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情報代謝のブロック
先述した通り、各生物には8つの安定した特性(4つのボディフェーズと4つのフィールドフェーズ)があります [1]。これらは合わせて4つのエネルギー代謝を形成しており、これはつまり4つの情報代謝を形成していることを意味します。各エネルギー代謝フェーズは、情報代謝のメカニズムのモデルであるモデルAの、別々のブロックによって実装されます。このブロックは4つあります。これを言い換えると、人の情報代謝のメカニズムは、4つにブロック化された8つの情報代謝要素から形成されています。各ブロックは、1つのボディフェーズと1つのフィールドフェーズに対応します。
情報代謝要素がどのようにしてブロック化するのでしょうか。このルールを理解するためには、全ての要素が静的要素と動的要素に分かれている点を思い出してください。
静的要素:Ne Se Ti Fi
動的要素:Ni Si Te Fe
静的要素は他の静的要素とのみブロックされ、動的要素は他の動的要素とのみブロックされます。例えばSeとTiがブロック化された場合、全てのオブジェクトは、そのオブジェクトの客観的特性と、他のオブジェクトの客観的特性の関係の観点から考えられます。そしてSeとFiがブロック化された場合、あるオブジェクトがどの程度別のオブジェクトを必要としているかという観点から考えられます。TeとSiがブロック化された場合、空間で発生する他のプロセスとの関係の観点から考え、TeがNiとブロック化された場合、先行するプロセス、または後続するプロセスとの関係の観点から考えます。
情報代謝ブロック内の要素の全組み合わせは後述の図のとおりです。要素を接続する矢印には2方向ありますが、これはブロック内の全ての要素が、ブロックの先頭になる、あるいはブロックの2番目になる可能性があるためです。4つの静的要素は、8つの静的ブロックを形成し、4つの動的要素は、8つの動的ブロックを形成します。
ブロックの一部は、ボディフェーズから始まり、フィールドフェーズで終わります。これらのブロックでは、オブジェクトの特定の状態に関する外向的情報が、オブジェクトと他のオブジェクトとの関係に関する情報に変換されます。つまり、オブジェクト内に存在するものが、オブジェクト外に存在するものに変換されるということです。これはC.G.ユングのいうところの「外向的」な変換であり、このようなブロックを外向ブロックと呼ぶことにします。
また、フィールドフェーズから始まり、ボディフェーズで終わるブロックもあります。これらのブロックでは、オブジェクト間の特定の関係に関する情報が、オブジェクトの内部で、あるいはオブジェクトに対して起こっていることに関する情報に変換されます。これはC.G.ユングのいうところの「内向的」な変換であり、このようなブロックを内向ブロックと呼ぶことにします。
静的ブロックには、計4つの外向ブロックと、計4つの内向ブロックが含まれます。
外向静的ブロック:SeTi SeFi NeTi NeFi
内向静的ブロック:TiSe TiNe FiSe FiNe
動的ブロックには、計4つの外向ブロックと、計4つの内向ブロックが含まれます。
外向動的ブロック:TeSi TeNi FeSi FeNi
内向動的ブロック:SiTe SiFe NiTe NiFe
外向ブロックでは、オブジェクトの特性や状態が、他のオブジェクトとの特定の関係の原因となります。外向ブロックであるSeTiブロックの場合、対象となるオブジェクト自体の特性、つまりそのオブジェクトが持つ力、美しさ、意志が、そのオブジェクトに対する肯定的または否定的な態度の原因となります。このブロックの力学の元では、自分に対する他人の態度(例えば尊敬か軽蔑か)を変えたい場合、自分の特性を変える必要性があります。
一方、内向ブロックであるTiSeブロックの場合はその逆のことが起こります。オブジェクトに対する態度(尊敬や恐れ)が、オブジェクトの見え方や変わり方を決定します。TiSeブロックが情報代謝メカニズムで主要な役割を果たす場合、その人は自分が演じる役割に応じて変化します。ここでいう役割は関係性であり、関係性がオブジェクトの特性を決定していると言えます。例えばこうした人が教師になった場合、控え目で勤勉な人になります。そして校長に任命されると、独裁者に変わります。
要素の受容と生成
情報代謝ブロックを形成する要素はそれぞれ異なる機能を持っています。ブロックの最初の要素は、現実を反映し、記録し、再現して、精神に客観的な情報を提供します。この情報は常に精神の外部から得られるもので、仮に情報の量が不足していたとしても、情報自体が主観的であることはありません。それは常に客観的な世界の反映であり、自分自身もその客観性の一部として反映します。最初の要素は反映する対象に対して常に共感や一体感を持つ点に注目する必要があります。この最初の要素を受容要素と呼びます。つまり、外部に存在するものを認識する要素です。
各ブロックの2番目の要素は「生成」です。生成とは、1番目の要素を通して受け取った情報から人が抽出するものです。この第2の要素は創造的とも呼ばれます。なぜなら、第1の要素によって提供された情報から抽出したものの中には、客観的な世界の一部ではない「何か」が含まれているからです。この「何か」とは、第2の要素自身の結論であり、客観的世界の対応する側面に対する第2の要素自身の考えです。つまり、第2の要素が、第1の要素の側面をどう見ているのか、ありえることは何か、どうあるべきかという考えです。生成要素は、共感的と言うよりは道具的です。生成要素の道具性には2つの側面があります。1つ目は人が客観的現実に適応する主観的な方法としての側面であり、もう一つは創造性という側面です。この創造性は、第1の要素から得られた客観的な情報、第2の要素のスキル、双対や要求者(恩恵者)の有無、および特定の状況に応じた選択によって決まります。
生成要素が活動する際には、それに対応する現実の側面を考慮に入れていることは間違いありません [2]。つまり、生成するだけでなく、ある程度現実を反映していると言えます。しかし人の思考の中心は、受容要素に対応する現実の側面にあります。人は周囲の生成要素の側面を、自分自身の同じ側面とは関連付けていません。生成要素には受容要素が持つ共感の感覚が欠けています。
受容要素には他人、特に賢明で経験豊かな人々を模倣する傾向があります。これにより、人は間接的に客観的現実に適応します。そして生成要素は、最初の結論や解決策が実行されない場合、継続的な修正を行う傾向があります。
筆者らが気付いたように、人が受容要素を「代弁」する際には、欠点や不足、あるいは「世界の全体像」から欠けているものについて話します。このため、ここでの発言は否定的に聞こえます。一方、生成要素を「代弁」する際には、すでに存在しているもの、現在あるもの、完全なものについて話します。ここでの発言は、賞賛や受け入れとして他人から認識されます。したがって、受容要素の業績を批判された場合、人はそれを前向きに捉えるのに対して、生成要素の業績を批判された場合、人はそれを迷惑で気分を害する試みだと捉えます。
合理性と非合理性
C.G. ユングに従って、すべての情報代謝要素を合理性と非合理性に分けることができます。
合理性要素:Te Fe Ti Fi
非合理性要素:Ne Se Ni Si
ブロックはそれに応じて分割されます。受容要素が合理的なブロックのことを、合理ブロックと呼びます。
合理内向静的ブロック:TiSe TiNe FiSe FiNe
合理外向動的ブロック:TeSi TeNi FeSi FeNi
受容要素が非合理的なブロックのことを、非合理ブロックと呼びます。
非合理外向静的ブロック:SeTi SeFi NeTi NeFi
非合理内向動的ブロック:SiTe SiFe NiTe NiFe
全タイプの情報要素が同じ方法で分割されるため、ブロックを合理的と非合理的に分割することは理にかなっています。合理タイプ(分裂性; шизотимов, Shizotyme)に属する情報代謝のメカニズムは合理ブロックで構成され、非合理タイプ(循環性; циклотимов, Cyclotyme)に属する情報代謝のメカニズムは非合理ブロックで構成されます。このため、分裂性(合理性)の世界と、循環性(非合理性)の世界の行動は大きく異なります。
ブロッキング
情報代謝のモデルAは4つのブロックで構成されています。この4つのブロックをブロッキングと呼びます。ブロッキングには4種類あり、2つは非合理的で、2つは合理的です。
非合理・循環性ブロッキング
- 貴族主義・非合理・循環性:SeTi NeFi SiTe NiFe
- 民主主義・非合理・循環性:SeFi NeTi SiFe NiTe
合理・分裂性ブロッキング
- 貴族主義・合理・分裂性:TeSi FeNi TiSe FiNe
- 民主主義・合理・分裂性:TeNi FeSi TiNe FiSe
これらのブロッキングは、それぞれ情報代謝の4つのモデルを形成します。全体として、1つのブロッキングから4つの性格タイプが形成可能です。これらには社会的進歩リングの軸の1つを形成する、2つの対極的な双対ペアが含まれています。
ブロックの順序が異なるため、同じブロッキングに属している4タイプの性格の類似性に気付くことは困難です。むしろ正反対に見えることの方が多いかもしれません。しかし受容要素と生成要素の全てが同じである場合、なんらかの共通性があるはずです。この共通性は、おそらく「世界の認識」と呼ぶべきものに現れます。この共通性、すなわちある種の「通約可能性」こそが、補完関係や消滅関係を作り出すのです。
この「同じ世界の認識」あるいは「通訳可能性」とは何なのでしょうか。
同じブロックに属するどのタイプに共通点があり、何がそれらを結びつけているかを理解するには、ブロック間の相違点を把握する必要があります。まず、全ての非合理的(循環性)タイプの情報代謝のモデルが形成される2つの非合理的なブロッキングを、全ての合理的(分裂性)タイプのモデルが形成される合理的なブロッキングと対比します。つまり、合理的なタイプを非合理的なタイプと対比し、分裂的なタイプを循環的なタイプと対比します。
合理タイプと非合理タイプのブロックの最初に来る要素を見れば、それが異なっていることがわかります。合理(分裂性)タイプの受容要素は非合理(循環性)タイプの生成要素であり、その逆もまた然りです。
貴族主義と民主主義
筆者らは、時間の要素が感情(emotions, элемент)でブロックされ、個人の身体的および精神的健康状態が労働、行動、行為によってブロックされている情報代謝タイプに「貴族主義」というニックネームを名付けました [3]。前者は感情(emotions, эмоциях)に一貫性を与えます。後者は仕事に楽しさや愉快さを求めることに繋がります。貴族主義タイプにとって、仕事は可能な限り楽しいものでなければなりませんし、その結果が美的な喜びをもたらすものでなければなりません。
反対に「民主主義」タイプの感情(emotions, эмоции)は長期的なものではなく、個人の身体的および精神的健康状態によって決定されます [4]。このタイプの人々は、有望な活動や将来の安全を提供する活動に対して粘り強い執着を持っています。これは、時間の要素が身体活動の要素によってブロックされているためです [5]。
分裂性(合理タイプ)の「貴族主義」は、生成要素という点で「民主主義」とは異なっています。これは循環性(非合理タイプ)でも同様です。
循環性(非合理タイプ)の世界
循環性のブロックは非合理要素から始まります:Ne Se Ni Si
したがって、彼らにとって感情(emotions, эмоции)や行動 [6]は常に結果です。例えばある種の身体的および精神的健康状態や危険の結果です:
Si → Te、Si → Fe、Ni → Te、Ni → Fe
そして、オブジェクトやサブジェクトは、その外部または内部の特性によって評価され、特定の感情(feelings, чувства) [7]を呼び起こします。まずオブジェクトの特性があり、その次にそのオブジェクトに対する態度があります:
Se → Ti、Se → Fi、Ne → Ti、Ne → Fi
分裂性(合理タイプ)の世界
分裂性(合理タイプ)の場合、ブロックが合理要素で始まります。そのため上述した循環性(非合理タイプ)の世界の逆となります:Te Fe Ti Fi
彼らにとって、外部および内部のプロセス、たとえば人々の行動や感情(emotions, эмоции)は常に身体的および精神的健康状態、危険感や安全感の原因であり、結果ではありません:
Te → Si、Te → Ni、Fe → Si、Fe → Ni
オブジェクトの特定の性質の原因は、個人とそのオブジェクトを結びつける感情(Feelings, чувства)や態度にあります。つまり、オブジェクトに対する感情(Feelings, чувства)や態度がオブジェクトの性質を決定します:
Ti → Se、Ti → Ne、Fi → Se、Fi → Ne
循環性(非合理)ブロッキング
貴族主義・循環性(非合理)のブロッキングに属する人々にとって、例えばある人物の意志的資質 [8]は、その人から引き起こされる論理的感情(logical feelings, логических чувств)や、その人に対する態度 [9]の原因になります。その人の潜在的な精神的資質 [10]は、倫理的感情(feeling, чувств)や態度 [11]の原因になります:
Se → Ti、Ne → Fi
人の精神的・身体的健康状態 [12]が、身体活動 [13]に繋がります。美的感情や美的喜びの欠如は無気力さに繋がります。将来起こりうる、あらゆる危険や問題 [14]は、人の内部の緊張 [15]を生み出します。そして、その緊張は感情によって解放されるか、人を行動へと駆り立てることに繋がります: Si → Te、Ni → Fe
民主主義・循環性(非合理性)のブロッキングに属する人々にとっては全てが逆になります。なぜなら、同じ受容段階の認識が、異なる生産段階に繋がるためです。民主主義・循環性の人々にとって、人の意志や身体的性質は常に倫理的な感情と態度の原因であり、潜在的な精神的資質は、論理的感情(logical feelings, логических чувств)と態度の原因となります:
Se → Fi、Ne → Ti
美的感情、つまり、感覚によって引き起こされる感情(feelings,чувства)は、常に内的な興奮と、肯定的または否定的感情(emotions, эмоциям)を引き起こします。感覚が快いものである時には陽気になり、不快な時には怒ります。感覚がなければ、身体活動の準備として現れる内的な興奮も感情(emotions, эмоций)もありません。一方で、将来に対する不安感は身体活動に繋がります。つまり、民主主義・循環性(非合理)タイプの人々は、活動をすることで何がもたらされるのか、あるいは活動をすることで何を取り除くことができるのかが明確になった時のみ、真剣に活動します:
Si → Fe、Ni → Te
分裂性(合理)ブロッキング
残るは分裂性(合理タイプ)の民主主義と貴族主義がどのように異なっているのかという点です。この違いの本質も、生産要素にあります。
分裂性(合理性)かつ貴族主義のブロッキングに関連するパターンを持つ人々にとって、特定の行動は常に特定の精神的身体的健康状態や美的感情(aesthetic feelings, эстетическим чувствам)に繋がります。これらの感覚は、行動または客観的プロセスの結果です。したがって適切な快感を自分が得るためには、適切なプロセスや、適切な人々の活動形態を研究する必要があります。同時に、感情(emotions, эмоции)は危機感や安全感といった感覚の原因になります。つまり、人に安心感を与えるものは、ただ自分自身や他の人々の適切な感情だけだということです:
Te → Si、Fe → Ni
論理的感情(logical feelings, логических чувств)は、オブジェクトがどのように評価され、どのように変化するかの原因になります。オブジェクトに対する態度がまず第一になり、その品質は二次的な物であるということです。また、倫理的感情は、精神的資質がどのように認識されるかを決定します。自分が愛している人や、自分が肯定的な倫理的感情を抱いている人は、より高い精神的価値、より優れた精神的資質を持つということになります:
Ti → Se、Fi → Ne
分裂性(合理性)かつ民主主義タイプである場合、人々の事業活動や行動は、美的感覚に繋がるのではなく、むしろ将来の安全感に繋がります。そして感情(Emotions, эмоции)・興奮のほうが、美的感情(aesthetic feelings, эстетическим чувствам)や美的喜びに繋がります:
Te → Ni、Fe → Si
また、これらのタイプの場合、オブジェクトやサブジェクトの精神的資質は、論理的関係性によって決定されます。オブジェクトやサブジェクトの能力は、客観的な世界における相互関係の論理、つまり「論理的感情(logical feelings, логических чувств)」の質によって測られます。おそらく、このブロックが主導する人々が哲学的な世界認識に惹かれるのはこのためです。人々の意志的資質や身体的資質は、倫理的感情(ethical feelings, этическими чувства)と人間関係によって決定されます。つまり、他者と安定した関係を構築できる分別がある人が強い人であり、意志の弱い弱虫ではないということです:
Ti → Ne、Fi → Se
反映の客観性の度合い
オブジェクト間の関係性が、そのオブジェクトの資質によって決定されるのと同様に、オブジェクトの特性(資質)もまた、オブジェクト間の関係性によって決定されます。オブジェクトを知ることで関係性を投影することができ、関係性を知ることでオブジェクトのイメージを投影することができます。これら2つの世界の構成要素は、相互依存的に厳密な条件付けをしあっています。フィールドはボディによって決定され、それと同じくらい、ボディはフィールドによって決定されます。
各ブロックは、現実の片側のみを反映します。外向ブロックはオブジェクトの特性を反映し、そのオブジェクトに対する関係、態度、感情(feelings, чувства)を投影(生成)します(wikisocion訳注:外向ブロックの場合、受容要素(第1の要素)は外向的であり、生成要素(第2の要素)は内向的です。内向ブロックの場合はこの逆です)。内向ブロックは、オブジェクト間の関係、つまりオブジェクトを結びつけるフィールド(または感情(feeling, части))の特性を反映して、オブジェクト自体の特性を生成します。
情報代謝のどのブロックも、客観的世界の2つの構成要素のうち1つだけを反映し、残りはある種の推測をします。この推測は、第一の要素が世界のすべてのオブジェクトや関係性に関する情報を得ていた場合のみ、客観的事実と完全に一致しますが、現実的にはこのようなことは起こり得ません。
その結果、たとえ物理法則について最高の知識を持っていたとしても、外向タイプはいずれも、物質世界(material world)の起源と出発点はボディからである [16]。この反対が、内向タイプにとってのフィールド(オブジェクト-オブジェクトや、サブジェクト-オブジェクト間の関係性)。)と心の底から確信しています。一方で、内向タイプはこの起源がフィールドであるとして考えます。
SeTiブロックと、TiSeブロックの話に戻ってみましょう。SeTiブロックはオブジェクトをそのままの姿で「見て」います。しかしオブジェクト間の関係を、SeTiブロック自身が把握しているオブジェクトだけが存在する場合の関係として推測します。SeTiブロックにとって、オブジェクト間の関係は常にそのオブジェクトの特性から派生したものです。つまり、関係がどのように見えるかということは、世界そのものの反映ではなく、意見や投影だということです。人がオブジェクトの関係をどのように見て、オブジェクトに対してどのように感じるかは、その人が認識しているオブジェクトの特性によって決定します。関係に関する結論は、客観的な情報に基づく限りにおいてのみ客観的です。しかし個人が持つ情報の量は主観的に制限されているため、実際にはこの結論は主観的なものになることでしょう。結論の正確さは、その人の知識量や、その分野における博識さの程度に依存します。このブロックの博識さの程度、つまり認識のレベルが深まるにつれて、結論の客観性が向上します。しかし人が全てのオブジェクトを認識することは不可能なので、SeTiブロックがオブジェクト間の実際の関係に関する完全に正確な精神的表象を持つこともまた不可能です。実際の客観的な関係と、それに対する個人の結論の間に、ある程度のギャップが生じることは決して避けられません。
オブジェクト間の論理的関係性を反映するTiSeブロックでは、ちょうどこの反対のことが起こります。このブロックは、2つのオブジェクト間のすべての関係について、完全かつ正確な情報を取得します。そして、オブジェクト間の関係と同じくらい具体的であるにも関わらず、現実のオブジェクトの完全に客観的な精神的表象を持つことができません。TiSeブロックは、オブジェクトを接続するフィールドの特性の 1 つである物質的関係(material relation)を反映します。オブジェクト自体は、やや理想化された形で投影され、生成されます。このため、TiSeブロックが生成するオブジェクトは、実際に存在するオブジェクトとは常に異なります。
生成要素による生成には、客観的な性質と主観的な性質があります。この生成は、客観的な情報に基づいている限り客観的なものです。生成要素の生成が主観的である理由は、この情報が主観的な現実や、主観的な可能性によって制限されているためです。
矛盾は進歩の原動力
すべての人の情報代謝メカニズムは、受容要素と生成要素によって、現実のすべての側面 (4 つの側面) の半分だけを反映しています。このため人の精神における客観的世界の反映は、完全に客観的なものではありません。人は残る半分を推測や想像で補っています。また、4つの受容要素のうち2つの受容要素 [17]だけが意識的であり [18]、「思考」をし、知識をどこから得たのか示すことができるという事実も考慮に入れてみましょう。残る2つの受容要素 [19]の知識は、通常、経験やスキルと呼ばれるもののレベルにあります [20]。このため、人の「客観性」に対する評価はさらに下がります。
同時に、これこそがまさに、人が客観的には存在しなかったものを想像する生き物である理由でもあります。つまり主観性と、全ての側面において客観的であることができないという点によって、人はこの世界に新たなる客観性をもたらすことができるのです。
客観的に存在するものと、それに関する人の精神的表象との間の矛盾は、進歩の原動力であり、人間の知性の創造的可能性と誤りの原因です。これが、人の精神が客観的に存在するものから脱却できる理由です。もしもこのような脱却の機会がなければ、人の創造性は存在しなかったことでしょう。
情報代謝とエネルギー代謝の管理
情報代謝の各ブロックは、体内のエネルギー代謝と情報代謝、およびそれらの外部への表れの全てを管理しています。この管理は少なくとも下記の部分から構成されています:
- 生体の機能システムの管理:これにより、生体は自己再生エネルギーシステムとして機能します。
- 行動の管理:これにより、人は社会的存在として機能します。この主な目的は、生きていくうえでの必要な物資を確保することです。
- 情報の収集と情報の使用の管理:これには、他のタイプの情報代謝を持つ人々の活動をプログラムする際の情報の使用も含まれます。
訳注
- ^ 便宜上、本サイトでは記事を分割しているが、ある程度ソシオニクスのことを知っている人であっても聞き馴染みの薄い用語や、馴染みの薄い定義が頻出するため、先にそれらの解説を行っている「ソシオン(書籍)2」を読むことを推奨したい。
- ^ 「生成要素が活動する際には、それに対応する現実の側面を考慮に入れていることは間違いありません」:例えばSeTiブロックの場合、Seが受容要素で、Tiが生成要素だが、Seの客観的情報をもとに生成するだけでなく、Tiの側面についての客観的情報もある程度考慮に入れているという意味。
- ^ つまりNiFe, FeNiブロックと、SiTe, TeSiブロックを貴族主義と名付けたという意味。これらのブロックを持つのはベータクアドラとデルタクアドラである。そのためこれらのクアドラは二分法「貴族主義」のタイプであると定義されている。
- ^ つまりFeSi, SiFeブロック。
- ^ つまりNiTe, TeNiブロック。FeSi, SiFeブロックとNiTe, TeNiブロックを持つのはアルファクアドラとガンマクアドラである。そのためこれらのクアドラは二分法「民主主義」のタイプであると定義されている。
- ^ つまりFeとTe。
- ^ つまりTiとFiを呼び起こすという意味。オーシュラはTiを論理的感情(logical feelings, логических чувств)であると説明している。関連記事「ソシオン(書籍)2」
- ^ ある人物の意志的資質:Seのこと。
- ^ その人から引き起こされる論理的感情(logical feelings, логических чувств)や、その人に対する態度 :Tiのこと。
- ^ その人の潜在的な精神的資質:Neのこと。
- ^ 倫理的感情(feeling, чувств)や態度:Fiのこと。
- ^ 人の精神的・身体的健康状態:Siのこと。
- ^ 身体活動:Teのこと。
- ^ 将来起こりうる、あらゆる危険や問題:Niのこと。
- ^ 人の内部の緊張:Feのこと。
- ^ 文字通りの意味でのボディ(身体・肉体)ではなく、オブジェクトの特性(資質)、いいかえればNe, Fe, Se, Teのこと。
- ^ モデルAの第1機能と第3機能のこと。
- ^ どのタイプも4つのブロックを持つ。このブロックは自我ブロック、超自我ブロック、超イドブロック、イドブロックとも呼ばれる。この4つのブロックのうち、意識的であるブロック(二分法「メンタル」のブロック)は自我ブロックと超自我ブロックの2つであり、残り2つのブロックは無意識的(二分法「バイタル」)だと定義されている。
- ^ モデルAの第5機能と第7機能のこと。
- ^ オーシュラによる定義は、現在では古典ソシオニクスとよばれることがあるが、後のソシオニクスではブカロフやイェルマークらが導入した次元という概念を使用することが一般的である。次元に則れば、経験の段階に留まる機能は1次元性機能である第4機能と第5機能であるので注意。