edit

影の機能モデル(MBTI派生理論) 第1機能:英雄

2023年4月16日日曜日

MBTI派生理論 影の機能モデル 元型

影の機能モデル #1. 英雄

この記事では、MBTIの派生理論である「影の機能モデル」における英雄(第1機能)について説明する。

影の機能モデル自体の概要については、記事「影の機能モデル(MBTI派生理論):はじめに」参照。


英雄(第1機能)

全ての人が、生まれつき「英雄としての私」を持っているが(英雄元型)、この「英雄としての私」は、タイプごとにそれぞれ異なる視点・世界観を持っている。この視点・世界観は、その人の英雄元型が持つ第1機能が何であるかによって異なっている。

少なくとも意識的な自己イメージの中における「私」は、英雄元型によって形作られる(Heroは通常「英雄」と訳されることが多いが、人生と言う小説の「主人公」としてのイメージにも近いかもしれない)。


自我の主要な立場であるため、他人に英雄コンプレックスを投影することはあまりない

幼い子供が、英雄コンプレックスの視点(自分の支配的な視点)をはっきり体現しているような人物に対して尊敬の念を感じることはある。例えばINTPである幼児が、Ti的な機能態度をはっきり示している人物に対して尊敬の念を向けることがある。

英雄は自我の「運営特権」を持っている。


◆◆◆


人は下記のような視点に立つことで、「難問を乗り越えた英雄」のようなポジティブな感覚を得ようとする。
  • Se(ESxP):空間的な意味での環境をスキャンして、具体的な体験や実用的な体験をしなければならない。
  • Si(ISxJ):実用的なデータを自分の中に蓄積し、精通しなければならない。
  • Ne(ENxP):時間的な意味での環境をスキャンして、仮想的な代替可能性を探さなければならない。
  • Ni(INxJ):人生は、個人的な「潜在意識」のイメージによって満たされなければならない。
  • Te(ExTJ):環境は、規則正しく効率的に整理されていなければならない。
  • Ti(IxTP):人生は、私の個人的な理解から見て「正しいもの」でなければならない。(ISTPにとっては技術的意味での正しさ、INTPにとっては物事の本質や理論的な意味での正しさ)。
  • Fe(ExFJ):環境は、社会的に友好的なもの(「良いもの」)でなければならない。
  • Fi(IxFP):人生は、私の個人的な価値観(人道的な意味での価値観)に一致していなければならない。


英雄コンプレックスとペルソナ

内向的態度(Ti,Fi,Si,Ni)が第1機能である場合

  • 「内面世界の深さに焦点を合わせている人物」というペルソナをかぶる。
  • 「外界は薄っぺらくて押しつけがましいもの」だと感じてしまう。


外向的態度(Te,Fe,Se,Ne)が第1機能である場合

  • 「外界に焦点を合わせている人物」というペルソナをかぶる。
  • 「内面世界は、曖昧で、難解で、複雑すぎるもの」だと感じてしまう。


思考(T)が第1機能である場合

  • 第1機能(T)の視点から見た場合、人間性(感情を含む)は「いかにも脆弱で、限界だらけのもの」に見えてしまう。そのため、人間性を無視するようになっていく。
  • 人道的な価値は、非人間的であること(例えば「感情に流されずに数値から判断する」等)から生まれるという信仰を持つようになる。
  • 「技術的な知識に精通した人物」というペルソナをかぶる。


感情(F)が第1機能である場合

  • 第1機能(F)の視点から見た場合、「人情味のないもの、冷たく、非人間的なもの」は「いかにも脆弱なもの」に見えてしまう。
  • 上記のような視点が極端になると、それまで無意識の暗闇の中に押し込めていた要素が補償的に表れてしまい、急に「やっぱり冷たく技術的な視点こそが素晴らしいのだ」という視点に陥ってしまう(ユング心理学用語で、この反転現象をエナンチオドロミアという。関連記事「ユング心理学:影、ペルソナ、アニマについて - Joseph Campbell」)
  • 「人情を理解できる人道的な人物」というペルソナをかぶる。


感覚(S)が第1機能である場合

  • 第1機能(S)の視点から見た場合、「抽象的な概念の世界に足を踏み入れること」は「脆弱」であると感じられてしまう。
  • 「具体的な世界に生きている人物」というペルソナをかぶる。


直観(N)が第1機能である場合

  • 第1機能(N)の視点から見た場合、「目に見える物事だけに囚われること」は「脆弱」であると感じられてしまう。
  • 「物事の裏にある意味を見通している人物」というペルソナをかぶる。


機能の内向性と外向性

ユングは内向、外向の方向性を機能そのものというよりも、自我自体に付随するものだとされている。

ユングは機能の指向性を、自我にとって好ましい(重視している、選好している; preferred)態度から出発して、好ましい姿勢に戻り、その途中で反対の指向性にアクセスするというサイクルで表現している。

  • 内向的な機能は、主体から客体に流れ、内部の青写真に従って客体から不要なものがなものが差し引かれた後で、主体に戻る。
  • 外向的な機能は客体から主体に流れ自分自身を融合してから、客体に戻る。


つまり、ユングの考えを踏まえると、Te,Ti,Fe,Fi,Se,Si,Ne,Niの8つの機能があるのではなく、TFSNの4つの機能しか存在せず、この4つの機能がそれぞれ内向と外向の両方の態度を持っていると言える。

影の機能モデルにおいて、第1機能と第5機能、第2機能と第6機能、第3機能と第7機能、第4機能と第8機能が、それぞれ内向性/外向性だけが異なっているのは、第5,6,7,8機能が、第1,2,3,4機能の影(抑圧された、反対の態度)であるからである。


参考:

関連記事

ソシオニクス・タイプ診断

  カテゴリー
EIE (32) EII (38) ESE (31) ESI (36) IEE (38) IEI (32) ILE (31) ILI (36) LIE (36) LII (31) LSE (38) LSI (32) SEE (36) SEI (31) SLE (32) SLI (38) アマトリカ (3) クアドラ (35) サイコソフィア (32) タイピング指標 (4) タイプ関係 (24) テンポリスティック (1) トライタイプ (29) 機能 (11) 機能二分法 (7) 次元 (5) 情報要素 (13) 診断リンク (12) 二分法 (29) 認知スタイル (4)

最新の記事

ソシオニクス ESI(ISFj)by Beskova

連絡フォーム

名前

メール *

メッセージ *

QooQ