要求関係となるタイプ
要求者 → 被要求者
右リング - 下記のタイプは全て二分法「プロセス」になります。
SEI → LSI → ILI → EII → SEI → ...
ILE → EIE → SEE → LSE → ILE → ...
左リング - 下記のタイプは全て二分法「結果」になります。
LII → SLI → ESI → IEI → LII → ...
ESE → IEE → LIE → SLE → ESE → ...
例:SEIとLSIの場合、SEIが要求者、LSIが被要求者です。
LSIとILIの場合、LSIが要求者、ILIが被要求者です。
はじめに
要求関係は社会的秩序関係、恩恵関係とも呼ばれます。
上位のタイプを要求者(または恩恵者)と呼び、下位のタイプを被要求者(または依頼者・社会秩序の受け手)と呼ぶ非対称な関係です。
多くの場合、要求関係にある人々は双方向の関りを持ちますが、利害関係という意味では非対称性があります。
被要求者側のタイプの人々は、要求者側のタイプの人々に憧れを抱きます。彼らにとっては、遠くからみても要求者は印象的な人に見えます。要求者のマナーや振舞、身のこなしが魅力的に見えるのです。
被要求者は、要求者のライフスタイルや価値観を「価値あるもの」だと思うようになります。
この憧れが原因で、セルフタイピングの際にミスが生じることもあります。つまり、被要求者が憧れの対象に過剰な同一化を試み、(本来のタイプからみて)要求者側のタイプこそが自分のタイプだと勘違いすることがあるのです。
◆◆◆
被要求者は、要求者との会話の中で、「要求者には、動員機能(第6機能)の側面に関わる情報(=被要求者の第1機能)が欠けている」ことに気が付きます。被要求者から見ると、「要求者は動員機能よりも創造機能の側面を優先している」ように見えます。
こう見える理由は「要求者の動員機能(第6機能)」は「被要求者の主導機能(第1機能)」と同じだからです。要求者の動員機能は弱く、半ば無意識的なものですが、同じ情報要素を、被要求者は主導機能(高いレベルの識別を可能とする、強い・意識的な機能)で扱います。
そのため、要求者が普段見過ごしている、要求者の(動員機能上の)不十分な点や間違い、省略に、被要求者は簡単に気が付きます。
被要求者は、要求者に情報を与え、教え、分析・評価し、修正し、今後の見通しを連携することで、要求者の動員機能の側面を助けようとします。
要求者は、被要求者からの情報に興味を持ちます。なぜなら、それが自分自身の弱い動員機能の問題を解決するのに役立つと気づくからです。しかしそれと同時に、要求者にとっての動員機能は「道具的な規範的意義」しかありません。一方で被要求者にとってはグローバルな価値がある情報です [1]。そのため、被要求者の過剰な援助、邪魔な助言、説教じみた発言に苛立ってしまうことがあります。
また、要求者は被要求者からの情報を、要求者のタイプ固有の情報代謝に従って「改良」することがあります。その「改良」にともなって、被要求者の発言を修正したり、その一部をまるっきり否定してしまうこともあります。
◆◆◆
要求者は、自分の動員機能(第6機能)に関する高度な情報を受け取ることに興味を持っているため、しばしば被要求者と、被要求者が作り出した文学、芸術、音楽作品に注目します。
しかし、ここで要求者は被要求者の弱く無意識的な暗示機能(第5機能)、つまり要求者にとっては強く意識的な創造機能(第2機能)にも偶然目を向けることになります。要求者はこの機能に関して被要求者を導こうとしますが、被要求者は要求者が期待するような反応をしません。しばしば反応が遅れたり、要求者の満足のいかない方法しかとれなかったり、被要求者の主導機能(第1機能)から見て不要だと考えて脇に置いてしまったりします。
そのため要求者からすると、「被要求者はいつもどこかトロくさくて、避けられるはずのミスをする人物」あるいは「能力が足りない人間」のように感じられます。要求者がいくらアドバイスしても、被要求者はずっとそのままで、要求者のアドバイスを活用する気がないように見えます。毎回同じような抜け道を作ってその場しのぎの対応をしているか、(要求者からすると)破滅的に遅いペースでしか学習できていないように見えてしまうのです。
「これはもう手の施しようがない」と考えて、要求者は被要求者に見切りをつけてしまい、別れを決意することもあります。
◆◆◆
被要求者は通常、要求者の価値観やライフスタイルを評価し、賞賛しているので、要求者からの提案を「行動への呼びかけ」として認識し、要求者の考えや価値観が実現化されるよう支援することがよくあります。要求者としては、被要求者に直接支援を要求しているわけではないため、(要求者からすると)予想外の行動を被要求者が取り始めることも、しばしばあります。
しかし、要求者側が「被要求者が自分を支援しようとしている」ことを意識的に認識できれば、被要求者への感謝の気持ちを持つことができるようになります。被要求者の支援を認め、肯定的に評価すれば、関係継続にもプラスに作用します。そうして関係が深まると、要求者は被要求者を「自分のアイデアの実行者」として捉えるようになり、被要求者を失うことへのためらいを感じるようになります。
◆◆◆
被要求者を活動に駆り立てる衝動は、一般的には要求者の創造機能(第2機能)が、被要求者の暗示機能(第5機能)を刺激することから生じると考えられています。そしてこれが要求者から被要求者に向けて送られる「社会的要求」あるいは「社会的秩序」と呼ばれるものなのです。
この「社会的要求」は、多くの場合、直接的な言葉で行われるわけではありません。要求関係の初期は、要求者にとっても被要求者にとっても驚きとなるものです(要求者は「自分の提案が実行されたこと」に驚き、被要求者は「他人の要求を自分が実行することになったこと」に驚きます)。
その後、関係が確立された段階では、被要求者は要求者の提案や提言を断り切れずに、ある意味で要求者の無意識の支配下に置かれることがあります。この無意識の支配は、要求関係の存在を識別する手がかりのひとつになります。
◆◆◆
しかし、被要求者の創造機能(第2機能)から来る情報を、要求者は無視機能(第7機能)で扱います。そのため要求者は結果的にそれらの情報を抑制したり、無視したりします。被要求者はそれに対して「要求者が自分の話を部分的にしか聞いてくれない」「要求者が自分の提案・説得・行動の呼びかけを無視する」と感じます。
一方、要求者からすると「被要求者の発言は興味深く、洞察に富むものではあるものの、説得力があるとは言えない部分もある。だから自分(要求者)の情報代謝の側面や価値観に合わせて情報を自分でチェックし、(自分から見て)適切な形に変える必要がある」と感じてしまいます。また、被要求者の脆弱機能(第4機能)と、要求者の暗示機能(第5機能)には同じ情報要素が配置されています。そのため被要求者は、要求者が時折表わす暗示機能に違和感を覚えてしまいます。
◆◆◆
要求関係では、このような被要求者の主導機能(第1機能)- 要求者の動員機能(第6機能)と、要求者の創造機能(第2機能)- 被要求者の暗示機能(第5機能)の相互作用によって、要求者→被要求者、被要求者→要求者の両方向において、両者にとって関心のある情報の不均衡な交換が行われます。
被要求者は、要求者の動員機能(第6機能)に精神的なサポートとフィードバックを提供し [2]、要求者は被要求者の暗示機能(第5機能)を刺激することでモチベーションを与えます [3]。
この図は、要求関係における機能の相互作用を簡略化したものです。
被要求者は、要求者のことを有能で立派な人物だと感じつつも、その裏側で同時に、どこか見識や知性が欠けていると感じることがあります。その理由は、被要求者の主導機能(第1機能)と一致するのが、要求者の動員機能(第6機能)だからです。
一方、要求者は、被要求者のことを情報通で洞察力に優れた知的な人物だと感じつつも、それと同時に、どこか反応が遅くて能力に欠けていると感じることがあります。この理由は、要求者の創造機能(第2機能)と一致するのが、被要求者の暗示機能(第5機能)だからです。
◆◆◆
要求関係は、エネルギーと情報の非対称な交換として捉えることが出来ます。
情報は、被要求者の主導機能(第1機能)から、要求者の動員機能(第6機能)へと流れます。そしてエネルギーは要求者の創造機能(第2機能)から、被要求者の暗示機能(第5機能)へと流れます。
したがって要求関係では、要求者は「情報は得られたものの、エネルギーが足りない」と感じ、被要求者は「エネルギーは得られたものの、情報が足りない」と感じるかもしれません。
◆◆◆
要求関係は、内向/外向、感覚/直観、論理/倫理のうち2つが一致するため、しばしば興味やライフスタイルに共通点があります。
そのため要求者と被要求者の間には接点ができやすく、さらにその中には長期的な友人関係や本気の恋愛関係にまで発展するものあります。こうした理由から、要求関係は夫婦の間で中程度によく見られるタイプ間ペアリングとなっています。
もしも仕事の場で要求関係が生じた場合、被要求者は要求者を助け、要求者の期待に応えようと努力することになります。要求者が被要求者の努力を認め、賞賛を与えなければ、被要求者は物足りなさを感じます。これは監督関係における被監督者と似ています。
しかし監督関係における監督者は、明確なリーダーシップを発揮して被監督者を支配しますが、要求関係における要求者は、そのような支配力を持っていません。もしも要求者から軽んじられた場合、被要求者はそれ以上、要求者をサポートする必要性を感じなくなるからです。
監督関係は親子関係に例えられることがありますが、要求関係は兄弟関係に例えられることがあります。
被要求者の第1機能と、要求者の第2機能が相互に補完し合うため、要求関係は(監督関係と比べると)思いやりがあって、競争の少ない関係だと言えるでしょう。
さまざまな著者による説明
Valentina Meged, Anatoly Ovcharov
被要求者は、要求者の存在によって活性化し、要求者を助けようとします。
被要求者は要求者のニーズをよく理解していますが、互恵関係が成立するのは最初のうちだけです。
要求者は、被要求者の主張と結論を否定し、自分の主張を押し付け、被要求者の行動をコントロールしようとするため、この関係の調和は時間と共に崩れていきます。
しかし被要求者は、要求者のことを「立派で権威のある人物」と捉えているため、要求者からの押し付けやコントロールを拒否するのは難しいです。
そのうち、この不平等さが原因で口論が起きます。そこまでいくと被要求者は要求者から距離を置きたくなります。
◆◆◆
要求者は、被要求者のことを「自分が保護・庇護し、助言を与えるべき人物」だと認識します。
同時に、要求者もまた被要求者からの理解とサポートを望んでいます。しかし被要求者から与えられるサポートは、要求者からすると不十分に感じられてしまうものなので、つい被要求者を過小評価してしまいがちになったり、要求を強めてしまったりしてしまいがちです。
要求者は、被要求者の抱える仕事や責任の一部を引き受ける力を持ってはいますが、時間がたつにつれて要求者は疲れてしまい、被要求者への関心を失ってしまいます。また、要求者は、被要求者の要求やニーズを理解できないため、苛立ちを感じるかもしれません。
一方、被要求者は要求者を理解しようとするあまり、状況を過度に誇張して考えてしまうかもしれません。要求者が自分(被要求者)の利益を考慮していないと感じて、要求者を再教育しようとすることもありますが、それも無駄に終わってしまいます。要求者は「全てわかったうえで、被要求者のことを考慮していない」のではなく、「被要求者が求めているものは何かを理解できていない」のです。
もしも被要求者が自分の役割を受け入れず、要求者と共に行う仕事やプロジェクト達成のために動くのでもなく、要求者の粗探しをし始めると、二人の関係が破綻してしまうこともあります。
この場合、要求者と被要求者を結び付けるのは共通の仕事や共通の活動です。そういったもので結びついている限りは、この関係は刺激的で生産的なものになります。
I.D.Vaisband
被要求者は、要求者の側からの不平不満を、「行動の合図」として受け取ります。しかし被要求者がそれを実行するためには、要求者から距離を置かなければなりません。被要求者と要求者が家族である場合、距離を取るのが難しくなるため、関係がこじれやすいです。
要求者は「自分がいないと被要求者はきっとやっていけないに違いない」と感じやすく、被要求者は「要求者のような素晴らしい人を放ってはおけない」と感じます。
要求者は被要求者に活力を与えますが、そこで得られた勢いを形に変えるためには、要求者から離れて過ごす必要があります。
このような関係は、最もロマンチックなラブストーリーを生み出します。この二人は、意見があえば親密になり、食い違うとバラバラになります。お互いに「相手がいないと生きていけない」と感じるにもかかわらず、ずっと一緒にいることもできません。ラブストーリーという意味ではいいですが、これでは結婚生活が上手くいくはずもありません。
要求者は、創造機能(第2機能)を使って被要求者の弱い機能を活性化させます。しかし被要求者の強い機能はいずれも要求者に影響を与えないため、被要求者から要求者に対して良いフィードバックが生じることはありません。 [4]
これは要求関係の性質を特徴づける要因になっています。
要求者からすると、被要求者の言動は「あまり重要ではなく、意味があるものだとは感じられない」ものです。しかしその一方で、被要求者は要求者を「非常に重要な人物」だと感じます。
被要求者が要求者から影響を受けている機能は暗示機能(第5機能)です。その性質上、暗示機能は与えられた情報を批判的に評価することが不得手な弱い機能であるため、それを介して「要求された」と感じた場合、被要求者はその「要求」をなかなか拒めなくなってしまいます。被要求者は「要求」を慎重に評価することなく、抵抗せずに実行へと移そうとします。
要求者は被要求者を自分よりも弱者だと感じて、あまり認めようとしない傾向があります。そして定期的に被要求者を下に見るような扱いをしたり、命令をしたり、教えようとします。
そんな扱いをされた被要求者は、当然のことですが、要求者から距離を置こうとするかもしれません。
◆◆◆
被要求者と要求者が家族関係の場合、被要求者が家族から離れて打ち込める活動や趣味を持っている場合は、要求者から受けたエネルギーを有益に活用できます。しかし被要求者がそのような活動をしていない場合、要求者との間で対立が生じるリスクが高くなります。
O.B. Slinko
「The key to heart - Socionics」より
一方のパートナーは社会的要求を送る側(要求者)として行動し、もう一方のパートナーはその受信者(被要求者)として行動します。
社会的な発達段階と言う意味では、被要求者の方が要求者よりも高い段階にいますが、この関係では被要求者の方が従属的な立場に置かれることになります。
◆◆◆
被要求者にとって、要求者は興味深く、重要で、時に近寄りがたさを感じる存在に見えます。また、被要求者は要求者の悩みや人間的な欠点も理解できると感じます。
被要求者には、要求者が常に自分に何かを求めているように感じてしまう傾向や、それに従うことを自分の義務のように感じてしまう傾向があります。そのため、被要求者は完全に要求者の意向を汲み取ろうとします。
その一方で、要求者は被要求者の話を十分に聞かず、被要求者の問題にも目を向けません。要求者は「きっと被要求者自身がどうにかするだろう」と感じます。
◆◆◆
建設的な関係性を構築するためには、被要求者が「要求者からの直接的な影響」から離れる必要性があります。
したがって要求関係では、被要求者が要求者に定期的に抵抗し、不平を言いながら距離をとろうとすることになります。
しかし、このような被要求者の「不信感」が、要求者に心理的影響を与えることはほとんどありません。
要求関係には、感情的な温かさが見られます。そのため、要求関係の結婚は非常に多いです。
こうした家庭では、両者ともに何かしらのプレッシャーを感じることになります。要求者は、自分から進んで自分とパートナーの責任の大半を背負うことになり、被要求者はパートナーからの絶え間ない心理的プレッシャーに悩まされることになるからです。
R.K. Sedih
「Information psychoanalysis」より
活性化関係と疑似同一関係の組み合わせとして、この関係を見てみようと思います。
【自我 - イド + 超イドブロックの相互作用】
要求関係には、個人の活動をより活発なものにする作用があります。そういう意味で、被要求者から見た要求者は、活性化関係のパートナーに似ています。
また、お互いに学習を促す可能性があるという意味では疑似同一関係と同じですが、要求関係の場合、被要求者が要求者を説得したり、納得させたり、自分の視点を取り入れさせることには難があります。この難しさは、時として明示的、あるいは暗黙的な長期的議論や論争に繋がります。
しかし、それでもこれらの試みに意味がないわけではありません。コンセンサスに至れないことは多いものの、要求関係では互いに多くのことを学び合えるからです。
◆◆◆
要求関係において、一対一の心理的に近い距離でのコミュニケーションは、むしろ面倒で退屈なものになりがちです。この関係の活性化関係に近い特徴として、最小限のコミュニケーションだけで、お互いに非常に魅力的に見えるという特徴があります。
要求関係の場合、顔見知りになって、親密になり、話し合ううちに段々互いに嫌気がさしていき、一時的に離れ、少し休んだ後にまたコミュニケーションを取るという変遷を辿ることが多いです。声が枯れるほどの言い合いを避けることが出来るのであれば、この交流の魅力は長く続きます。しかし自制できなければ、共感ではなく反感が生まれかねません。
◆◆◆
特に結婚生活では、非常に近い距離でコミュニケーションが行われるため、お互いに意地を張って相手を納得させようとして危険です。しかし否定的な感情を抱くのではなく、そのエネルギーを家庭の外の活動に費やせるのであれば、生産的な関係を築くことができます。
筆者は妻がSEI、夫がLSIという家庭を知っています。
この夫婦は30年以上ともに暮らしていましたが、彼らは多くのソーシャルワークに取り組んでいました。このLSIは生物学者であり、学校の現役の教師でもあります。彼は生徒と60回以上の探検を企画し、国内最大の生物学博物館の設立に貢献しました。SEIは仕事以外に、大きな組織の婦人会会長を務め、さらには刺繍クラブも主宰していました。
この家庭には、いろいろな問題があったと言わざるを得ませんが、それは二人が感覚タイプであったことに起因するものです。具体的には、服や食べ物の好みが合わない、家計のやりくりの仕方が合わない、などが問題として起こりました。
何十年も共に暮らしていると、さすがに相手を納得させようと躍起になっても無駄であるとわかってきますが、それでも時々、定期的に喧嘩してしまうそうです。
Laima Stankevichyute
「Intertype relations」より
初恋の人が要求関係のタイプであった場合、長い間友人として過ごした後で、やがて誓いを交わすことになるのが一般的です。要求関係は、情熱や様々な感情で満ちた、最もロマンチックなラブストーリーを生み出します。
しかし、このロマンスは長くは続きません。結婚後にはさらなる混乱が始まってしまうからです。ほとんどの場合、致命的な問題こそ起こりませんが、日常生活は些細な不満でいっぱいになりがちです。
要求者には、被要求者がいつも何か間違ったことをしているように見えてしまうため、「もっとうまくやれるはずなのに」と思ってしまいます。要求者は、被要求者のことを「依存的で、甘やかされていて、うまく生活に適応できていない人」に見えます。「自分が居なければ、この人はまともに生きていけないんじゃないか」と感じてしまうのです。
そのため、要求者は被要求者が何かに努力している間中、要求し、教え、説明し続けようとします。
◆◆◆
関係の初期では、被要求者は要求者を「立派な人物」だと感じます。そして、そんな立派な人物が自分と付き合ってくれることに誇りと喜びを感じます。
また、被要求者は要求者のことを「理想を達成するために、少しだけ足りないものがある人」と感じて、要求者に欠けているものをサポートしようとします。
しかし被要求者は「どうやっても要求者を喜ばせることができない」ような感覚に陥ってしまいます。実際にはそんなことはないのですが、被要求者が要求者からの声をきちんと聞き取れていないせいで、被要求者はそう感じてしまうのです。
被要求者は、要求者からのあらゆる修正コメントや、ほんのちょっとした質問にまで、非難じみたものを感じてしまいます。
◆◆◆
こうした関係にあるせいで、他の人からすると問題ですらないようなことで喧嘩してしまいます。これはあまり楽しい関係ではありませんが、それでも彼らが別れを選択することは滅多にありません。
要求者は、被要求者のことを「自分無しではまともにやっていけない人」だと思っているため離れることが出来ず、また被要求者は要求者のことを「立派で優れた人物」だと思っているため、やはり離れることが出来ません。
◆◆◆
要求関係の家庭生活は、たいてい複雑です。ごく簡単な家事でさえ、一緒に行うことが出来ません。そのせいで、家庭の問題は全て片方のパートナー(ほとんどの場合、被要求者)に降りかかることになります。
しかし、被要求者がそれを放棄して、要求者のコントロールが及ばない活動(例えば仕事や出張のために時間を割いたり、新しい趣味をもったり、家の外でガーデニングをしたり、ガレージで車を修理するなど)に従事し始める家庭もあります。一度上手くいかずに別れた後、また付き合い始めるカップルの被要求者の多くは、こうであることが多いです。
A.V. Bukalov, G. Boiko
「Why Saddam Hussein made a mistake, or what is Socionics」より
要求関係は、クアドラ間での社会的経験や社会的に重要な情報を伝達するための導管として機能しており、社会が進歩するために無くてはならないものです。
◆◆◆
面白いことに、要求関係のペアは、互いを非常に尊敬し合っています。
被要求者は要求者のことを「とても面白味がある人」だと感じます。要求者は、自分が「被要求者が出来ないことを出来るようにする」という意味で役に立っていると感じられるため、被要求者との交流から喜びを得られます。
しかし、この関係には非対称性があります。要求者は被要求者から話を聞いてもらえるのに対して、要求者は「被要求者は(確かに要求者は面白い人ではあるものの)いまいち説得力に欠ける」と認識してしまうのです。そのため、要求者は被要求者を手助けし、説明をしようとします。一般的に、このような形の関係が構築されている場合の要求関係は、快適で友好を感じられる関係になります。
しかし被要求者に刺激を与えすぎると、被要求者は要求者から距離を置くようになります。これは、すでに定まっている目標達成に向かって、より集中するために行われることです。
要求者は、被要求者のこうした行動に驚いてしまうかもしれません。
「被要求者はどこへ行ってしまったのだろう。なぜ自分から離れてしまったのだろう」
◆◆◆
社会的な観点から見ると、要求関係は(監督関係とともに)、情報伝達だけでなく、クアドラ間の絆を生み出し、社会的進歩リングを形成するために非常に重要な役割を果たしています。
Victor Gulenko
「Criteria of reciprocity」より
【要求者 ⇒ 被要求者:介入のための統合】
被要求者にとって、要求関係のコミュニケーションには多少の緊張が伴いますが、それと同時に要求者が「自分の計画やアイデアを形に出来る人」であるように見えるため、要求者に強い魅力を感じます。
そして魅力を感じた被要求者は、要求者と一体化し、要求者からの信頼を得ようとし始めます。
要求者からの信頼を得られるのは、相手の不意を突くことができたとき、相手が気を抜いてリラックスしている時、自分自身の行動をうまくコントロールできなかった時に限られます。
しかしその後、自分に隙があったことに気が付いた要求者は、「自分が利用されていた」というように感じてしまうため、そこからしばらくの間、二人の間の関係は冷めてしまうことになります。
要求者は、自分の影響力が弱まっていることを知り、よりきめ細かな統合へのステップを踏み出そうとします。
こうしたことから、このコミュニケーションは一種の脈動性があります。
◆◆◆
【被要求者 ⇒ 要求者:うんざりした統合】
要求者にとって、要求関係のコミュニケーションは、活性化関係と比べると、それほど面白い関係でもなければ、活力を得られる関係でもありません。
要求者は、被要求者の意見や行動に批判的です。それでいて被要求者が静かだと、不快さを感じてしまいます。時には、被要求者が何かを無視しているように見えたり、何かに気付いていないように見えることもあるため、要求者はそういった問題に被要求者の注意を向けさせようと画策することもあります。
要求者は、そんな風に見える被要求者と、自分から仲良くしようとはしません。そのため要求関係では、被要求者が要求者を誘い、あれこれ企画を持ちかけることのほうが多いです。故に、要求関係が成立するかどうかは、被要求者が要求者に興味を持つか否かに左右されます。
要求者は、被要求者が本当に貴重な情報を提供してくれると確信できた場合、それを自分のために大いに活用します。
◆◆◆
読者の皆さんは、要求関係と監督関係には、二方向の関係性があることを知って驚いたかもしれません。
こうしてそれぞれの関係性を2つの関係性として細分化する理由は、2つあります。
まず第一に、タイプ間関係は(オーシュラが考えた14種類ではなく)16種類でなければなりません(要求関係と監督関係には、要求者→被要求者、被要求者→要求者、監督者→被監督者、被監督者→監督者という4種類の関係があります)。
第二に、社会的進歩において、インボリューションリング [5] ではルールが逆になります。
要求関係と監督関係それぞれに、エボリューションリングを構成する関係と、インボリューションリングを構成する関係がそれぞれ1つずつ存在します。
エボリューション的 [6] な監督関係は「逸脱の抑制」というべきものであり、インボリューション的 [7] な監督関係は「より正確な定式化と追加の要求」というべきものです。
そしてインボリューション的な要求関係は、被要求者が、自分の情報の正しい受け手(要求者)を探す試みに例えることができます(被要求者は、情報を渡すのにふさわしい要求者を探します)。
エボリューション的な要求関係は、要求者が、自分に価値ある情報を供給してくれる情報の送り手(被要求者)を探す試みに例えられます(要求者は、自分が受け取るにふさわしい情報を発信できる被要求者を探します)。
◆◆◆
要求者と被要求者の違い:
この関係には、両者ともに外向的な性格があります。安定した事業活動に向いている関係性です。
要求関係を基に繋がっているペアや3人グループは、各自の活動領域で様々なことに幅広く取り組む、非常に生産性の高いグループになることがわかっています。
家庭生活では、夫婦ともに家庭の外の世界との接触が多く、かつ、片方のペアにばかり作業や問題を押しつけていない場合に限り、要求関係はプラスに作用します。
◆◆◆
要求者→被要求者、被要求者→要求者の両方に言えること:
常に言葉を交わして計画を立てている必要があります。そうでなければ、二人とも混乱してしまい、パフォーマンスが低下します。勢いだけで、無秩序に活動するのは避けるべきです。要求関係のパートナーと取り組んでいる計画を中断せざるを得なくなった場合、それを非常につらいものだと感じてしまうからです。
要求者→被要求者に言えること:
要求者側の「行動の本質と必要性を、明確かつ説得力のある形で説明する能力」が非常に重要になります。要求者が被要求者に何かを提案したり意見を言う際、この能力の有無で被要求者の反応が変わってきます。もしも要求者の提案に事実の裏付けがなくて、感情や野心から出てきたものである場合は、関係性に何の進展ももたらしません。冷静に状況を判断し、明確な指示を出す能力といった組織力が必要なのです。被要求者は、熱意や明るい展望に釣られて動くわけではありません。被要求者に示すべきは、きちんとした裏付けのある知識と、問題解決のための経験です。
被要求者→要求者に言えること:
被要求者は、非常に劇的で矛盾した感情を感じることになります。被要求者にとっての要求関係は、逆巻く感情に満ちた関係です。その結果、創造力が目覚める一方で、自分の成果を客観的に評価できず、迷惑な失敗をしてしまうかもしれません。不安や否定的な予感が頭によぎりやすい関係ですが、それは同時に想像力を高め、自分の能力への自信にも繋がりうるものです。被要求者は、未来を先取りするような、非常に革新的で独自性の高い解決策を生み出すかもしれません。
◆◆◆
より良好な関係を維持するために、要求者は、常に仕事上の活動で飛び回っているくらいの方が丁度いいでしょう。この関係において、被要求者は希望と挫折、苦悩と快感が混ざり合う、強烈な感情のダイナミクスを経験することになります。
被要求者は、要求者の問題解決方法を見習おうとします。そして要求者は、嫌がらずに自分の秘訣を被要求者に教えることが出来ます。こうして時間の経過とともに、被要求者と要求者のアプローチ法がどんどん収束していくことになります。それに伴って、作業に駆り立てる圧力が減少していくため、二人のパフォーマンスも次第に低下していきます。
最終的に、外部から見た場合、要求者-被要求者ペアは「両者の役割を、必要に応じて肩代わりし合えるペア」になっていきます。
◆◆◆
統合のための推奨事項:
要求ペアが目指すべきはあくまでも統合です。「二人きりで世界から孤立して活動すること」ではありません。このペアが自分たちだけの世界に閉じてしまうと、被要求者が要求者の行動に抵抗し始めます(社会的秩序関係が逆転してしまうのです)。
もしもあなたが被要求者で、要求者をコントロールしたい場合は、珍しいアイデアや提案で要求者の注意を引くことをおすすめします。要求者は被要求者の提案を熟考し、それを多くの場合は受け入れるはずです。
このペアでは、お互いの信頼を裏切らないようにしなければなりません。約束は必ず守ってください。突然、一緒にするはずだった計画や活動をキャンセルしてはいけません。事前に自分の意図をきちんと伝えるように心がけましょう。
要求者が被要求者に直接何かを要求する場合、要求者側が被要求者に合わせてコミュニケーションすべきです。また、被要求者に好意を示し、ケアを買って出るようにもしましょう。このような状況で快適にコミュニケーションできるかどうかは、お互いの心理的な働きかけにかかっています。
被要求者は、要求ペアとの間で起こった出来事を過度に誇張しないよう注意する必要があります。極端な解釈をしないよう導き、慰めてくれるような第三者を介して自分の感情を表現するほうが、良い結果に繋がります。
V.V. Gulenko, A.V. Molodtsov
「Introduction to socionics」より
この関係は非対称な関係です。片方のパートナーからもう片方のパートナーの関係と、その逆では、関係の様相が異なります。
◆◆◆
要求者(または要求者)と呼ばれる片方のパートナーは、被要求者と呼ばれるもう片方のパートナーを自分よりも下に見て、過小評価します。
その逆に、被要求者は要求者を面白い人・重要な人だと思って、最初は過大評価します。被要求者は、要求者の行動・態度・被要求者が目指していることを簡単に実現する力・思考スタイル・創造的アプローチに感服して魅了されます。
そうして被要求者は、自分でもよくわからない理由で、知らず知らずのうちに、要求者の好意を求めて喜ばせようとし始めます。
これはちょっとしたことから始まり、どんどんエスカレートしていきます。傍目には、被要求者が要求者に対して自分を正当化しようとしているように見えます。
しかし同時に、要求者の行動には被要求者を苛立たせる何かがあります。
要求者が人目を引くため、人前で自分の見栄えを良くするために見せるわざとらしさは、被要求者の潜在意識に浸透し、被要求者の心の中に「要求者に、そういった不自然な行動をとらせている原因を排除したい」という漠然とした欲求を呼び起こします。
また、被要求者は、自分が一体何をすべきなのかを分かっていない場合もあります。
◆◆◆
要求関係(要求関係)における「要求」とは、個人的な要求ではなく、社会的な要求です。この社会的な要求には、要求者・被要求者ペアが属している社会集団の問題が含まれています。
傍目には、要求関係は円滑で争いのない関係に見えます。この関係で主導権を握っているのは、ほとんどの場合、要求者です。被要求者は要求者の心の底では自分に好意的であることを感じています。
要求者は可能な限り被要求者を励まし、支援しようとしますが、要求者からのフィードバックがあるのは初期段階だけです。対等な関係構築の試みは成功せず、被要求者から要求者への接触はそれ以上進展しません。要求者は、残念ながら被要求者の声を聞いてはいません。
その結果、被要求者は要求者から距離を置こうとしたり、場合によっては要求者の弱い機能を攻撃し始めるかもしれません。相互作用がない要求関係は、後援・保護関係と呼べるかもしれません。
被要求者は、時間の経過とともに、要求者を完全に無視するようになることもあります。これは、要求者からの要求が要求者個人の要求ではなく、社会的な要求であることに、被要求者が完全に気がついた時に起こります。
Ekaterina Filatova
「Art of understanding yourself and others」より [8]
監督関係と同じく、要求関係は非対称な関係です。
一方のパートナーである要求者が、もう一方のパートナーである被要求者の弱い第4の機能を活性化させます [9]。
その一方で被要求者の強い機能はいずれも要求者に影響を与えないため、ここでは良いフィードバックが発生しません [10]。
こうしたメカニズムの影響で、要求者にとって被要求者の言動は重要でないように感じられる一方、被要求者は要求者の第2機能からの言動(社会的要求は、要求者の第2機能から送信されます)を非常に重要なものと感じてしまうという非対称性の性質が生まれます。被要求者は、要求者からの社会的要求を、第4機能 [11] でキャッチします。この機能は、情報を批判的に評価できないため、被要求者は要求に諾々と従ってしまいます。
◆◆◆
同じ恩恵リングに属する4人のグループは、様々な創造的問題を非常に活発に解決できます。
恩恵リングという観点から見て特に効果的なグループ構成は、2種類の右リングを構成する計8タイプから構成される8人グループ、または2種類の左リングを構成する計8タイプから構成される8人グループです [12]。
このグループには、要求関係のペアだけではなく、8人それぞれの双対関係のペアも含まれることになるため、参加者全員が肉体的にも精神的にも積極的に活動するだけにとどまらず、双対ペア同士での支え合うことによる疲労の軽減効果が期待できます。
Eugene Gorenko, Vladimir Tolstikov
「Nature of self」より
これは非対称的な関係です。片方が要求者(要求送信者)、もう片方が被要求者(要求受信者)と呼ばれます。
被要求者の視点から見ると、要求者は立派な人物に見えます。被要求者は、要求者が自分に要求することを、たとえそれが仄めかしに過ぎないものであっても、とても注意深く聞き取ります。
一方、要求者は被要求者の言動にあまり注意を払わない傾向があります。ただし、必ずしもそうとは限らない点には注意が必要です。
この関係性は、要求者と被要求者の社会的なレベルが重要になります。もしも被要求者が要求者よりも社会的なレベルが高い場合、非常に充実した相互接触が可能になるだろうと予想できます。
Sergei Ganin
この関係性は非対称的で、リズム性があります。
要求関係では、要求者と呼ばれる一方のパートナーが、被要求者と呼ばれるもう一方のパートナーに対して常に有利な立場にあります。
被要求者は最初、要求者を「興味深くて有意義な人物」だと感じて過大評価します。彼らは要求者と一緒にいると、無意識のうちに好意を持ち始め、はっきりした理由なしに相手を喜ばせようとします。最悪の場合、ちょっとしたことから始まって、被要求者が自分たちのバカバカしさに気が付くまでエスカレートしていきます。
被要求者は、要求者の弱点を見抜き、被要求者が成長する手助けをしようとします。被要求者の最も強い側面は、要求者の弱く、無意識な側面と一致します。そのため被要求者は、そこで自分も要求者をサポートできると考えます [13]。しかし被要求者が要求者を実際にサポートしようとすると、たいてい正当な理由なしに、要求者はそれを拒みます。
被要求者は、要求者の言動を読み取ることができますが、要求者にはそれができないため、被要求者からの働きかけに対して、要求者は適切なフィードバックができません。これは被要求者にとって、時に不愉快であり、苛立たしささえ感じることかもしれません。
要求者は、最初、被要求者を「自分よりも社会的に下の存在」だと過小評価しがちです。要求者がそのように感じる理由は、被要求者が、要求者にしか提供できない特別な何か [14] を必要としていると感じるからです。
したがって、当然のことですが要求者は被要求者に対して有利な立場にあり、それと同時に被要求者を励まし、世話することを望んでいます。
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要求関係は、対立が起きない関係だと思うかもしれませんが、そうではありません。
通常、この関係で最初に接触を始めるのは要求者の方です [15]。両者は互いの間に精神的な繋がりを感じることさえあります。
しかしこの関係が継続するのは、要求者が与えるべきものを持ち、被要求者がそれを必要としている場合に限られます。この大きな条件が満たされなくなると、要求関係はかなり不快な段階に入ってしまいます。被要求者が要求者を完全に無視し始めるか、要求者の無能さを殊更に騒ぎ立て、口論になります。
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最後に、要求者が被要求者よりも優位な立場にある場合、この関係はかなり上手くいきますが、逆の場合、そうはいかなくなってしまいます。
要求関係の理論的性質
要求関係のペアは、内向性/外向性の二分法を共有しています。一方のパートナーが内向性であれば、もう一方のパートナーも内向性です。
また、プロセス/結果というレーニン二分法も共有していますが、肯定主義/否定主義、静的/動的は、恩恵リング内で交互に繰り返されます [16]。
恩恵リングを同じくするタイプ同士は、認知スタイル [17] が共通しています。また、「要求者」は「被要求者の双対」と、「被要求者」は「要求者の双対」と認知スタイルが共通しています。
例えば要求者IEIと被要求者LIIの場合、IEIの双対はSLEであり、ILIの双対はESEとなります。そしてLIIとLSEは「ホログラフィック・パノラマ的」と呼ばれる認知スタイルであり、IEIとESEは「ヴォーティカル・シナジェティクス的」と呼ばれる認知スタイルです。
上述の要求関係と双対関係の間に存在する共通点は、要求ペア間の情報伝達をスムーズにし、より充実的で魅力的なコミュニケーションに変えるという意味で役立つものだと考えられます。
ソシオニクスの文献には、相対的な強さという点において、要求関係は双対関係に近い関係であると記されています。
訳注
- ^ 第1機能は経験パラメータ、規範パラメータ、状況パラメータ、時間パラメータと呼ばれる4つのパラメータを持つ。この時間パラメータは、別名「グローバル」と呼ばれる。関連記事「機能の次元」
- ^ 要求者の動員機能(第6機能)=被要求者の主導機能(第1機能)
- ^ 要求者の創造機能(第2機能)=被要求者の暗示機能(第5機能)
- ^ 第6機能は、モデルAの機能二分法では「尊重する機能」かつ「不活性機能」であるとされる。不活性とは「動作が硬直的で厳格な機能であり、内部変化を起こしにくい。外部からの刺激で変化するためには、長時間の強い刺激が必要」という性質である。ここではおそらく「不活性」という性質に着目して「良いフィードバックが生じることはありません」となっているのではないかと思われるが、もう一方の「尊重する」という方に着目して「被要求者の第1機能→要求者の第6機能に影響を与える」とする解釈もある。
^ 二分法「プロセス/結果」を、Victor Gulenkoは「エボリューション/インボリューション」という言葉で再解釈しているが、インボリューションリングとは、この二分法がインボリューション(結果)となるタイプグループのことを意味する。エボリューション/インボリューションという用語の意味は、記事「プロセス/結果」に記載している。
インボリューションリングとは、具体的には下記図の左側の「LII → SLI → ESI → IEI → LII → ...」と「ESE → IEE → LIE → SLE → ESE → ...」である。タイプの繋がりが一周して輪を描いているため「リング」と呼ばれている。
エボリューションリング(右リングとも呼ばれる):アルファ→ベータ→ガンマ→デルタ→アルファの順で要求者→被要求者が繋がっている。
インボリューションリング(左リングとも呼ばれる)ではクアドラの遷移が逆方向のアルファ→デルタ→ガンマ→ベータ→アルファになる。
- ^ 右リング側のグループ、すなわち二分法「プロセス」になるグループ。
- ^ 左リング側のグループ、すなわち二分法「結果」になるグループ。
- ^ 説明中の機能の番号を踏まえると、この説明はおそらくモデルAとは異なるモデルに基づいていると思われる。
- ^ モデルAでいうと要求者の第1→被要求者の第5への働きかけのこと。
- ^ モデルAでいうと被要求者の強い機能である第1機能と、要求者の第6機能が一致するが、第6機能は不活性機能なので外部からの影響を受けにくいというアイデアから出てきた説明ではないかと思われる。訳注 [4] も参照。
- ^ モデルAでの暗示機能(第5機能)のこと。
- ^ 具体的には、右リングであるSEI、LSI、ILI、EII、ILE、EIE、SEE、LSEの8タイプからなるグループか、左リングであるLII、SLI、ESI、IEI、ESE、IEE、LIE、SLEの8タイプからなるグループのこと。
- ^ 被要求者の第1機能=要求者の第6機能。第6機能はモデルAの機能二分法では「バイタル(無意識的)」かつ「弱い」かつ「不活性」である。
- ^ 具体的には要求者の第2機能=被要求者の第5機能の情報要素。
- ^ 諸説あり。本記事のVictor Gulenkoの解釈にある通り、彼はむしろ被要求者の側から接触することで関係が始まると考えている。
- ^ SEI → LSI → ILI → EII → SEIという恩恵リングを例に見た場合、
SEIはプロセス・否定主義・動的、
LSIはプロセス・肯定主義・静的、
ILIはプロセス・否定主義・動的、
EIIはプロセス・肯定主義・静的
となる。否定 → 肯定 → 否定 → 肯定と、動的 → 静的 → 動的 → 静的となっているのがわかる。 ^ 認知スタイル:グレンコが提唱した認知スタイルのこと。
SEI, LSI, ILI, EII:弁証法的アルゴリズム的
ILE, EIE, SEE, LSE:因果的決定論的
LII, SLI, ESI, IEI:ホログラフィック・パノラマ的
ESE, IEE, LIE, SLE:ヴォーティカル・シナジェティクス的