この記事では、MBTIの派生理論である「影の機能モデル」における良い親(第2機能)について説明する。
影の機能モデル自体の概要については、記事「影の機能モデル(MBTI派生理論):はじめに」参照。
良い親(第2機能)
影の機能モデルでは、「良い親」という元型が第2機能を包み込んでいるとされる。第2機能がこの元型に関するコンプレックス(良い親コンプレックス)を運用する上での視点・世界観になる。
良い親は、人生のかなり早い段階で分化するものではあるが、レノア・トムソンによると、多くの人は第2機能よりも第3機能(子供)による防衛に走りやすいため、子供コンプレックスと比べると他者に投影されやすいとされる(第1機能や第3機能と比べると、第2機能のほうが「これもまた私自身の側面だ」という自覚を持ちにくい)。
良い親コンプレックスを他者に投影した場合、相手のことを「自分の面倒を見てくれる親」のように感じて、相手に「第2機能のことを助けてもらおう」と期待してしまう(ちなみに良い親コンプレックスは子供コンプレックスと連動して働くことが多い)。
一方で、他者への良い親コンプレックスの投影をやめると、今度はむしろ自分自身が「良い親」のようになろうとして、極端な振る舞いをし始めることもある。例えば自分の視点から「他人を厳しく教え導く教師」になろうとする。
「親」は英語でPARENTと書くが、PARENTには「親」という意味以外に、「子供を養育する(教育する)」「親として振る舞う」という意味もある。他者にPARENTを投影していると、他者が「親」になるが、このPARENTを自分の方に取り戻すと、自分がPARENTする側になるのである。
人は良い親コンプレックスを運用することで、「他者を権威的にサポートする親や指導者」のようなポジティブな感覚を得ようとする。
- Se(ISxP):実践的経験という面から他者を支援する。
- Si(ESxJ):自分が慣れ親しんだものに従って、他者を教え諭す。
- Ne(INxP):他者に代替の仮説の可能性を示す。
- Ni(ENxJ):直観やビジョンから、「物事の根底にある重要な意味」を他者に示す。
- Te(IxTJ):環境を効率的に整理するよう他者に指示する。
- Ti(ExTP):論理的真理に従って他者を教え導く。
- Fe(IxFJ):社会的倫理やグループで共有されている価値観を他者に教える。
- Fi(ExFP):状況との個人的な関係性を通して、他者を導く。
- PERSONALITY MATRIX Part 2 addendum: archetypes
- Energies and Patterns in Psychological Type: The reservoir of consciousness 1st Edition by John Beebe