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はじめに
SLEとEIEは、共に二分法「否定主義」「構成主義」であるタイプです。それぞれが自分の肯定的な素質を発揮し、行動や行為によってパートナーの役に立ち、奉仕しようと努めますが、そのためにパートナーからの感情的な感受性や心のこもった態度がどこか欠けていると感じやすい傾向があります。
時間が経つにつれて、互いに相手を「抑制」し、現実に引き戻そうとするようになります。SLEは自分の冷静で現実的な人生観に誇りを持っていますが、EIEは自分が愚か者だとは思っていません。さらにEIEは、他人が自分を愚か者扱いし、生き方を教えようとすることを嫌います。機能 1 - 6 と 2 - 5 の相互作用(Se, Ni, Fe, Ti)
EIEは初めてSLEと会った際、人当たりがよく、陽気で茶目っ気たっぷりの態度をとり、まるでSLEの双対であるIEIのように、冗談を言ったりふざけたりし始めます。EIEの「感情の倫理(Fe)」のプログラム機能(別名:主導機能、第1機能)は、軽快で遊び心のあるキャラクターを見せるようになります。厳格な悲劇俳優だったEIEが、コメディアンに変身し、あらゆる種類のジョークやナンセンスを繰り出します。また、EIEのリーダーになりたいという願望にもいくつかの変化が生じます。イデオロギー信奉者や指導者から、一種の「首謀者兼ジョーカー」へと変貌を遂げるのです。
これらの関係はSLE自身をも軟化させ、より内向的で柔和にします。EIEとの関係は「親」のような柔らかく保護的な雰囲気を帯びます。活性化したSLEは、非常に強い非合理サブタイプであるLSI(LSI-Se)に似ています。そしてしばらくの間、SLEはリラックスして、堅苦しさや権威者然とした様子、さらに開放性が消えます。SLEはEIEのジョークで簡単に活性化し、そのふざけた雰囲気に身を委ねますが、しばらくすると再び真面目で理性的でありたいと思うようになります。SLEはEIEのジョークやからかいに飽き始め、次第に攻撃的で敬意を欠いた態度に変わっていきます。よく知られているように、ベータクアドラの場合、パートナー同士が互いに「挑発」し合うことを好みます。SLEはEIEのジョークが一種の「リトマス試験紙」であり、EIEに対して毅然とした対応を取る必要があることを理解し始めます。SLEは意志の感覚(Se)によってのみ適切に反応できますが、その結果として厳しい命令口調や無礼な振る舞いが再び現れ、EIEもそれに応じた反応を示すようになります。
EIEもまた、SLEが長い間忘れられないような、巧妙で残忍な形で「生意気さ」と闘志を発揮します。最初に対立と衝突が起こった後、それぞれの立場に戻り、互いに腹を立て、警戒し、困惑します。
EIEとSLEのパートナーシップは、二人のリーダー、つまり二つの否定主義タイプ同士の絶え間ない戦いです。時が経つにつれて、両者は衝突を通して得た経験から、互いを尊重し、より距離を保ったコミュニケーションを取るようになります。
EIEは自分の指導権を主張し、このような関係において必要な感情的・倫理的トーンを設定しようとします。EIEは双対であるLSIの感情的感受性と暗示されやすさ [1]を指向していますが、SLEはLSIとは異なり感情的に動かされにくく、一度動き出すと冷静さを取り戻すのに長時間かかる感情的惰性に困惑し、失望します。時が経つにつれて、EIEはSLEの予測不可能な気質を恐れるようになり、常にSLEに自分を合わせなければならないと気付きます。EIEの感情は、最終的に、より柔軟で操作的な性質を身に着け、人の気をそらしリラックスさせることができるようになります。こうして長期間、活性化関係を続けたEIEは、SLEの双対であるIEIの特徴をいくつか取り入れるようになります。時々、EIEはSLEに好意を求めたり、SLEの粗っぽくてぎこちないジョークに感銘を受けたり、笑ったりします。妻がSLE、夫がEIEの場合、夫は最終的に、静かで感じのいい家庭的な男性になります。
パートナーのサブタイプや気質も重要です。気質の相性がよくない場合、かなり不快な関係になってしまうこともあります [2]。例えば、非常に顕著なCholeric(胆汁質)気質のEIEは、緩慢で無気力なSLEとの関係にスリルの無さを感じることがあります [3]。こういう場合、EIEは衆目の前でSLEを辱めたり、侮辱したりして、公然とサディズムに駆り立てられることがあります。SLEはEIEから何を求められているかを察していることが多いですが、常にEIEの挑発に応じるわけではありません。というのも、SLEは厳しさとともに不活発さを持っており、些細な状況や単なる娯楽に厳しさを向けることを好まないためです(SLEの厳しさは、愛する人ではなく敵に対してのみ向けられます)。そのため、EIEのスリルと危険への欲求は満たされずに終わります。
機能 3 - 8 と 4 - 7 の相互作用(Fi, Te, Si, Ne)
見てわかる通り、SLEの監視機能(別名:無視機能)であるSiは、活性化パートナーであるEIEのすべてのニーズを満たすことができません。非常に具体的で状況に応じたLSIの柔軟な感覚機能を指向しているEIEにとって、これは不幸な展開です。一方、彼(EIE)のSLEを「からかう」試みは予測できない結果を招き、EIEにとって望ましくない反応を引き起こします。そのため、EIEは互いの人生の多くの面で不満と満たされなさを感じ始めます。
やがてEIEは、SLEに対して倫理的批判を積み重ね、SLEが数々の厄介な倫理的状況に陥ることに苛立ちを覚えます [4]。EIEは双対であるLSIの規範的倫理Fiを指向しているため、SLEの行動にしばしば当惑し、SLEの振る舞いがEIEから見て許容範囲を超えていると感じた際には、それを批判することが自分(EIE)の責務だと考えます。EIEはSLEの自己中心性、不当な拡大主義、他人を省みない傾向を非難します。これらすべてに対するEIEの指摘によって、SLEは倫理的なストレスを感じ、トラウマを植え付けられます。それと同時に、SLEはより内向的で用心深く、抑制的になっていきます。
EIEは、自分の事業活動にSLEが積極的に参加しようとするのを必ずしも歓迎しません [5]。なぜなら、EIEはこの活動を通して自分の独立性を示し、自分にもできることがあることを、自分自身を含めた周囲の全員に証明したいと思っているからです。SLEの関与は、EIEの計画や意図と一致しないことが多く、そのせいでEIEの事業に対するイニシアチブが弱まることがあります。EIEは、SLEからの急ぎの助言だけでなく、その実行に対する厳しい管理にも苛立ちを感じます。
しかし、やはりEIEの倫理的・直観的な警告、特にそれがSLEの「仲間」を「浄化」することで終わる場合、完全に満足できるわけではありません。SLEは、EIEが露骨に自分を操作し、EIEの影響力と意志に服従させ、有益で必要な繋がりを「断ち切る」よう強いて、「正しい」人々と争わせようとしているのではないかと疑い始めます。もちろん、SLEはこういったことを快く思いません。
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訳注
- ^ LSIの感情的感受性と暗示されやすさ:LSIの暗示機能Feのこと。
- ^ ソシオニクスのサブタイプの相性:合理サブタイプ同士(EIE-FeとSLE-Ti)や、非合理サブタイプ同士(EIE-NiとSLE-Se)は一般的に好相性とされる。ソシオニクスでは、合理/非合理が一致する組み合わせが好相性と考えられている。例えば双対関係は、外向/内向、直観/感覚、論理/倫理が逆で、合理/非合理が一致するタイプの関係であり、衝突関係はこれら4つの二分法がすべて逆のタイプ関係である。
- ^ 緩慢で無気力なSLE:おそらくMelancholic(黒胆汁質)のこと。ソシオニクスと気質の関係は記事「気質」参照。
- ^ EIEの監視機能Fi ⇒ SLEの脆弱機能Fiへの批判。Stratiyevskayaは、SLE-EIEの関係に限らず、全タイプに共通する話として、脆弱機能(第4機能)を「人からのサポートを求めている機能」、役割機能(第3機能)を「人からのサポートを求めておらず、自分の力でどうにかしたい機能」、監視機能(第7機能、無視機能とも)を「まず状況を監視して、後になってから批評する機能」、実証機能(第8機能)を「相手がサポートを求めているかどうかに関わらず、先回りしてサポートをする機能」と解釈している。
- ^ EIEの役割機能Teと、SLEの実証機能Teの話。