人格の発達とサブタイプ
この記事(「連想モデル はじめに」)で書いた通り、連想モデルのサブタイプ理論は、人格の発達と切り離せない理論だが、ここではもう少しサブタイプ理論について詳しくみて行くことにする。連想モデルにおける「サブタイプ」
連想モデルには下記のようなタイプがある。このうち、メインとなるタイプは情報代謝タイプ(TIM)と精神的エネルギータイプ(TPE)の二種類である。
- 情報代謝タイプ(TIM)
- 精神的エネルギータイプ(TPE)
そして残りはサブタイプに相当するものだと考えることができる。
TPEプロファイル
人には4種類のエネルギー(自我、イド、超自我、超イド)があるが、そのエネルギーの大小の分布は人によって異なる。この分布のことをTPEプロファイルと呼び、左側から影響力が大きい順に「主要TPE - 補償TPE - 中立TPE - 不足TPE」として、全部で下記の24通りの組み合わせがある。
自我 - イド - 超自我 - 超イド
自我 - イド - 超イド - 超自我
自我 - 超自我 - イド - 自我
自我 - 超自我 - 超イド - イド
自我 - 超イド - イド - 超自我
自我 - 超イド - 超自我 - イド
イド - 自我 - 超自我 - 超イド
イド - 自我 - 超イド - 超自我
イド - 超自我 - 自我 - イド
イド - 超自我 - 超イド - 自我
イド - 超イド - 自我 - 超自我
イド - 超イド - 超自我 - 自我
超自我 - イド - 自我 - 超イド
超自我 - イド - 超イド - 自我
超自我 - 自我 - イド - 超自我
超自我 - 自我 - 超イド - イド
超自我 - 超イド - イド - 自我
超自我 - 超イド - 自我 - イド
超イド - イド - 超自我 - 自我
超イド - イド - 自我 - 超自我
超イド - 超自我 - イド - 超イド
超イド - 超自我 - 自我 - イド
超イド - 自我 - イド - 超自我
超イド - 自我 - 超自我 - イド
ただし、精神的ダイナミクス(精神の表われ方)に強い影響を与えるのは主要TPEと補償TPEなので、連想モデルでは主に前の2つの組み合わせについて扱っている。
タンジェマンによると、人は自分にとって典型的な2つのTPE、すなわち主要TPEと補償TPEのうち、どちらか一方の状態にいることが最も快適な状態だとされている。また、人は自分の立場に応じて異なる感情を簡単に切り替えることができるという性質を持っていることからわかる通り、主要TPEと補償TPEの切り替えは簡単に行うことができるとされている。
TPEサブタイプ
TPEプロファイルのうち、補償TPEのこと。例えば自我 - イド - 超自我 - 超イドというTPEプロファイルの場合、TPEサブタイプはイドになる。
精神的ダイナミクス
主要TPEと補償TPEの組み合わせのことで、これは三種類の二分法(外向性 / 内向性、合理性 / 非合理性、静的 / 動的)と対応付けられている。
外向: 自我 - イド または イド - 自我
内向: 超自我 - 超イド または 超イド - 超自我
合理: 自我-超自我 または 超自我-自我
非合理: イド - 超イド または 超イド - イド
静的: 超自我 - イド または イド - 超自我
動的: 自我 - 超イド または 超イド - 自我
この対応付けは「精神的エネルギータイプ(TPE)とは」という記事で説明した通り、各エネルギーごとに二分法が対応付けられているが、そのうち主要TPEと補償TPEで重なる指標の特徴が強く表れることに由来している。
自我タイプ - 外向、合理、動的(LIE、EIE、LSE、ESE)
超自我タイプ - 内向、合理、静的(LII、EII、LSI、ESI)
イドタイプ - 外向、非合理、静的(ILE、IEE、SLE、SEE)
超イドタイプ - 内向、非合理、動的(ILI、IEI、SLI、SEI)
これらの指標は、2つの明らかになっている指標の値を用いて、欠けている3つ目の指標の値を決定できるような仕組みにもなっている。例えば、合理性と内向性のスコアが高ければ、静的な人間であることを意味しており、動的と外向のスコアが高ければ、合理的な人間であることを意味している。
TIMサブタイプ
TIMサブタイプには表記上のルールがあって、全ての影響力の強いタイプがTIMになるわけではなく、補償TPEのうち、メインのTIMとクラブが同じタイプが自動的にTIMサブタイプになるというルールがある。
ある人が、主要TPE(例えば、超自我タイプ)と、自分の強い機能(例えば、論理と直観)を知っている場合、メインのTIMは自動的にLII(論理・直観・内向)だとわかるが、ここでさらにTPEサブタイプ(補償TPE)がわかっている場合(例えば、イドタイプ)、TIMサブタイプまで自動的にわかることになる(この場合、イドタイプかつNTクラブのタイプILE)。
TIMがLII、TPEサブタイプ(補償TPE)が超イドという人の場合、自動的にTIMサブタイプはILIだとわかる。これは、LIIと同じNTクラブのタイプのうち、超イドタイプはILIしかないためである。
機能サブタイプ
機能サブタイプには、論理、倫理、感覚、直観の4つのタイプがある。TIMサブタイプの先導機能の指標が自動的に機能サブタイプになる。例えばTIMがLII、TIMサブタイプがILIという場合、ILIの先導機能はNiであるため、機能サブタイプは「直観」になる。
機能サブタイプは、メインのTIMの先導機能と創造機能のどちら側の働きを強めるかにも関係している(Ne-LIIなどの活性・不活性サブタイプの考え方に近い)。
ここではTPEプロファイルから機能サブタイプを出す方法を例としてあげたが、明確に機能サブタイプがわかる場合(論理、倫理、直観、感覚のうち、最も明確な指標が1つ絞れる場合)、機能サブタイプから逆にTPEサブタイプを類推する材料にすることもできる。
TPE内のタイプの強弱
自我、超自我、イド、超イドの4種類のTPEには、それぞれ下記のとおり4種類のTIMが対応付けられている。
自我タイプ - LIE、EIE、LSE、ESE
超自我タイプ - LII、EII、LSI、ESI
イドタイプ - ILE、IEE、SLE、SEE
超イドタイプ - ILI、IEI、SLI、SEI
メインのTIMと同じTPEのタイプは、基本的にサブタイプとして働きやすいということがわかっている(ただし、クラブが真逆になるタイプをサブタイプとして使いこなせることは極めて稀で、これは社会適応や人格の発達が高度に進んだ人にしか見られない現象)。
超自我タイプであるLII(NTクラブ)を例にしてみると、この人は同じ超自我タイプの4つのタイプのうち、NTクラブとは真逆のSFクラブであるESIを除いて、EII、LSIをサブタイプとして多かれ少なかれ使うことができる。
では、EIIとLSIのどちらのほうがより強く表れるのかというと、これは機能サブタイプに依存している。
LIIは機能サブタイプとして「論理」か「直観」のどちらかを持つが、この機能サブタイプが「論理」の場合、LSI(論理・感覚・内向)のほうが強く表れ、機能サブタイプが「直観」の場合、EII(倫理・直観・内向)のほうが強く表れることになる。
公式のタイプアナライザーについて
公式サイトには、自分が認識している4種類の論理、倫理、直観、感覚の強弱と、8種類の機能の強弱から、ここまでに説明したサブタイプを出力できる計算機がある。(http://socionics4you.com/post-6411?lang=en)
これは、Figで例としてあげていたLIIの場合の結果。「TPE内のタイプの強弱」は出力されていないため、自分でルールに従って割り出す必要がある。
この記事で説明したルールさえ把握していれば、4種類の指標と8種類の機能の強弱からではなく、もっと別の明確にわかる部分からタイプを割り出すことができる。