この記事では、MBTIの派生理論である「影の機能モデル」における敵対者(第5機能)について説明する。
影の機能モデル自体の概要については、記事「影の機能モデル(MBTI派生理論):はじめに」参照。
敵対者(第5機能)
影の機能モデルでは、「敵対者」という元型が第5機能を包み込んでいるとされる。第5機能がこの元型に関するコンプレックス(敵対者コンプレックス)を運用する上での視点・世界観になる。
第1機能と、ちょうど内向外向が逆になる。例えばINTPの場合、第1機能がTiであり、第5機能がTeである。
人は通常、自分の優位な視点(第1機能の視点)が、それとは反対の方向にある視点(第5機能)から妨害されることに対して否定的な感情を感じやすい。
第4機能のアニマ・アニムスが「マドンナ」「ナイスガイ」に感じられるのに対して、こちらは「娼婦」「悪漢」のように感じられる。(第1機能~第4機能は「自我親和的」であるのに対し、第5機能~第8機能は「自我異質的」であるため、ネガティブなものに感じられる)
タイプ別:第5機能から自我が妨害された際の反応
- ISxJ(#1=Si、#5=Se)の場合:
具体的/実際的な現実というものに閉塞感を感じる。 - INxJ(#1=Ni、#5=Ne)の場合:
新たな意味や仮説に基づく可能性といったものが邪魔に感じる。 - IxTP(#1=Ti、#5=Te)の場合:
環境の合理化、効率化や組織の規定、規約というものに、閉塞感を感じる。 - IxFP(#1=Fi、#5=Fe)の場合:
グループや組織の基準によって妨害されているような気分になる。 - ESxP(#1=Se、#5=Si)の場合:
「物事がかつてどのようであったか」についての自分の認識によって邪魔されているような気分になる。 - ENxP(#1=Ne、#5=Ni)の場合:
「無意識のイメージや意味」に対する自分の認識によって妨害されているように感じる。 - ExTJ(#1=Te、#5=Ti)の場合:
「個人的に理解した技術的原則や、その原則に機械的に従うこと」によって妨害されているように感じる。
(例:業務効率を上げるためにマニュアルを導入したいのに、「私なりの仕事のやり方」を持ちだされてうんざりする) - ExFJ(#1=Fe、#5=Fi)の場合:
「個人的な価値観」というものに妨害されているような気分になる。
タイプ別:敵対者コンプレックスの投影のされ方
敵対者コンプレックスが働いている場合、潜在意識上での態度は、一般的に「あなたは私を妨害している、だから私はあなたに敵対する」というものになる。
第5機能の投影は、自分の支配的な態度(英雄である第1機能)に没頭するあまり、それを邪魔するような自分自身の無意識からの囁き(第1機能の影である、自分の第5機能のささやき)に反発を感じ、しかもその反発を他者に投影してしまうことから生じる。
他者に「敵対者」を投影すると、まるで相手がアンチヒーローや悪役のように感じてしまうが、実際にアンチヒーローや悪役のように自分を妨害し、うんざりさせているものは自分自身なのである。
- ISxJ(#1=Si、#5=Se)の場合:
刹那的な生き方は無責任だと考える。 - INxJ(#1=Ni、#5=Ne)の場合:
パターンは常に一つの正しい結論を示すのであって、そこに複数の可能性があると結論付けるのは馬鹿げたことだと考える。 - IxTP(#1=Ti、#5=Te)の場合:
「規定や協定によって制定された論理的ルール(例えば仕事でプログラミングする際、順守するよう求められるコーディング規約)」などというものは馬鹿げていて時間の無駄だと考える。 - IxFP(#1=Fi、#5=Fe)の場合:
「規定や協定によって制定された倫理的ルール(例えば社会的公平性を実現するために、採用試験で社会的弱者とされる人々に一定の加点をするルール)」は、人々の真のニーズには届かず、むしろ悪影響を与えるものだと考える。 - ESxP(#1=Se、#5=Si)の場合:
丸暗記されたルールなんてものは馬鹿げたものであり、自由を制限するだけだと考える。 - ENxP(#1=Ne、#5=Ni)の場合:
環境から得られる様々な可能性に目を向けず、たった一つの可能性だけに絞るのは愚かだと考える。 - ExTJ(#1=Te、#5=Ti)の場合:
物事を些細なレベルにまで分解して【個別に評価】することは、愚かで非効率的で時間の無駄だと考える。
(例えば「対象の業務に精通している人が規約を作って、他の全員がそれを順守すればすむだけの話なのに、チームメンバーがそれぞれ独自に業務を分析して品質や効率を向上させるために工夫するというのは無駄だ」というような考え方) - ExFJ(#1=Fe、#5=Fi)の場合:
個々の個人的なニーズに合わせてすべてを調整するのは面倒だと考える。
- PERSONALITY MATRIX Part 2 addendum: archetypes
- Energies and Patterns in Psychological Type: The reservoir of consciousness 1st Edition by John Beebe