空を舞う鶴 [1]。
新しいチャンスや可能性を見つけ出す天才です。すでに完成されたものは、これから始まっていくかもしれない、無尽蔵の可能性を秘めたものと比べると、取るに足りないものだと感じてしまいます [2]。
科学的な仕事に取り組んだ場合「まだまだ研究すべきことがある」と際限なく研究を続けてばかりで、なかなか成果を発表しない傾向があります。ILEは未来のために生きており、すぐに評価してもらえなくても思い悩んだりしません。金を儲けることよりも、面白いことを選びます。
このタイプの人には一種の「充電」が必要です。つまり、常に感情の高揚や興奮を求めているにも関わらず、それを自給自足できないため、他者からの感情と感覚の「充電」を必要としています。そうした意味では、ILEは環境に大きく依存していると言えます。
ILEが求めているようなポジティブな感情や感覚を与えてくれる双対SEIがそばにいない場合、すっかり元気をなくしてしまい、仕事への意欲や生きる楽しみを見失ってしまいます。時には一人の双対の代わりに、数多くの仲間と接触し、活発に社会活動を行ったり、クラブや学術団体を設立することでなんとかしようとします(ILEであるジークムント・フロイトは、ここから「昇華」という概念を発見しました)。
先導者です。人や状況が秘める可能性を見抜くことのできる優れた主催者です。
このタイプの人は、自分なりに納得できるだけの正当な理由がないと「自分が権力を振るうこと」に引け目を感じてしまいます。例えば「自分しか対処できないような危機的状況にある」「上からの命令」というような理由です。
ILEが権力を持つ立場に立った場合、まず最初に部下のニーズを探り、それに対処してから初めて、部下に必要な要求をしようとします [3]。
召使い:感覚的な領域において、ILEは他者に依存しています。これはすなわち、日常的な問題やその他の細々とした問題では、極端に他者に屈服しやすく、従順であることを意味します。
そうして感覚的な領域に自分が注意を払う必要がなくなった彼らは、もっと自分が好きな仕事、つまり物事の本質や、現象の本質を理解することに意識を向けます。
「自分側の人間」「赤の他人」のような線引きをしません [4]。誰に対しても等しく役立つ存在であろうと努力します。
未分化な感情。彼らは、本質的には全ての人が善良で、親切で、互いに愛し合っていると信じています。感情表現に関わる領域でILEがイニシアチブを取らなければならないような状況になった場合、かなり滑稽なことをしてしまいます。ILEは、こうした感情表現の領域のことをあまり理解していません [5]。
危険やスリルは、ILEに活力を与えます。これは周囲の人々の善良な感情と同じくらい、彼らを刺激するものです。刺激やパニックが強ければ強いほど、ILEは活動的になり、自信に満ち溢れるようになります。
人を威圧することはできません。危機的な状況では、自分が責任を引き受けようとする覚悟があります [6]。しかし平和で穏やかな状況では、責任あるポストに自分が立つ自信を失ってしまいます。競争に晒され続けると、そこから去りたくなります。
親しみやすいコミュニケーションが好きですが、自分からコミュニケーションを取るよりも、どちらかというと人にリードして欲しいと思うタイプです。
訳注
- ^ 空を舞う鶴:「не сули журавля в небе, дай синицу в руки(空を舞う鶴よりも、手の中のシジュウカラ)」という、「入手困難な素晴らしい物よりも、すぐに手に入るほどほどの物の方がいい」ということわざがあるが、それを踏まえた比喩。「ILEは、すでに手元にあるそこそこの物で満足するのではなく、容易には手が届かない素晴らしい物を追い求めるタイプだ」という意味。
- ^ ILEが属するアルファ・クアドラは、社会が発展するプロセスを4つの段階に分けた場合、アルファ・クアドラは「はじまりの段階」を象徴するクアドラである。アルファ・クアドラであるタイプは、ILE、SEI、ESE、LIIの4タイプである。
- ^ こうした傾向は、第3機能(役割機能)がSeであるタイプの特徴だと言われることがある。
参考:http://www.wikisocion.net/en/index.php/Extroverted_sensing#as_a_role_(3rd)_function_(ILE_and_IEE) - ^ 二分法「主観主義」
- ^ 感情表現の領域とはFeのこと。ILEのFeは第6機能である。第6機能(動員機能)は「尊重」かつ「2次元性機能」であるため、「価値があることは理解しており、世間一般的な規範(例えば「結婚式に参加した際はポジティブな感情表現を見せるべき」などの知識)を活用することもできるが、その時々の状況の細かいニュアンスに合わせた柔軟な行動は難しい」機能である。
- ^ 本記事では、ILEが「危機的な状況では主導的立場に立つ一方で、普段はそうした立場から離れるタイプ」として説明されている。これはSeが第3機能(役割機能)であることに由来する説明ではないかと思われるが、その一方で、ILEが二分法「プロセス」タイプであることに着目して、むしろその説明とは全く逆の特徴を持つタイプ(危機的状況よりも、平常状態の方が社会の中心的立場に立ちやすいタイプ)だと説明されることもある。関連記事「社会的進歩リング」