠けている場合、この最適な距離を維持できなくなるため、要求者と被要求者の情報代謝メカニズムは、何らかの形でお互いを引き付け合います。その結果、社会的要求の実現が不可能になるだけではなく、双対ペア間、特に個人の正常な機能にも不備が生じます。これはおそらくモデルAの構造的特性によって説明されます。例えば要求者が被要求者を引き付ける特別な能力は、要求者の能動リングが、被要求者の双対関係にあたるタイプが持つ能動リングと非常に似ており、わずかに一歩先を行っているためだと説明できるかもしれません。
図12の実線矢印は監督者から被監督者への関係を示し、破線矢印は要求者から被要求者への関係を示しています。
各社会的進歩リングは、2つの社会的監督リングに分解できます。この際、各タイプの情報代謝ラベルを、双対の要素一つだけに簡易化すると、社会的監督リングが、モデルAのメカニズムの構造をどのように再現しているのかを視覚的に確認しやすくなります。モデルAの能動リングの符号が指定されていれば、2番目の要素を示す必要はなく、インパルスの方向を示すだけで十分です。
「+」と「-」、言い換えれば、任意の様々なタイプの情報代謝モデルと社会の情報代謝モデルにおけるエネルギーインパルスの方向には、様々な組み合わせがあります。これは受信および送信される情報の方向を示しています。図13は超自我関係を示しています。超自我関係は、社会的監督リングでちょうど反対側に配置されているタイプ同士の組み合わせで形成されています(例: +Ne と +Se、+Fi と +Ti)。
プラス - マイナス
外部からの情報信号の受信と送信の2つの方向(「+」と「-」)は、情報代謝モデル形成の全段階で非常に絡み合っています。これは東洋哲学の陰陽思想を連想させます。
- モデルAでは、一方のリングが「+」で、もう一方のリングが「-」です。
- 双対ペアでは、一方のタイプの情報代謝が「+」で、もう一方が「-」です。
- 社会的進歩の各リングでは、一方の社会的監督リングが「+」で、もう一方が「-」です。
東洋医学の伝統に従えば、情報代謝の各要素の背後には2つの経絡があり、一方の経絡が「+」で、もう一方が「-」であるという事実を付け加えておかなければならないでしょう。次に示す数理パターンは興味深いものです。
- 2個の情報要素 = 情報代謝のブロック
- 4個の情報要素 = 情報代謝のモデルAのリング
- 8個の情報要素 = 情報代謝のモデルA
- 16個の情報要素 = 双対ペア
- 32個の情報要素 = ブロッキング、つまり社会的進歩リングの同一軸上に存在する2つの双対ペア
- 64個の情報要素 = 2つのブロッキング、または4つの双対ペア - 社会的情報代謝リング
- 128個の情報要素 =2つの社会的情報代謝リング - 社会的情報代謝のコイル
分裂性(合理性)と循環性(非合理性)
情報代謝のタイプによっては、大脳の右半球に静的リングが、左半球に動的リングがあります。これは、非合理タイプ(別の呼び方をすれば循環性タイプ)がそうです。合理タイプ(分裂性タイプ)ではこの逆です。このために非合理タイプ(循環性タイプ)は静止した物体を左目で見、動く物体を右目で見るという傾向があります。これは非合理タイプ(循環性タイプ)だけが常に右利きである理由でもあります。合理タイプ(分裂性タイプ)の場合、静止した物体を右目で見て(例えば人と話す時は右目で見ます)、動く物体を左目で見ます。合理タイプ(分裂性タイプ)は、自覚が無いこともありますが左利きです。
先述した通り分裂性タイプ(合理タイプ)の全てのブロックは合理要素から始まり、循環性タイプ(非合理タイプ)の全てのブロックは非合理要素から始まります。これは、分裂性タイプ(合理タイプ)は大脳の左半球に静的リングを持ち、右半球に動的リングがあるというだけではない違いが、分裂性タイプ(合理性タイプ)と循環性タイプ(非合理性タイプ)の間にあることを示唆しています。筆者らのモデルから推測できるように、右半球と左半球を単純に逆にしても、モデル上の受容要素が逆になるわけではありません。残念ながらこの重要な問題についての仮説はまだありません。
質問 - 宣言
情報代謝タイプ16種類のうち、8種類が二分法「質問」に、残り8種類が「宣言」に分類されます。質問タイプは疑問形のイントネーションで話す傾向があり、それに対して、宣言タイプは何かを宣言したり、他者に何かを報告する傾向があります。双対ペアのうち、片方のタイプは必ず質問タイプであり、もう片方のタイプは必ず宣言タイプです。ポジティブな社会的リングの全ての外向タイプ [18]と、ネガティブな社会的リングの全ての内向タイプ [19]は質問タイプです。情報代謝のモデルAの構造において、なぜこうなのかはまだ解明されていません。
コミュニケーションの際、通常、質問タイプ同士や宣言タイプ同士ではお互いにうんざりしたり、イライラしたりします [20]。
簡略版モデルA
これまでに、筆者らはリングモデルAについてのみ説明してきました。しかしこのリングモデルの図は非常に複雑であるため、日常的な使用を想定した簡略版の作成も行いました。リングを分割し、平行に配置することが可能です。全てのタイプの情報代謝の各ブロックで、受容要素は左側に、生成要素は右側にあります。NeTi(1S)のモデル A は次のような形になります [21]。
Se Fi
Si Fe
Ni Te
受動リングの要素は、能動リングの要素を完全に映し出している点にご注意ください。
すでに述べたように、情報代謝の全てのブロックは、情報代謝モデルAの1番目から4番目、いずれの番号のブロックとして機能することが可能です。同様に情報要素は1番目から8番目、いずれの番号の要素として機能することが可能です。こうした複雑な物事をシンプルにするために、次のような番号を付与する方法を使用します:
情報代謝タイプ NiTe 1S |
ブロックによって 実行される機能 |
要素によって実行される機能 | |
---|---|---|---|
受容 | 生成 | ||
NeTi | I | 1 | 2 |
SeFi | II | 3 | 4 |
SiFe | III | 5 | 6 |
NiTe | IIV | 7 | 8 |
例えばNeTi (1S) の特徴を記述する場合「Ne (1)」、「Fe (6)」、「NeTi (1)」といった形で記述できます。
図15にて、全タイプの簡略版モデルAと、そのタイプの完全な理論名を示します。
第一信号システムと第二信号システム
人は、外部刺激と内部刺激に反応することで、外界に自分自身に関する情報を提供します。すべての身体活動には、筋肉の興奮、緊張、弛緩というすべての段階が存在します。これらすべては、生体の状態や反応、およびその内外で起こっているプロセスに関する豊富な情報の流れです。すでに述べたようにエネルギー代謝の内部燃焼の4つの段階は、2段階ずつそれぞれ異なる情報代謝リングに対応しています。
受動リングは、第1信号システムを通して、思考化されておらず、変質していない直接的な情報を提供します。受動リングの信号は無意識なものであり、体内(body)で起こっていることを直接反映しています。受動リングは完全に意識化された反応、言い換えれば完全に意識的な情報は提供しません。
筆者らの見解では「意識的」と呼べる情報は、例えば目の前の具体的な状況から「切り離された」視覚情報です。つまり、単に繰り返される具体的な状況で再利用するための情報ではなく、それについて考えたり、他者に伝えたりするために記憶することができる情報です。知覚され記憶されたものは、その人自身が第二信号システムに変換できる限り、意識的であるとみなすことができます。
受動リングができる最大のことは、他者を模倣して過度な注目を集めることなく、必要不可欠な機能を果たすために「適切に」行動することです。つまり、習得した方法や手段で行動するということです。そのため、受動的なリングが(双対によって)プログラムされる際には、言葉そのものよりも、情報を刷り込む能力、表情、イントネーション、確信に満ちた声のトーン、そして必要なサインが重要です。疑問のイントネーションが必要な場合もあれば、肯定のイントネーションが必要な場合もあります。不適切なイントネーションは禁忌であり、人を苛立たせます。
能動リングは情報を理解し、第1信号システムから第2信号システムに変換し、それを社会の他のメンバーと交換します。提供される情報はコントロールされています(ただしある程度の人格の神経症的な状態次第では、部分的にミスが生じることもあります)。
受動リングは、得た情報を経験や身体的スキル、いわゆる「無意識的な」形で保持します。能動リングは、差別化されたイメージの形か、または記憶内で簡単に再構築され、必要に応じて第2信号システムに簡単に移動できる抽象的な知識の形で保存します。能動リングは、自身がエネルギー代謝の一部であることを意識的に認識しているのに対して、受動リングはそれを認識していません。C.G.ユングが書いたように、能動リングは「個人が自分で行うこと」であり、受動リングは「個人に起こること」だといえます。
現実の反映と「再反映」
情報活用の観点からいえば、能動リングは人と客観的世界とを繋ぐこと、つまり情報を認識して処理する際に現実を直接反映することを目的としています。またこの情報を社会の他のメンバーに提供することも目的としています。したがって能動リングが自身のニーズに基づいて現実を反映した結果得られる情報を一次情報と呼びます。そして第二信号システムの助けを借りて現実を「再反映」し、社会の他のメンバーに二次情報を提供します。
二次情報は、二次的な暗示情報と、二次的な補助情報に分けることができます。
4種類の情報
一般的にソシオンにおける個人間の情報交換の際には、4種類の二次情報が生じます。
- 能動リングは、相手の能動リングに対して間接的な補助情報(第1信号システムと第2信号システム)を提供します。これは、自分の経験を通して検証された後にのみ使用されます。
- 能動リングは、相手の受動リングに対して二次的な暗示情報(第1信号システムと第2信号システム)を提供します。これは自分の経験の代わりに使用されます。
- 受動リングは、相手の能動リングに対して、受信者が意識的に認識している一次情報(第1信号システム)を提供します。
- 受動リングは、相手の受動リングに対して、受信者が意識的に認識していない一次情報(第1信号システム)を提供します。
このようにして、人は他者から2種類の一次情報(意識的なものと無意識的なもの)と、2種類の二次情報(二次的な補助情報と二次的な暗示情報)を受け取ることができます。
能動リングが、直接的および間接的な情報を利用しているのは明らかです。その情報の主なソースは、世界の直接的な反映です。間接的な情報は補助的な役割を果たしており、常に自分自身の経験によって再確認されています(ただし、これは相手の能動リングから提供された情報にのみ当てはまることです)。相手の受動リングによって提供される情報については、無意識的に提供され、特定の誰かに向けられたものではないため、間接的な情報とは呼べません(出典訳注:間接的な情報とは、第二信号システムを通して提供される情報のことをさしますが、受動リングは第二信号システムによる情報提供が行えません)。これは、その個人(出典注釈:受動リングによって情報を提供している側の人)についての直接的な知識の源として機能します。
受動リングについていえば、直接的な情報と間接的な情報の両方を受け取ります。ただし、個人の生活や機能にとって特に重要視されるのは、他者の能動リングから提供される暗示情報です。受動リングは同一の能動リングを模倣します(出典注釈:双対関係では、互いに自分の受動リングと同じ相手の能動リングを模倣します)。
ソシオンにおける個人の機能は、次の2つの要素によって決まります:
- 現実との直接的な結びつき。現実から十分な直接的信号を取得し、他者に対する情報ソースとなる能力。例えば顔の表情(第1信号システム)、ジェスチャー(第1信号システム)、言葉(第2信号システム)、強い視線(第3信号システム)、あるいはエネルギーストライク(第4信号システム)などを介して行われます。
- 社会を通じた現実との間接的な結びつき。社会から十分な間接的な情報を取得し、その情報の提供元となる能力。
経絡
生物が自らを外界に対立させるという点については先述しました。これが成立するためには、人間の各情報代謝要素の背後に特定のシステムが存在し、それによってエネルギー代謝が行われるのです。そしてそのシステムのおかげで、人間は閉鎖的なエネルギーシステムとして、外界のエネルギー代謝に対抗することができるのです。
筆者らは、東洋医学がこの疑問への解答に最も迫っているものであると考えています。各情報要素には、対応する2つのペアの経絡とそれらよってカバーされる身体システム、または最も重要な2つの中央経絡(出典注:督脈および任脈)の1つに対応しています。情報代謝の各段階は、対応する経絡と、その経絡の背後にある臓器の助けを借りて、次の順序で実現されます。
- Ne:督脈(背中に走っている経絡)(- または+)
- Fe:足の胃経(-)と足の脾臓/膵臓経(+)(出典訳注:原文では「膵臓」とだけ書かれていますが、伝統的な東洋医学では、脾臓と膵臓は 1 つの臓器として数えます。)
- Se:足の膀胱経(-)と足の腎経(+)
- Te: 足の胆嚢経(-)と足の肝経(+)
- Ni:任脈(腹側に走っている経絡)(+ または-)
- Fi:手の心経(+)と手の小腸経(-)
- Si:手の心包(+)(心臓を包む膜状の仮想的な臓器)と手の三焦経(-)(胸部にある呼吸・血脈を司る仮想的な臓器)
- Ti:手の肺経(+)と手の大腸経(-)
筆者らは、情報要素の受動リングに対応する身体システムが、最も機能不全を起こしやすいことに気付きました。すべての静的タイプは、Fe Te Si Ni の要素に対応するシステムの病気にかかりやすく、すべての動的タイプは、Fi Ti Se Ne の要素に対応するシステムの病気にかかりやすい傾向があります。
社会における人の感じ方、最も欠けているもの、そして慢性的な病気との間に明らかな関係性があるということは簡単に気付くことでしょう。人間関係に難がある人の場合、心臓や小腸に問題を抱えやすく、いつもポジティブな感情(emotions)が不足している人の場合、胃や膵臓に問題を抱えやすいです。身体的(physical)な自己実現への渇望が強い場合、胆嚢や肝臓が影響を受けます。自分の意志に従って行動する機会がない場合、腎臓が影響を受けます。
なぜこのようなことが起こるのでしょうか。エネルギー代謝と情報代謝は相互に影響し合います。情報代謝の選択性、つまり一方のリングが能動的で、もう一方のリングが受動的であるという事実のために、人は物理的に独立した生物として存在しながら、同時に社会の他の人々と情報的に繋がる生き物であることができます。そして個人が担う機能は、自分自身の情報代謝だけでなく、人々の間に確立されたタイプ間関係のスムーズさによっても決定されます。外部から受け取る情報に対する人間の精神の選択性は、情報代謝プロセスにおける人々の協力だけでなく、この協力を適切に組織化することの必要性にも繋がります。人は独立したユニットであり、双対ペアの片割れであり、ソシオンの1/16でもあります。精神は外界に選択的に適合することができますが、身体にこのような選択性があってはなりません。身体は、その解剖学的構造とそれにまつわる全システムとともに、外界のエネルギー代謝プロセスに均等に適合しなければなりません。そしてこれが、情報が不足しやすく、自らの活動に確信を持ちにくいエネルギー代謝のリンクにおける矛盾や病気の原因となります。
図16は、特定の情報要素が特定の経絡に対応しているのではないかという筆者らの仮説が、身体機能と経絡システム全体の観点から見て論理的であるという事実をある程度裏付けています。図16は、特定の経絡が時間的に機能するという点がエネルギー代謝と矛盾せず、その機能の方向が、生物のエネルギー代謝周期の方向とさえ一致していることを示しています(出典注釈:図16は伝統的な東洋医学の体内時計に基づいています)。
筆者らは、図を描くにあたってNeとNiを中央に配置しました。これらの奇経には独自の機能時間がないためです。
世界のどの側面がどの経絡に反映されているかを知ることで、興味深い仮説が浮かび上がります。内向的な経絡であるTe, Fe, Seは脚を通り、外向的な経絡であるTi, Fi, Siは腕を通ります。一般的に外向タイプは外界(対象)の内向的側面を理解することに長けているのに対して、内向タイプは外向的側面を理解することに長けています。このため外向タイプは「脚」に、内向タイプは「腕」により知性(разума)があると言えるかもしれません。このことによって、内向タイプの人々に見られる、より「落ち着いた」生活様式や、絶え間ない注意と「手作業の正確さ」を求められる仕事に対する高レベルな忍耐力を説明できるかもしれません。また、外向タイプの人々には、動いている時の方がよりよく考えられるという人が多いですが、この理由もこの点から説明可能かもしれません。有名な外向タイプの演説者が、ステージ上を歩き回りながらしか演説できなかったことを思い出してください。
訳注
- ^ 図6のmodel1-1 ILEの場合、ブロックはNeTi、SeFi、SiFe、NiTeの4種類(受容要素を先頭に書く)。ILEの受容要素はNe、Se、Si、Ni。ILEの静的リング(NeTiブロックとSeFiブロックから形成されている、図6上部側のリング)は受容要素NeとSeが両方とも外向性の情報要素であるため、外向性のブロックであり、ILEの動的リング(SiFeブロックとNiTeブロック)は受容要素SiとNiが内向性の情報要素であるため、内向性のブロックである。つまり「一方のリングが外向的なブロックで構成されている場合(ILEの場合、静的リングが外向性)、もう一方のリングは内向的なブロックで構成されている(ILEの場合、動的リングが内向性)」ということになる。
- ^ 各リングでは~:つまり、ILEの静的リングの場合、NeTiブロックとSeFiブロックで形成されているが、このうちNeTiブロックが暗示的ブロック(直観ブロック)であり、SeFiブロックが意志的ブロック(感覚ブロック)である。
- ^ 外側のブロックはペアの要素から形成されます:ILEの外側のブロックはNeTiブロックとNiTeブロック。「ペアの要素」とは、ここでは外向/内向違いの情報要素のペアという意味であり、NeのペアはNi、TiのペアはTeである。NeTiブロックとNiTeブロックは、どちらも直観論理ブロックであるが、外向/内向がちょうど逆になる。
- ^ モデルの上部:モデル1-1でいえばNeTiブロックのこと。モデルの下部:モデル1-1でいえばNiTeブロックのこと。
- ^ モデル1-1でいえばFiSeブロックとFeSiブロックのこと。
- ^ 双対関係に基づいたモデルという意味。図8左側の直観論理外向はILE、右側の感覚倫理内向はSEIであり、ILEとSEIは双対関係にある。
- ^ 具体例を踏まえると、モデルAは4種類のブロック(1番目:自我ブロック、2番目:超自我ブロック、3番目:超イドブロック、4番目:イドブロック)から形成されているが、2~4番目のブロックが不明でも、1番目のブロック(自我ブロック)がNeTiだと判明した時点で、その人はILEだとわかるという意味。また、仮に1番目、3番目、4番目のブロックが不明でも、2番目のブロック(超自我ブロック)がSeFiブロック(図では左から順にFiSeと読めるが、ブロックの表記ルールとして受容要素を先に表記する。つまり2番目のブロックである超自我ブロックの場合、第3機能(Se)第4機能(Fi)の順番に表記)だとはっきりわかる場合も同様に、その人はILEだとわかる。3番目(超イドブロック)、4番目(イドブロック)だけがはっきりしている場合も同様。
- ^ ILEの場合の最初のふたつのブロックはNeTiブロックとSeFiブロックをさす。Ne,Ti,Se,Fiはいずれも静的な情報要素である。また、NeTiブロック、SeFiブロックはどちらも受容要素が外向性の情報要素(NeとSe)であるため、どちらも外向性のブロックである。静的/動的、外向/内向だけでなく、本文で後述されている通り、合理/非合理も共通している。例えばNeTiブロックとSeFiブロックはいずれも非合理性のブロックである。
- ^ ILEの能動リングはNeTiブロックとSeFiブロック、受動リングはSiFeブロックとNiTeブロック。ILEの能動リングが静的・外向であるのに対して、受動リングは動的・内向である。ただし全ブロックにおいて、合理/非合理だけは共通している。ILEの場合、すべてのブロックが非合理。
- ^ 能動リング:モデルAの第1機能~第4機能からなるリング。
- ^ 受動リング:モデルAの第5機能~第8機能からなるリング。
- ^ ILEのNeTiSeFiリング。
- ^ SEIのNe Ti Se Fiリング。
- ^ SEIのSi Fe Ni Teリング。
- ^ ILEのSi Fe Ni Teリング。
- ^ SEIとILEのSi Fe Ni Teリング。
- ^ ESEのSi Fe Ni Teリング。
- ^ ポジティブな社会的リングの全ての外向タイプ:ILE, EIE, SEE, LIE。
- ^ ネガティブな社会的リングの全ての内向タイプ:SLI, ESI, IEI, LII。
- ^ 双対ペアは必ず質問/宣言が逆になるが、この点も双対の相性の良さにつながっている。ソシオニクスの相性のルールとして合理・非合理は同じで、質問・宣言は逆の組み合わせが好相性として扱われる。
- ^ NeTi(1S):ILEのこと。1Sは図11の番号。1は双対ペア番号(ILE-SEI)であり、Sは静的(Static)のS。第1双対ペアの静的タイプ側という意味。