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元型

2021年10月20日水曜日

MBTI 元型 診断リンク

元型・アーキタイプ

絵:ユング作(赤の書より)


元型の発見

スイスの精神科医カール・グスタフ・ユングは、精神疾患を患った人々の語る夢、空想の中に多くの類似したモチーフが見られることに気づき、そこから「元型」の発見に至った [1]

「太陽の男根が見える。頭を前後に動かすと、それも同じように前後に振れる。これが風の起源になる」

ユングは最初はバカげた妄想だと思ったものの、その4年後、ミトラ教のパピルスについて書かれた、当時は出版されたばかりだった書籍の中から、この話に極めて類似したイメージ、すなわち「風の起源は太陽からぶら下がる筒である」という記述を発見することになる。

ユングがさらに驚いたのは、この患者が妄想について語った当時このミトラ教に関する書籍がまだ出版されていなかった点、そしてこの患者は初等教育を受けておらず、旅行に行ったことがなかった点だった。この患者はミトラ教に関する情報を入手する手段が全くなかったにも関わらず、2000年も前のミトラ教の教義に登場するイメージと同じイメージを見ていたのである。

そこでユングは文化史の教育を受けていない子供や患者の夢を詳しく調査した。そしてその結果、そこに神話やおとぎ話のモチーフと同様のモチーフが見られることを発見した。

そこから様々な民族の神話を徹底的に研究したユングは、次のような結論に至ることになる。すなわち、それらの間に見られるモチーフの類似性は、民族同士に接触があったから生まれたものではなく、集合的無意識の中に存在する普遍的な素質によって生まれたものであるという結論である。

ユングはこれを「元型」と呼んだ。


参考:


哲学的ルーツ

元型の起源や哲学的基礎として、一般的にはプラトンのイデアが挙げられる。ユングは主にここからインスピレーションを得たとされている。他にキリスト教哲学やデカルトの名が挙がることもある。


参考:
  • https://dominiquemakowski.github.io/archetypes/history-of-archetypes.html#philosophical-roots(リンク先ページダウン)


ユングの元型

【元型】自己
【特徴】自己とは、個人の無意識と意識が一体化したものである。自己の創造は、人格のさまざまな側面が統合される個性化と呼ばれるプロセスを経て行われる。
【象徴】円、四角、曼荼羅

【元型】影
【特徴】影は、性や生命の本能から成り立っている。多くの場合、荒々しさ、混沌、未知を表す精神の暗黒の側面として表現され、無意識の一部として存在し、抑圧されたアイデア、弱点、欲望、本能、欠点などで構成されている。自分の精神に潜むこれらの性質を否定し、その代わりに他人に投影することがあるが、これは全ての人間が行うことである。影は、夢や幻の中に現れ、様々な形をとることがある。
【象徴】蛇、モンスター、悪魔、ドラゴン、闇、野性的またはエキゾチックな姿

【元型】アニマ/アニムス
【特徴】アニマは男性の精神における女性的なイメージであり、アニムスは女性の精神における男性的なイメージである。アニマとアニムスは、他人に見せるイメージではなく「真の自己」を表しており、集合的無意識との主要なコミュニケーション源となっている。アニマとアニムスの組み合わせは、完成、統合、全体性を表している。
【象徴】朔望(太陽・地球・月などの他の天体が一直線に並ぶ配置となること)、聖なるカップル

ユング作(赤の書より)

【元型】父
【特徴】権威者、厳格さ、力強さ
【象徴】─

【元型】母
【特徴】養育、癒し
【象徴】─

【元型】子
【特徴】無邪気、再生、救済へのあこがれ
【象徴】─

【元型】老賢者
【特徴】導き、知識、叡智
【象徴】─

【元型】英雄
【特徴】チャンピオン、ディフェンダー、レスキュー
【象徴】─

【元型】乙女
【特徴】無垢、欲望、純粋さ
【象徴】─

【元型】トリックスター
【特徴】詐欺師、嘘つき、トラブルメーカー
【象徴】─


OldWiseMan
ユング作(赤の書より:老賢者フィレモン)


参考:


影の機能モデル(MBTI派生理論)

MBTIから派生した理論であり、ユングの8種類の元型と絡めたモデルである[2]

1 英雄
2 良い親
3 子供/永遠の少年
4 アニマ/アニムス
5 敵対者
6 魔女/老人
7 トリックスター
8 デーモン/ダイモン

詳しくは下記の記事を参照。


関連記事

記事「MBTI、ソシオニクス、16Personalitiesその他16タイプ類型の違い」では、MBTIとそれ以外の類型論の比較を行っている。MBTIとの違いが気になる人は参考になるかもしれない。こちらの記事では、ビーブ・モデルから派生したモデル(リンダ・ベレンズのインタラクション・スタイル・モデル)の概要も説明している。


キャロル・ピアソンの元型

キャロル・S・ピアソン(Carol S. Pearson)によって論じられた、人生の意味と目的に関する元型論である。また、彼女はそれを元にPearson-Marr Archetype Indicator (PMAI)を作成した。

キャロル・S・ピアソン:
アメリカの作家・教育者。精神科医のユング、精神分析医のジェームズ・ヒルマン、神話学者のジョセフ・キャンベルなどの研究成果をもとに、実用性を重視した新しい理論やモデルを開発している。

この12の元型は、キャロル・S・ピアソンとマーガレット・マークとの共著『ブランド・アーキタイプ戦略 THE HERO AND THE OUTLAW 驚異的価値を生み出す心理学的アプローチ』にて、企業のブランドイメージの類型としての活用も行われている。

元型の一覧

12Archetypes

オンラインテスト:
(非公式テスト)https://lonerwolf.com/psychological-archetype-test/
 回答入力後、メールアドレスの入力のポップアップが出るがスキップ可能

【元型】 純真な人(イノセント)
【ゴール】 安全性の維持
【恐れ】 遺棄
【ギフト】 楽観主義、信頼、希望、信念、シンプルさ
【落とし穴】 ナイーブさ、幼稚な依存心、否定、忘却

【元型】 賢者
【ゴール】 真理
【恐れ】 欺瞞
【ギフト】 叡智、執着しないこと、知識、懐疑的
【落とし穴】 過度に批判的、尊大、非現実的、感情/共感の欠如

【元型】 探求者
【ゴール】 より良い暮らし
【恐れ】 追従
【ギフト】 自律性、向上心、アイデンティティ、可能性の拡大
【落とし穴】 約束できない、慢性的な失望感、疎外感、寂しさ

【元型】 革命家(デストロイヤーとも)
【ゴール】 メタモルフォーシス(変質・変身・変態)
【恐れ】 殲滅
【ギフト】 謙虚さ、メタモルフォーシス、革命、手放す能力
【落とし穴】 自分や他人に危害を加える、コントロールできない怒り、テロリスト的な戦術

【元型】 魔術師
【ゴール】 トランスフォーメーション(変換・変形)
【恐れ】 邪悪な魔術
【ギフト】 個人的な力、変革的、触媒的、癒しの力
【落とし穴】 他人を操る、現実との乖離、カルト教祖的

【元型】 戦士
【ゴール】 勝利
【恐れ】 弱さ
【ギフト】 勇気、規律、決意、技術
【落とし穴】 冷酷さ、傲慢さに繋がる虚弱さへの恐れ

【元型】 恋人
【ゴール】 至福
【恐れ】 愛の喪失
【ギフト】 情熱、献身的、責任感、熱意、官能的な喜び
【落とし穴】 まるで物を扱うかのように他人を扱う、恋愛・セックス依存症、コントロールできない性欲

【元型】 愚者あるいは道化師
【ゴール】 愉快さ
【恐れ】 生き生きしていない状態
【ギフト】 自由、ユーモア、今を生きること、溢れんばかりの喜び
【落とし穴】 乱痴気騒ぎ、無責任、怠惰、残酷なジョーク、詐欺行為

【元型】 孤児
【ゴール】 安全性の回復
【恐れ】 搾取
【ギフト】 支え合い、現実主義、立ち直る力、共感
【落とし穴】 冷笑主義、被害者意識の強さ、愚痴っぽさ

【元型】 介護者
【ゴール】 人助け
【恐れ】 利己主義
【ギフト】 思いやり、寛大さ、育成、コミュニティ
【落とし穴】 殉教的、病的なまでに人の助けになりたくてしかたがない、共依存、罪悪感を抱かせる

【元型】 統治者
【ゴール】 整然とした秩序
【恐れ】 混沌
【ギフト】 責任、管理、主権、システムに精通している
【落とし穴】 硬直性、支配的行動、権利意識、エリート主義

【元型】 クリエイター
【ゴール】 アイデンティティ
【恐れ】 本物でないこと
【ギフト】 創造性、ビジョン、個性、美学、想像力、スキル、天職
【落とし穴】 自堕落、貧困、混乱を生む、プリマドンナ的行動(プリマドンナ的:自我が肥大していて、他人への要求が多く、派手好きであること)


参考:


ロバート・ムーアの元型

ロバート・ムーア(Robert Louis Moore):
アメリカのユング派分析家、精神分析学者。シカゴ神学校の心理学、精神分析、スピリチュアリティのディスティングイッシュトプロフェッサー(特にすぐれた業績をあげた教員に与えられる、教授より上位の職階・称号)であり、シカゴのC.G.ユング研究所のトレーニングアナリスト。

書籍『King, Warrior, Magician, Lover: Rediscovering the Archetypes of the Mature Masculine (王、戦士、魔術師、恋人:成熟した男性の元型の再発見)』にて、共著者であるダグラス・ジレット(Doug Gillette)とともに、人間の精神における元型的なレベルでの4つの主要なエネルギー源について論じている。これはKing, Warrior, Magician, Loverの頭文字をとってKWMLモデルと呼ばれる。このモデルは下記の図のようにあらわされる。4つの元型軸の中には、未熟な段階と成熟した段階があるだけでなく、少年と成熟した男性のピラミッド構造があり、三角形の左右の角には能動的な影と受動的な影の側面が、頂点には統合された元型がある。

KWML

成熟した男性の元型
  • 魔術師
  • 恋人
  • 戦士

この元型にはそれぞれ未熟なバージョンの元型(少年の元型)が存在する。

少年の元型
  • 神の子
  • 早熟な子
  • エディプス [3]
  • 英雄


それぞれの元型には能動的な極性の影受動的な極性の影の2種類の影があるとされている。人が各元型と意識的な関係にない時には、これらの影に自動的に支配されている。目の前で起こる様々な出来事に翻弄されて、能動的な極性の影と受動的な極性の影の間を行ったり来たりする状態がそれにあたる。そして、この自動的な影の働きに自分自身が翻弄されていることに気付き、バランスをとる必要性を自覚することが治癒と統合に繋がるとされている。


少年という状態とは
自我の奴隷状態であり、衝動を抑えられず勝手気ままに振る舞い、口先では立派なことを言うが行動が伴っていないというような、無責任で誠実性をほとんど持ち合わせていない状態である。完全に「女性(生物学上の母親というより、潜在意識の母親、元型的な母親)」の魔力の支配下にあり、この「女性(母親)」のそばにいるだけで幸せを感じる。少年時代の最後の元型である「英雄」の目的は、この女性への束縛から解放されることだとされている。童話に例えるならば「ドラゴンを退治し、姫を助けて結婚し、王位を授かる」という状態を表す。これは心理学的に言うなら、自我に隷属していた状態を抜け出し、自我を支配する状態になったということを意味する。

成熟した男性という状態とは
童話では語られることのない「ドラゴンを退治し、姫を助けて結婚し、王位を授かる」という偉業を成し遂げた後の様々な困難に立ち向かう時期にあたる。竜退治の英雄は、国と家庭を維持するという仕事を行わなければならないのである。

fafnir_and_sigurd
A depiction of Sigurd slaying Fafnir from Hylestad Stave Church, from the second half of the 12th century

① 王
男性の精神において、王の元型は中心的な元型であり、その周りに残りの精神が組織化されている。 王は調和の原理であり、混沌の支配者であり、相反するものを統合する者である。神々がコミュニケーションをとるためのチャンネルであり、神は王を通して祝福を彼の国民と(彼が「結婚」している)土地に伝える。

王のエネルギーが弱い場合、精神的な混乱に陥り、混沌が国を脅かすような状態になる。いつも人生に圧倒されている人、つまり調和や秩序を見つけられない人は、王のエネルギーを発達させ、場合によっては戦士のエネルギーと組み合わせて自分の境界を守らなければならなくなる。

能動的な極性の影:暴君
新約聖書に登場する、赤ん坊であったイエスを亡き者にしようとしたヘロデ王のように、自分の立場を脅かす新しい命を恐れ、憎悪する。王とはただの水路にすぎないことを理解しておらず、権力と自分自身を結びつけるために必死になってしまう。自分の大きな不安を隠すために、神のようなふりをすることさえある。すべての良いもの、真なるもの、美しいものは自分の欠点を思い起こさせるため、他人やすべての美をどこまでも貶めようとする。批判に対して非常に敏感で、恐怖や弱さの裏返しとして怒りを使うようになる。

受動的な極性の影:薄弱な男
自分自身の軸がなく、内なる平和と調和を欠いていてパラノイアに陥りやすくなる。周囲の人間の誠実さを疑い、裏切りを恐れるあまり、「暴君」に切り替えて状況をコントロールしようとする。


② 魔術師
思想家であり、特別な訓練を必要とする知識はすべて魔術師の領域にある。世界の混沌とした出来事から離れて、自分の奥底にある本質的な真実やリソースを引き出す能力を持っており、危機的な状況下でも思考を働かせながら、より広い視野で物事を捉えることができる。観察する自我を司り、宇宙の真理を明らかにする瞑想者であり、祖先や星と交信するシャーマンでもある。

能動的な極性の影:操作的な人(マニピュレーター)
他人を貶めるために裏で画策しようとする。重要な情報を隠したり、わざと他人を陥れることで、他人が自分よりも劣っているように見せようとする。自分が持つ専門的な知識は誇りであり、優越感を与えてくれるものであるため、適切な対価が得られない限り自分の知識を共有しようとはしない(そしてたとえ共有する場合であっても重要な情報は隠そうとする)。知識を武器として使い、最も破壊的なインパクトを与えることができるタイミングで、それを使って攻撃できるようにしておこうとする。

受動的な極性の影:純真な人(イノセント)
真の魔術師の地位を望んでいるが、責任はとりたくないと思っている状態。他人のために学習の場を用意したり、学習の手助けをする負担を厭う。主な目的は、変化をもたらそうと必死に努力している人々を妨害するために必要なことを正確に学び、面倒すぎて自分ではできない偉業を他人が達成しないように画策することである。活力に欠けているがゆえに、他人の活力を妬む。自分のとらえどころのない破壊的な行動をつきつけられると、いつでも「それは私のことを言っているのですか」と答える。他人を操り、自分の悪事を他人がやったかのように見せかける手管にばかり長けている。


③ 戦士
戦士はエネルギーの原動力であり、その源は個人を超越したコミットメントである。自分の名誉である戦士の規範と、自分の目的を象徴する王に深く忠誠を誓っている。ライフ(生活・命)から切り離されており、自分の安全性や快適さには関心を持たない。戦士の領域は戦場(戦争の戦場、精神的な戦場、倫理的な戦場など全ての戦場)である。戦士の目的は破壊であることが多いが、成熟した戦士は、世界にとって否定的で有害なものだけを破壊する。戦術家としても優れており、常に自分の限界を知り、それを回避する創造的な方法を見つけ出そうとする。戦士は考える人ではなく、実行する人である。長々と考えるようなことは戦士の目指すところではない。戦士は訓練によってそうした時間を削ぎ落し、迅速に、力強く行動できるようになろうとする。大きな目標を追い求め、人間関係よりも任務を重視する少し人間離れした存在である。

能動的な極性の影:サディスト
ライフ(生活・命)から切り離された戦士は残酷さの扉を開いている。戦士が最も苦手な分野は人間関係の分野であるが、そのために常に自分の心と感情を警戒していなければならなくなる。気が付かないうちに残酷さが忍び込んで来ないように、それらを抑圧するのではなく、コントロールしなければならない。が、サディストはそれをコントロールできずに、自分自身の隠れたマゾヒストの弱さや傷つきやすさを他人に投影し、相手を責め、苦しめることに大きな喜びを感じる(そうやって他人を使って自分の影を抑圧しようとするのである)。そして自分自身に矛先をむけたサディストは、深い不安から自分を追い込んでしまう。自己価値観が低く、燃え尽き症候群に至る大きな自己苦悩に苛まれている。

受動的な極性の影:マゾヒスト
マゾヒストは戦士のエネルギーを他人に投影するため、他人と比べて自分が無力で弱い存在であるように感じることになる。心理的に自分を守ることができず、他人に操られたり、いじられても反抗できなくなってしまう。そうして蓄積していった鬱憤がある日突然爆発してサディストになることもある。


④ 恋人
感覚の領域の申し子であり、美を崇拝する。音楽家、詩人、芸術家であり、内面的なものも外面的なものもすべてを愛している。また、情熱的で人との物理的な触れあいにも喜びを感じる。常に人と繋がっていたいと望んでおり、人と人との境界を認識しない。人も物事も、すべてどこかでつながっていると考える神秘主義者であり、それが全ての直観の源になっている。他人のエネルギーに同調し、手に取るように人々の感情を読み解く。愛とつながりを求めるがゆえに、人の心を感じ取り、暗い意図を発見することは苦痛でしかない。心を孤独にし、孤立させることにつながる全ての法と秩序に反対する。言い換えれば他の全ての元型と対立しているのがこの恋人という元型である。しかし、恋人という元型は、他の元型が人間的で健全な活力に満ちた状態であるためにはなくてはならない元型である。

能動的な極性の影:恋愛中毒
自分が本当に求めているものは何なのかわからないまま、常に自分の官能的な欲望の実現を望んで、終わりのない、疲れるような探索に身を投じる。状況と絶えず変化する欲望に引きずり回されて、決して休むことができないのである。音楽、芸術、高級ワイン、そして女。「女から女へ蝶のように舞う」。自分の官能的な面を活かすことができれば何でもいいのである。内面は薄っぺらで、芯がなく、自分の欲望をかなえるために永遠の狩りを続ける。この影は母との結合を求めるという欲望にどうしようもなく縛られている(感覚的な体験の領域は女性性の領域である)。

受動的な極性の影:性不全者
慢性的に無気力で、自分や他人から切り離されたように感じている。性的に不活発で、自分と自分の性に課せられたすべての要求から退こうとする。パートナーの要求が高く、それを実現できない場合、閉塞感に襲われてパートナーとの関係から逃げ出そうとする。そのまま能動的な極性の影の領域にある果てしない恋愛中毒の道へと向かうこともある。


元の作者は直接言及していないものの、このフレームワークの女性版として下記の元型がある。
  • 女王
  • 賢女
  • 母親
  • 恋人


参考:


アラン・ハンターの元型

アラン・ハンター(Allan G. Hunter):
オックスフォード大学で文学博士号を取得。精神障害と文学的表現の関連性についての研究を行っている。カウンセラー、セラピストであり、ボストンのカリー大学の文学教授でもある。

書籍『The Six Archetypes of Love: From Innocent to Magician』にて、精神の発達(そして愛の理解)に関わる6種類の普遍的な元型についての理論を論じている。

愛の6つの元型
【元型】純真な人(イノセント)
【段階】「私」
【キーワード】純朴、単純、だまされやすさ
【表れ方】保守的、依存、性的
【説明】 私たちは最初、赤ん坊として、そして何か新しいことを始める時はいつでも、無邪気に人生を歩み始める。失恋を知るまで、我々は何も知らない。失恋の傷はナイーブな理想主義を打ち砕く。

【元型】孤児(オーファン)
【段階】「私」
【キーワード】傷つけられていること、打ちひしがれていること
【表れ方】保守的、依存、性的
【説明】 世界や人間と言うものが完璧な存在ではないことを知りつつも、何かに所属したいと切望する。孤児の元型はクリーク(排他的な小集団)のアウトサイダーであり、オーファンは「採用されたい」「友情をはぐくみたい」「愛のある関係を築きたい」という願いを持っている。そしてその結果、何かを愛するために妥協し、不完全な形の愛に「満足」してしまう。

【元型】巡礼者(ピルグリム)
【段階】「あなた」
【キーワード】逆境であっても、不安を抑えることのできる勇気
【表れ方】現代的、独立、情欲、激情
【説明】 巡礼者の元型は、中央社会のセーフティネットや、安定した仕事、落ち着いた生活の見通しを捨ててビジョンの探求に出かけ、自分が何者であるかを見つけようとする。モーゼもムハンマドもイエスもブッダもリア王もハムレットも、みんな砂漠に行った。自分が何者であるか知るために。

【元型】戦士-恋人(ウォーリアー - ラヴァー)
【段階】「あなた」
【キーワード】個人の人生を危険にさらすこと、善良で信頼できる人々
【表れ方】現代的、独立、情欲、激情
【説明】 真の愛を貫く恋人として、戦士として命をかけて自分の信念を貫くことを厭わない。この戦士と恋人という双子の元型においては、ふたつの側面のバランスを取ること、すなわち自分の価値観を宣言し、それらを守り抜こうとする覚悟を持ちながら、同時に価値観が異なる他人の意見も尊重することが重要になる。

【元型】君主(モナーク、王と女王)
【段階】「私たち」
【キーワード】包容力、成熟した誠実さ
【表れ方】完全性、互助的、譲渡
【説明】 戦士-恋人が行動と思いやりの間で、外面的にも内面的にもバランスをとると、より大きな世界が人を「戦いを止めた君主」の元型に誘う。有能で肌理細かな君主は、人それぞれが違うということを尊重し、他人の持つ能力を最大限に引き出そうとする。王と女王は、信頼、信念、愛、そして時には修正して是正することによって、人を包み込む。

【元型】魔術師(マジシャン)
【段階】「私たち」
【キーワード】万能性、普遍性、ホモ・スピリタス
【表れ方】完全性、互助的、譲渡
【説明】 魔術師は、どんな場所でも奇跡を起こす。魔術師は、物事に名前をつけ、適切に行動し、他の人々が各々の魂について表現するための自由と創造性を与える存在であり、また、周囲の人々が自分の手で自分の人生を切り開き、変化をもたらし、並外れた成果を上げるのを助ける存在でもある。リーダーとして、他の人々がいつ、どのような形で活躍できそうか見通しており、後ろから、横から、間接的に人々を鍛え、導いていくことができる。


参考:

キャロライン・メイスの元型

キャロライン・メイス(Caroline Myss):
ニューヨークタイムズのベストセラー作家であり、人間の意識、精神性と神秘主義、健康、エネルギー医学、医学的直観に関する分野に造詣の深い、国際的に有名な講演者。2003年に独自の教育機関であるCMED(Caroline Myss Education)を設立。

象徴言語、神話、元型の研究を行い、それを踏まえて「人が生まれてくる前に魂が交わした契約であり、神話的な言語を反映している12種類の元型的なパターンの複合体」である「神聖な契約」について示した書籍「SACRED CONTRACTS」などを執筆している。
(来歴:https://ja.wikinew.wiki/wiki/Caroline_Myss


参考:


様々な元型ファミリー

4つの中心的な元型

書籍『Archetypen - Wer bist du?: Erkenne dich selbst und lebe deine Kraft』より。自分自身の個人的な元型を見極めることで、充実した生活を送る方法、すなわち自分自身をよりよく理解し、正しい決定を下し、個人的な落とし穴を避け、自分の強みを発揮する方法を知ることができるとしている。

4つの中心的な元型
【元型】 子供
【説明】 明るく、無邪気で、明日の素晴らしさを期待する。遊び心を持ち、他者が持つ親としての資質を引き出して他者とコミュニケーションを行う。意見の相違がある場合は引き下がってしまう。自分の思い通りにいかない場合、子供っぽい怒りをくすぶらせながら、黙りこくってしまう。
【影響】 子供の元型は、しばしば健康に関する問題を利用して他人の注意をひきつけようとする。例えば、家族で食事をしているとき、子供元型の影響を受けている娘は新しい歯列矯正に慣れてきたことを話し、同じく子供元型の影響を受けている母親は、自分の副鼻腔炎の話題に会話の流れをもっていこうとする。

【元型】 犠牲者
【説明】 犠牲者は、自分自身の人生の幸福(自尊心を育む努力をすること、自分を大切にすること、自分を主張すること)について自分では責任を負わず、他者にその責任を負わせようとする。
【影響】 犠牲者の元型は、自分の体の状態を他人や状況のせいにする傾向がある。例えば乳製品が副鼻腔炎の原因になる可能性があるという知識を持っていても、今現在の自分の体調不良の原因を、パーティーで200グラムのチーズを食べたせいだと考えるのではなく、天候のせいにしてしまう。

【元型】 妨害者
【説明】 妨害者は、幸せをもたらすチャンスや「神聖な契約 [4] 」から逃げ出そうとする。人生や、人生にとっていいものを恐れており、しばしばそれから目をそらそうとしてしまう。
【影響】 妨害者の元型はあらゆる変化を恐れている。その変化には癒しも含まれており、「人を癒す行為」を妨げるような状況を作り出してしまう。例えば、医者が副鼻腔炎を解消するための手術を提案したとき、この元型の影響を受けている人は医者のベッドサイドでの振る舞いに対する嫌悪感を拗らせ、手術や回復に伴う痛みへの恐怖から手術を拒否してしまう。

【元型】 娼婦
【説明】 娼婦は、自尊心と引き換えにして得られるような利益に目を向けさせる。この元型の影響を受けている場合、自分の幸福に繋がらないような快楽のために、あまりにも軽々と自分を捨てようとする傾向が生まれる。仮に自分が惨めな思いをしていても、幸せにつながらない、みすぼらしいアドバンテージを得るために、仕事や人間関係にしがみついてしまったりする。
【影響】 娼婦の元型は、人が自分の健康のために健康を起こす意志の強弱に関係しており、この元型の影響を受けている人ほど自分の健康が二の次になってしまいます。例えば自分がリラックスするために鍼灸院の予約をしていたとしても、この元型の影響を受けている人は仕事を切り上げて鍼灸院に向かうという行動をせずにズルズル仕事をし続けます。


参考:


9つのアーキタイプファミリー


① サバイバルファミリー
  • 子供
  • 犠牲者
  • 妨害者
  • 娼婦

② 女性的ファミリー
  • 女王
  • 女神
  • 王女/囚われの姫君
  • 純潔の乙女

③ 男性的ファミリー
  • 騎士/戦士
  • 恋人
  • 愚者

④ 聖職者ファミリー
  • 修道女/修道士
  • 禁欲主義者(独身主義者)
  • シャーマン/呪術医
  • 司祭/女司祭
  • 導師/使途
  • 殉教者
  • サマリア人
  • 宣教師
  • 天の御使い

⑤ 賢者ファミリー
  • 神秘主義者
  • 教師/学生
  • 賢者/神託者/老婆
  • 隠者
  • 探求者/放浪者
  • 錬金術師
  • 語り部
  • 裁判官/評論家

⑥ ヒーラーファミリー
  • ヒーラー
  • 傷ついたヒーラー
  • 救助者
  • サーバント
  • 世話人(土地などの管理者)
  • コンパニオン

⑦ クリエイティブファミリー
  • 芸術家
  • 書記
  • 先駆者/探検家
  • 政治家/政財界人
  • 戦略家
  • ネットワーカー/ゴシップ
  • 起業家
  • 慈善家
  • オリンピック選手/アスリート
  • ビジョナリー/予言者

⑧ アクションファミリー
  • ヒーロー
  • いじめっ子
  • 臆病者
  • 傭兵
  • ギャンブラー
  • 反逆者
  • 探偵
  • ミダス王/守銭奴 [5]
  • 奴隷/解放者
  • 主婦/ワーキングマザー

⑨ シャドウファミリー(ワイルドカード)
  • アドレナリン中毒者 [6]
  • 佯狂者 [7]
  • トリックスター
  • 誘惑者/工作員
  • スペルキャスター
  • マジシャン
  • 快楽主義者
  • 吸血鬼
  • シェイプシフター
  • ファムファタール(魔性の女)
  • 盗賊
  • 海賊
  • ピエロ


4つのエッセンシャルアーキタイプファミリー


① サバイバル・アーキタイプ
  • 子供
  • 犠牲者
  • 妨害者
  • 娼婦

② ロイヤル・アーキタイプ
  • 女王
  • 囚われの姫君
  • 騎士

③ シャドウ・アーキタイプ
  • 盗賊
  • トリックスター
  • アドレナリン中毒者

④ 聖職者ファミリー
  • 禁欲主義者(独身主義者)
  • 宣教師
  • 導師/使途
  • 修道女/修道士
  • シャーマン/呪術医


参考:


元型コレクション

元型コレクション - Caroline Myss」を参照。


ジョゼフ・キャンベルの元型

ジョゼフ・キャンベル(Joseph Campbell):
アメリカの神話学者であり、比較神話学や比較宗教学の権威。

ユングの影響を受けたキャンベルは、書籍『千の顔をもつ英雄』の中で、世界各地の神話を比較して抽出した元型的な「英雄の旅」の神話的構造についての理論を発表した。そこで彼は物語の元型(繰り返される神話的モチーフ)を「モノミス(単一神話)」として説明する。また、このモノミスの中には数多くの共通性があるキャラクター(若い英雄、賢明な老女や女性、誘惑者、影のある敵対者など)が見られるが、キャンベルはこれを元型と関連付けて考察した。


英雄の旅

英雄譚のパターン研究の歴史

キャンベル以前にも同様の研究を行っていた学者は存在する。

1871年に人類学者のエドワード・バーネット・タイラー(Edward Burnett Tylor)が、英雄が旅をする物語の中にはパターンがあることを発見する。また、ナラトロジー(物語論)と比較神話学の分野では、1909年に精神分析医オットー・ランク(Otto Rank)が、1936年にアマチュア人類学者ラグラン卿(Lord Raglan)がそれぞれ物語に見られるパターンを提案している。

ロバート・シーガルによれば、「オットー・ランク、ジョゼフ・キャンベル、ラグラン卿の理論は、英雄の神話の一連の分析の典型である」とされている。

キャンベルの他にも、デビッド・アダム・スリーミング(David Adams Leeming)フィル・クージノー(Phil Cousineau)クリストファー・フォーグラー(Christopher Vogler)が物語の構造のパターンについて、それぞれの見解を発表している。

三幕構成
I. 出発
II. イニシエーション
III. 帰還

ジョゼフ・キャンベル
I. 出発
1. 冒険への呼びかけ
2. 呼びかけの拒否
3. 超自然的な援助
4. 最初の閾値の超過
5. クジラの腹

II. イニシエーション
6. 試練の道
7. 女神との出会い
8. 誘惑者としての女性
9. 父/深淵への贖罪
10. 神格化
11. 究極の恩恵

III. 帰還
12. 帰還の拒否
13. マジックフライト
14. 無からの救済
15. 帰還の閾値の超過
16. 二つの世界の支配
17. 生きるための自由

デビッド・アダム・スリーミング
I. 出発
1. 奇跡の受胎と誕生
2. 英雄的子供の誕生
3. 瞑想と準備のために家族やコミュニティから離れる

II. イニシエーション
4.試練と探求
5.死
6.冥界下り

III. 帰還
7. 復活と再生
8. 昇天、神格化、贖罪

フィル・クージノー
I. 出発
1. 冒険への呼びかけ

II. イニシエーション
2. 試練の道
3. ビジョンの探求
4. 女神との出会い
5. 恩恵

III. 帰還
6. マジックフライト
7. 帰還の閾値
8. 二つの世界の支配者

クリストファー・フォーグラー
I. 出発
1. 日常の世界
2. 冒険への呼びかけ
3. 呼びかけの拒否
4. メンターとの出会い
5. 最初の閾値の超過

II. イニシエーション
6. 試験、味方、そして敵
7. 洞窟の最奥へ
8. 試練
9. 報酬

III. 帰還
10. 帰り道
11. 復活
12. エリクサーを携えて帰還


キャンベルの17の段階

以下の「主人公」は、英語では「Hero(英雄/主人公)」である。スター・ウォーズはキャンベルの英雄の旅の影響を受けている。

1. 冒険への呼びかけ
最初主人公は日常の中にいる。未知の世界に向かうきっかけとなるようなことが起こる。

2. 呼びかけの拒否
多くの場合、主人公は呼びかけられても、最初はそれを拒否しようとする。義務感、恐怖心、不安感など、様々な理由で現状に縛り付けられているためである。

3. 超自然的な援助
主人公が意識的または無意識的に探求に取り組むと、導き手や魔法の援助者が現れる。多くの場合、この超自然的な指導者はヒーローに1つまたは複数のタリスマンやアーティファクトを渡す。後の探究で主人公はこれに助けられることになる。

4. 最初の閾値の超過
主人公が実際に冒険に出発し、自分のよく知る世界の常識を離れて、ルールや限界がわからない未知の危険な領域に足を踏み入れる転換点にあたる。

5. クジラの腹
クジラの腹は、主人公が知っている世界や自分自身から最後に離れることを表しており、この段階に入るということは、主人公が「自分を変えたい」と望んでいることを意味する。最初にこの段階に入るとき、主人公は小さな危険や挫折に遭遇することもある。「クジラの腹」は旧約聖書ヨナ記から。贖罪のために自ら進んで一時的に大きな魚に飲み込まれる話がある。

6. 試練の道
試練の道とは、主人公が大きく成長するために受けなければならない一連の試験のことを意味する。多くの場合1回以上試験に失敗する。これらの試験は3回に分けて行われる。最終的に主人公は試練を乗り越えて次の段階に進むことになる。

7. 女神との出会い
ここで主人公は、未来で役立つアイテムを与えられることになる。

8. 誘惑者としての女性
この段階で、主人公は探求を放棄したり逸脱したりすることに繋がるような誘惑に直面する(必ずしも女性による誘惑であるとは限らない)。

9. 父/深淵への贖罪
この段階で、主人公は究極の力を持つ存在と対峙し、その力を借りなければならない。多くの神話や物語では、生と死の力を持つ父親や父親像をとる。この段階が旅の折り返しポイントになる。これまでの段階は全てこの場所に向かって進むための旅路であったが、これ以降の段階は全てここから始まることになる。この段階は男性的な存在との出会いとして象徴されることが多いものの、必ずしも男性である必要はなく、信じられないような力をもった人物や物でさえあればいい。

10. 神格化
新しい知識と認識で武装した主人公は、決意を新たにし、冒険のより困難な領域に向かうための準備を整える。

11. 究極の恩恵
究極の恩恵とは、探求の目的を達成することである。主人公が手に入れるため、成し遂げるために旅に出た目的を果たすことを意味する。これまでの全ての段階は、この段階のための準備と浄化の役割を果たしている。多くの神話において恩恵は霊薬エリキサー、不死をもたらす植物 [8]、あるいは聖杯のような超越的なものである。

12. 帰還の拒否
異世界で至福と悟りを見つけた主人公は、日常の世界に戻って仲間に恩恵を与えることを望まないことがある。

13. マジックフライト
神々が大切に守ってきたものを持ち帰る必要がある場合、主人公は恩恵を持って逃げなければならないこともある。旅に出るときと同じように、旅から戻るときも危険な冒険が待ち受けているのである。

14. 無からの救済
主人公が冒険に出る際にガイドやアシスタントを必要としたのと同様に、多くの場合、彼らを日常生活に戻すためには強力な導き手や救助者が必要になる(特にこれまでの冒険で傷つき弱っている場合)。

15. 帰還の閾値の超過
キャンベルは「千の顔の英雄」の中で、「主人公が冒険を完了するには、世界の影響を乗り越えなければならない」と説明している。これまでの探究で得た知恵を人間の生活に統合すること、その知恵を世界の人々に共有する方法を見つけることが帰還の閾値を超えるために必要になることがある。

16. 二つの世界の支配
人間である主人公にとって、二つの世界の支配とは物質的なものと精神的なもののバランスをとることを意味している。ここで今、主人公は内なる世界と外なる世界の両方において苦悩から解き放たれ、十分な力を持った人物となる。

17. 生きるための自由
二つの世界を支配することは死の恐怖からの解放につながり、それが生きる自由になる。これは、未来を予測することも、過去を悔やむこともなく、今を生きることであるとも言われている。


参考:


影、ペルソナ、アニマについて

キャンベルはユングの影、ペルソナ、アニマについて言及している。

詳細は「影、ペルソナ、アニマについて」を参照


元型のトピックに関する引用

人は元型的な基盤を持っているが、神経症にならなような形でこの基盤を取り除くのは、死ぬことなく身体や器官を取り除くよりも難しいことである。元型を否定したり、無害化することができないのであれば、文化的に分化した意識のレベルが新たに達成されるたびに、そのレベルに対応する新しい解釈を見つけるという課題に直面することになる。つまりそれは、私たちの中に存在する過去の人生と、そこから逃げようとする現在の人生とを結びつけるということを意味する。そうしないと、根無し草のような意識が生じ、過去への志向がなくなり、あらゆる暗示に対して無抵抗に屈してしまい、事実上、心の病にかかりやすくなってしまうのである。
カール・フスタフ・ユング(1875-1961) Grundwerk, Band 9: Mensch und Kultur, S. 171, Walter, 1. Auflage 1. Januar 1995

私たちは普段、自分の中に埋もれている理想を外界に向かって投影している。自分とは正反対の異性に恋に落ちる状態がこれにあたる。このようなとき、我々は自分の理想とする異性像を異性に投影し、ある種の磁力的な性質を持つアニマ/アニムスを出現させているのである。ダンスフロアで男たちの視線を釘付けにする愛らしい女性と他の女性たちの違いは、男たちのアニマの投影の有無なのだ。その投影に応じて自分自身をアピールする方法はあるが、どうやてアピールすればいいのか、そしてそもそもなぜ人々の視線を釘付けにしているのかという部分まで常に理解できるとは限らない。
ジョセフ・キャンベル(1904-1987)アメリカの神話学者、比較神話学者、Pathways To Bliss, ReadHowYouWant, 16. Mai 2012

魂は不滅で永続的な側面、精神は幼少期や青年期にのみ形成される身体の非物質的な器官という意味で使われる。精神は消化器官と同一視されるような存在であり、その役目は恐怖の処理である。ただしこの恐怖は(肉体と魂の中間世界である)アストラル界からのものであり、本質的には処理する必要がない恐怖である [10]
Varda Hasselmann [Beate Schmolke-Hasselmann] (*1946), Frank Schmolke (*1944), Archetypen der Seele, Alte Seelen, weltweiter Anteil und prozentuale Verteilung, S. 10, Goldmann, München, Januar 1999

「知識の道」(エネルギー2)を歩む魂は、断片化された状態であろうと、アストラル領域であろうと、また後に因果関係の世界の偉大な魂とよばれる組織の中であろうと同様に、全体の精神と魂の個性の間を仲介する繋がりを作り出そうと努力する。
Varda Hasselmann [Beate Schmolke-Hasselmann](* 1946), Frank Schmolke(* 1944)、Die Seelenfamilie. Sinn und Struktur seelischer Beziehungen, S. 263, Goldmann, München, 1. Auflage Taschenbuch 1. Januar 2001

  • 現在 [9]の世界人口の約15%は幼児の魂で構成されています。 P. 304、初版
  • 地球の総人口に占める20世紀後半の子どもの魂の割合は約18%でした。 P. 315、初版
  • 20世紀末の現在、地球の総人口に占める若い魂は合計41%です。 P. 325、初版
  • 20世紀末の時点で、地球上には22%の成熟した魂が存在します。 P. 336、初版
  • 20世紀末の時点で、地球上には合計4%の老齢の魂が存在しますが、いくつかの国ではそれらの割合がより大きくなっています。しかし、それが10%を超えることはありません。 P. 348、初版
  • ドイツでは(老齢の魂の割合は)6%弱です。 P. 349、初版

まとめると
 幼児の魂 15%
 子供の魂 18%
 若い魂 41%
 成熟した魂 22%
 老齢の魂 4%

Varda Hasselmann [Beate Schmolke-Hasselmann] (*1946), Frank Schmolke (*1944), Archetypen der Seele, Alte Seelen, weltweiter Anteil und prozentuale Verteilung, S. 348, Goldmann, München, Januar 1999

老齢の魂は、多くの不安を抱えながら、地上の世界を離れて肉体から解放されるための準備を徐々に進めていく。身体が微細なエネルギーを透過するようになると、あらゆる種類の妨害的な影響を受けやすくなる。老齢の魂は病弱で繊細であることが多いが、肉体に価値を置く環境の中では、自己イメージに難を抱えている人が多いようである。そうしているうちにも、彼らはますます「特異」になっていく。つまり、独創的で他人の意見に左右されないようになる一方で、孤立や無理解に悩まされることになる。彼らは仲間のために尽くすことよりも、自分自身や自分の内面の成長に関心を持つことが多く、それを他人に「へそ曲がりだ」と解釈されてしまう。彼らは、自分の魂の家族や、自分と同じ老齢の魂を持つ仲間を見つけたいという自然な願望を持っている。だからこそ、自分の実の家族よりも、見知らぬ世界中の人々との関係のほうが遥かに興味深いものになることが多いのである。

カルマは徐々に解消されていく。老齢の魂はほとんど(長い間)結婚せず、子供もいないということが多い。彼らは生存競争を、日々の糧を得るための戦いを避けたいと願っている。そのため若々しさを持った成熟した魂に対して、少し負い目を感じているように見えることもある。老齢の魂の目標は人類全体を愛せるようになることだが、自分のそうした要求に対して絶望してしまうことも多い。汎神論的な宗教性を持つ(すべてのものには神性が内在されているとする考えを持つ)。彼らは自分自身を含めたすべての生命の現れに、神の原理が認められるべきだと次第に考えるようになっていく。彼らは肉体の世界を離れる準備として、肉体の世界とは異なる魂の世界との繋がりを認識しようとする。
Varda Hasselmann [Beate Schmolke-Hasselmann] (*1946) , Frank Schmolke(* 1944)Archetypen der Seele, Alte Seelen, weltweiter Anteil und prozentuale Verteilung, S. 472, Goldmann, München, Januar 1999

転生した魂の5つの年齢は、それぞれ7つの段階に分けられる。そして、それぞれの段階には、タスクに応じて1~3回の転生がある [11]

各サイクルに要する転生回数
 幼児の魂 10~15回の転生
 子供の魂 15~20回の転生
 若い魂 20~25回分の転生
 成熟した魂 25~30回の転生
 老齢の魂 10~15回分の転生

現在、地球上の魂の人口は下記のようになっていると考えられている。
 幼児の魂 10-15%
 子供の魂 20%
 若い魂 45%
 成熟した魂 20-25%
 老齢の魂 4%

地球上の人口の大半を占める若い魂が、自分たちの考えに基づいて現代社会を形成しているのである。若い魂は、自分の力で世界を征服するために、魂から最も分離した存在になる経験を辿ることになる。多数派として、社会を構築するうえで彼ら自身が持つ価値観を他者に強制する。現在の若い魂の古典的なタイプは、容易に社会的物質的要求に適応し、倫理的な葛藤なしに冷酷に出世を追い求め、競争原理を肯定し、失敗を軽蔑し、生命の尊厳を無視して行動することのできる若々しいダイナミックなマネージャーである。そしてそうした在り方を他者にも強制しようとする。彼らの愛の能力は非常に限定的な段階に留まっている。

Georgi Stankov, Evolutionssprung der Menschheit zu Beginn des 3. Millenniums im Lichte der neuen Theorie des Universalgesetzes, PDF, S. 99, Stankov's Universal Law Press, 2001


参考:


一般的な引用

ユングは、元型とは我々が共有する人間の基本的な資質の青写真であると考えていた。元型は、古今東西の人生を形作る定義できない自然のパターンや力である。元型そのものを直接手に取って調べることはできないが、神話や童話、夢や空想の中には元型的なテーマやイメージが現れる。我々は自らをユニークな存在だと考えがちである。それは確かにその通りであるが、2本の手足、2つの目、10本の手足の指など、肉体的な存在を形成する共通のパターンがあるように、人の精神を形成する根本的なパターンがあるのである。
Robert A. Johnson (1921-2018), Balancing Heaven and Earth. A Memoir of Visions, Dreams, and Realizations, HarperOne, 20. January 1998

魂にとっての元型とは、肉体にとっての本能のようなものである。
Carl Gustav Jung (1875-1961), Michael Fordham, editor, The Structure of the Psyche (1913-1935), included in: The Structure and Dynamics of the Psyche – Collected Works of C.G. Jung, Volume 8, centerpiece "On the Nature of the Psyche", S. 408, Princeton University Press, 1. January 1970

しかし心理学的には、本能のイメージとしての元型は、人間の性質全てが目指す精神的な目標であり、全ての川が向かう海であり、英雄が竜から奪い取る戦利品だといえる。
Carl Gustav Jung (1875-1961) , Michael Fordham, editor, The Structure of the Psyche (1913-1935), included in: The Structure and Dynamics of the Psyche – Collected Works of C.G. Jung, Volume 8, paragraph 415, 1920, Princeton University Press, 1. January 1970

歴史上、最も強力なアイデアはすべて元型にさかのぼることができる。これは特に宗教的な考えに当てはまるが、科学、哲学、倫理学の中心的な概念もこのルールの例外ではない。現代において元型は、意識的に現実に適用し、適応することによって作成された元型的なアイデアのバリエーションという形であらわれる。意識は、五感を通して外界を認識するだけでなく、自分の中にある世界を目に見える現実に変換する機能を持っているのである。
Carl Gustav Jung (1875-1961), Michael Fordham, editor, The Structure of the Psyche (1913-1935), included in: The Structure and Dynamics of the Psyche – Collected Works of C.G. Jung, Volume 8, centerpiece "On the Nature of the Psyche", Princeton University Press, 1. January 1970

元型は知的に発明されたものではなく、常にそこにあり、無意識の中である種のプロセスを生み出しているものである。これが神話の起源である。神話とは、元型の生命を形成する一連のイメージの脚本である。
Carl Gustav Jung (1875-1961), R.F.C. Hull, editor, C.G. Jung Speaking. Interviews and Encounters, S. 348, Princeton University Press, December 1977, reprint edition 1. February 1987

人はそれに抵抗できない。理不尽ともいえるほどの形で人々を魅了する力である。脳は何の役にも立たず、交感神経系もあっけなく操作されてしまう。活性化された集合的無意識であり、人類に共通する元型が命を吹き込まれたものなのである。そして元型であるがゆえに、それは歴史的な側面を持っている。人は歴史を知らずして出来事を理解することはできない。
Carl Gustav Jung (1875-1961), Collected Works of C.G. Jung. The First Complete English Edition of the Works of C.G. Jung, S. 9558, Routledge, 1. September 1973

元型が現れると、物事が危機的状況になり、どのような展開になるか予測できなくなる。意識がどのように反応するかにかかっているといっても過言ではない。
Carl Gustav Jung (1875-1961), Collected Works of C.G. Jung. The First Complete English Edition of the Works of C.G. Jung, S. 9558, Routledge, 1. September 1973

数字は、人間が計算のために意識的に作り出した概念ではない。他の元型的なシンボルと同様に、無意識の自然発生的な産物なのである。
Carl Gustav Jung (1875-1961), Man And His Symbols, 1964, Dell, 15. August 1968

デーモンは "影"の元型の一種であり、認識されていない人格の暗黒部分の危険な側面を表している。
Carl Gustav Jung (1875-1961) , author, Gerhard Adler, editor, R.F.C. Hull, translator, Two Essays in Analytical Psychology. The Collected Works of C. G. Jung. Volume 7, Routledge & Kegan Paul, 1953, S. 96, Psychology Press, 1992, Princeton University Press, New Jersey, Kindle ebook, 2nd edited edition 1. March 2014

傷ついた癒し手は、自己(Self:私たちの全体性、内なる神)の元型であり(中略)、すべての真の癒しの手順の根底にあるものである。
Dr. Marie-Louise von Franz (1915-1998): Wikipedia entry Wounded healer; cited in: article Chiron: Walking Wounded, presented by the website Wild Witch of the West, Rebecca M. Farrar, 2015-2020

精神とは人間の内面の経験であり、同じ器官、同じ本能、同じ衝動、同じ葛藤、同じ恐れをもつという意味で、本質的に全ての人間に同じものである。この人間に共通する基盤から、ユングがいうところの神話間に見られる共通概念である元型と呼ばれるものが生じるのである。
Joseph Campbell, Ph.D. (1904-1987), six part PBS television documentary The Power of Myth, interviewing host Bill Moyers, 1987-1988

戦士の元型は、我々の脳の構造に組み込まれているものであり、社会化とは戦士の元型の抑圧を意味している。そして社会化の結果、攻撃性はより不安定で、圧縮され、爆発的な形で維持されることになる。しかし攻撃性それ自体は悪いものではない。正当な攻撃性は、人の生活にとって非常に大切なものである。なぜなら、攻撃性の中には人生への意欲、キャリアへの意欲、社会的接触の意欲、自己定義したいという意欲、そして人に奉仕したいという意欲も含まれるからであり、それが健全な形で働けば、忍耐と忠誠が生まれるからである。恋人は人間関係を開始するが、戦士は人間関係を維持する。戦士が居なければ恋人はただのプレイボーイにしかならない。ここからわかることは、いかなる元型であれ追放されるべき存在ではないということ、そして我々は元型を御することができるよう、成熟する努力をしなければならないということである。
Robert Moore, Ph.D. (1942-2016), Douglas Gilette, The Warrior Within. Accessing the Knight in the Male Psyche, William Morrow & Company, 1st edition August 1992

神話に基づいて意思決定をしない国は一つもない。神話が世界を動かしているのである。
Video DVD presentation by Caroline Myss Myss.com (*1952), Discovering New Archetypal Patterns of Relationships and Relating – 2013, presented by CMED Institute, Chicago, Illinois, 15:02 minutes duration, recorded August 2013

デーモンとは人類全体(あるいは国家全体)を支配する力を持つ自然の機能である。(中略)デーモンには破壊的なものと創造的なものがあるが、通常はその両方の性質を併せ持っている。暴力はデーモンの暴走である。歴史的に見て、現代はデーモンが最も破壊的な形で表わられやすくなっている時代だと考えられる。
Rollo May may-rollo (1909-1994), Love and Will, S. 123-124, W. W. Norton & Company, 1969

私は単にそれを飲むだけで幸福になれるような薬は存在しないと考えている。しかし、脳内の化学物質や脳内システムのバランスが崩れてしまった場合や、個人としての世界にあまりにも多くの苦痛があった場合、または人にとって幸福な形で発現しない特定の遺伝子パターンを持っていた場合であっても、人は自らの幸福をサポートするための力を持っているとも考えている。我々は生物学的な性格を持っている。悲しみを司る遺伝子を持ち、不安を引き起こす遺伝子を多くもっている場合もあれば、幸福感を引き起こしやすい遺伝子を多く持っている場合もある。人の気質の差異に関する古典的な理論として四体液説(陽気な多血質、荒々しい黄胆汁質、臆病だが穏やかな粘液質、神経質な黒胆汁質)というものがあるが、こうした肉体と気質が結びついているという考え方は、脳科学的にも支持されているものである。現在、我々はたくさんの派手な性格テストを行っているが、それはあまり役に立たないことが多い。世界と身体は一体である。もし我々が自分自身をカプセルに入れて月に住まわせるとしたら、我々はあまり長い間、幸福で居続けることはできないに違いない。
Video interview with Jaak Panksepp, Ph.D. (1943-2017), presented by the Estonian Research Council TeaMe, YouTube film, minute 28:45, 1:05:01 minutes duration, posted 10. January 2013

新しい世界では、取引ではなく関係性、しかも長期的で持続的な関係性が重要になる。そうした関係性の中で行われるコミュニケーションは、データセットやデータグラフ、チャートなどではない。それはストーリーである。(中略)イメージ的な、視覚的なコミュニケーションなのである。この新しい世界における勝者は、信頼に基づいた関係性のレールに乗って、非常に多くの暗黙知の豊かな流れを構築した人々だと言えるだろう。もし男性的な元型である常勝無敗の孤独な騎士のイメージを打ち出していたら、信頼関係の構築には成功しないに違いない。この世界では、強さよりもむしろ積極的に弱さを開示しなければならない。その弱さは、この新しい世界で成功するために必要な、まったく異なる種類の元型を生み出すだろうと思われる。それは男性の元型ではなく女性の元型であり、肉体的な性別が男性であれ女性であれ、こうした女性の元型のイメージを打ち出した人こそが、富を生み、大きな成功を享受することになると予想される。
Video presentation by John Hagel III, The Big Shift: Challenge and Opportunity for Women, presented by TEDx Talk, TEDxBayArea, YouTube film, 12:59 minutes duration, minutes 9:20, 8:25, 10:43 and 12:23, posted 9. December 2010

カール・グスタフ・ユングは、女性的な側面を「アニマ」と呼び、それを生命と人間関係の元型だとした。アニマは生命を「生かす」ものであり、生命を魅了し、世界を生き生きとさせるものである。ジェームズ・ヒルマンいわく「人は自分の魂を愛するように求められる」とされている。言い換えれば、人は世界の魂を見つけるように求められるのである。神話における旅路のように、英雄は女神、あるいは女性と出会う必要がある。ディオニュソスとオデュッセウスは、何もただの古典文学における英雄ではないのである。ディオニュソスは最初から女性と自然に親和的な関係を築いているが、オデュッセウスは以下に示すように様々な役割をもった様々な女性に囲まれていた。
 母(アンティクレイア)
 妻(ペネロペ)
 女神(アテナ)
 愛人(カリディケー)
 魔性の魔女(キルケー)
 救い手(イーノー)
 誘惑者(セイレーン)
 貪り食う者(スキュラとカリュブディス)
 看護者(エウリュクレイア)
Inspired by: Jon Wilson, Fremantle, Western Australia, Men and the Feminine, Facebook comment, 23. May 2016

(サイト管理者補足)ホメロスのオデュッセイア、ダンテの神曲という2つの旅路とエニアグラムを関連付けて解釈する書籍『The Complete Enneagram: 27 Paths to Greater Self-Knowledge』というものがある。

本質(役割)と魂の性質は、人間の不変的な部分である。
本質には7つのタイプがある
(3) 戦士 – (7) 王
(1) 奴隷 – (6) 神官
(2) 職人 – (5) 賢者
(4) 学者 (中立)
Chelsea Quinn Yarbro (*1942), Messages from Michael, Writers.com, [1990], new edition March 2005

位置 元型 役割 陰陽 強み 弱み
7 首長
(王/女王)
外側のリーダー 自制 圧制
3 戦士 政治家、軍人、企業家 説得力 強引さ
6 司祭 内側のリーダー 慈悲 狂奔
1 奴隷 運転手、看護師 奉仕 束縛、奴隷制
5 賢者 表現 仰々しい演説
2 職人 創造 欺瞞、策略
4 学者 中立 知識 理屈屋
Video presentation by Dr. Apela Colorado [Hale Makua], Hawaiian Kupuna, Sacred Numbers and Creation by Hale Makua, presented and produced by World Wild Indigenous Science Network, recorded June 1998, YouTube film, 4:51 minutes duration, posted 8. December 2009 and by Hank Wesselman, Ph.D. (*1941)


参考:


デビッド・ホーキンスの引用

自分の「カルマ」を処理することは、今現在の生だけでなく、歴史的な、長い間忘れられていた進化の側面も含んでいる。スピリチュアルなワークにおいては、個人の無意識の中にある抑圧された態度、思考、信念や、ユングの元型のチャクラシステムとエネルギー的に類似している集合的な無意識の側面を呼び起こすことがある(例:子供の心、戦士の怒気、思春期の純真さなど)。
Dr. David R. Hawkins, Transcending the Levels of Consciousness, S. 42, 2006

無抵抗に対処できる通常の身体的症状や痛みとは異なり、これらの燃えるような電気的感覚は集合的無意識のエラーが特定され、自発的に放棄されてクリアされるまで持続してしまうことになる。(中略)この移行を促進するために、集合的無意識におけるチャクラシステムとさまざまなユングの元型についての知識を持つことが役に立つのである。
Dr. David R. Hawkins, Transcending the Levels of Consciousness, S. 292, 2006

元型とは強力な意識の場であり、これまで生きてきた、あるいは生きられる可能性のあるすべての役割を含む全人類の集合意識である。そしてそれらは伝説となる。元型は我々の思考に影響を与える傾向がある。そして、集団の思考や態度を形成し、それらをすべてまとめ上げる傾向もある。ユングと元型の研究は、精神的な志向を持つ人にとって非常に有益だと思われる。なぜなら、自分自身や他人に対する非難の多くは、人類の集合意識の表現に他ならないということがわかり始めるからである。元型は支配的なものではなく、あくまでも影響を与えるものにすぎない。人には自由意思があり、選択肢があるのだ。選ぶか選ばないか、それは自分自身が決めることである。
(音声インタビュー)Dr. David R. Hawkins, What IS Consciousness Anyway?, teleseminar 148, part 2 of 2 (Q&A), presented by Institute of Noetic Sciences (IONS), Shift in Action, host James O'Dea, Irish US American president of the Institute of Noetic Sciences (IONS), minute 33:30-35:07, 56:18 minutes duration, 11. June 2008, reissued video David R. Hawkins – June 11th 2008, YouTube film, minute 1:16:50, 1:37:47 duration, posted 25. March 2011

元型とは、強力な意識の場である。(中略)女性性の元型と男性性の元型を否定することはできない。(中略)我々の社会はそれを反映しているのである。母性というものは社会主義的である。それぞれが等しく恩恵を受けるのだ。母親は自分の子供のうち、どの子供を他の子どもよりも愛するかなどは考えず全員を平等に愛するのである。それが家母長制だ。一方、家父長制は男性の原則である。そこでは、人は人が働いたものの全てを手に入れることになる。だから資本主義は父性主義的であり、社会主義は母性主義的であると言える。
(音声インタビュー)Dr. David R. Hawkins, What IS Consciousness Anyway?, teleseminar 148, part 2 of 2 (Q&A), presented by Institute of Noetic Sciences (IONS), Shift in Action, host James O'Dea, Irish US American president of the Institute of Noetic Sciences (IONS), minute 33:30-35:07, 56:18 minutes duration, 11. June 2008, reissued video David R. Hawkins – June 11th 2008, YouTube film, 1:37:47 duration, posted 25. March 2011

(補足)
資本主義は父性主義的である。
それぞれが、自分が働いて得た対価を得る。
社会主義は母性主義的である。
恩恵は均等に共有される。

人は、多かれ少なかれ何かを手放し、自分が求めるものになる。なぜなら人が求めるものは、人が発見するものと変わらないからである。したがってスピリチュアルなワークとは、ただこうして「ムドラ」になることを意味しているのである。それは究極の陰の姿勢であり、その姿勢に到達するために究極の陽の姿勢をとりながら精神的な夜を過ごすことになるのである。イエスのために笑いながら人を、異教徒を殺戮し、悪を憎むのである。(中略)「悪め!」と。しかし、これらは我々が精神的に成長するときに経験するすべての元型であるのだ。
Dr. David R. Hawkins, Sedona Seminar Thought and Ideation, 3 DVD set, 28. February 2004

我々が話している精神的な騎士とは元型のことであり、その元型の中のチャクラのことである。(中略)人は正しい前提を持っていても、その背景にある感情が原因で、破綻してしまうことがある。
引用:Dr. David R. Hawkins, Sedona Seminar Valid Teachers and Teachings, DVD 3 of 3, track 11, minutes 56:39-58:03, 5. November 2005


参考:


ユングと錬金術

大いなる業と呼ばれる卑金属から貴金属を生み出す7つの手順。これは精神の統合と個性化のプロセスでもあるとユングは解釈した。

Grand Rosicrucian Alchemical Formula
Grand Rosicrucian Alchemical Formula, Museum Hermeticum Reformatum et Amplificatum, 1678.

錬金術のシンボルに含まれる象徴
番号 大いなる業 神話的元型 天使 イメージ シャーマニズム トーテム
1 焼成 クロノス、サタン、アポロン、ヘパイストス カシエル 地獄の炎、火葬 行わないこと、最初の注意 トカゲ、熊、カラス
2 溶解 ディオニュソス、レア、デメテル サキエル 洪水、溶融、涙、酩酊 ストーキング、個人の力 魚、蛙、亀
3 分離 オシリス、プロメテウス、 ヘラクレス サマエル 剣、解体、八つ裂き、離婚 視ること、二番目の注意 フクロウ、ビーバー
4 結合 キューピッド(エロス)、アフロディーテ、ゼウスの妻、エピメテウス ハニエル 接着剤、鎖、性行為、天使、UFOの着陸 心の道、残響、スピリチュアルウォーリアー 鹿、バッファロー
5 発酵 イシス、アテネ、ヘルメス、イエス ラファエル、ミカエル 嵐と稲妻、ブドウ、ワイン樽 味方に会う、ナワルの世界に入る 蛇、レインボーマン(ナバホ神話)、狼、コヨーテ
6 蒸留 ダイダロス、ペガサス、「レダと白鳥」、「ディアナとアクタイオン」 ガブリエル 露、雨、洗礼盤、蓮の花 明確な決意 魔法の意志 ピューマ、ホワイトバッファロー
7 凝結 ガニメデス、救世主キリスト、クリシュナ ミカエル、ラファエル 翼、黄金、石または卵、ダイアモンド、天国 完全無欠、投影、シャーマニズム的な飛行

元型との関連性を直接指摘されているわけではないが、サイト管理人が思うに千一夜物語、運命の鍵(第788夜 - 第794夜)は錬金術との関連性が深いため、一種の個性化の物語だと読むことができるかもしれない。内容はwikipedia「千夜一夜物語のあらすじ」(日本語)にて読むことができる。


参考:


ユングとタロット

1933年にユングは元型と関連してタロットについて言及している

「タロットは、あたかも無意識がその内容で遊ぶのと同じような形で我々が遊ぶことのできる象徴であり、心理的なイメージである」
「タロットは識別化された性質を持つ、一種の元型的なアイデアである」

最初のタロットデッキは、諸説あるが1440年~1450年の間に作られた「ヴィスコンティ・スフォルツァ版」であるとされている(現存していないが記録だけ残っているものを含めれば、1392年のシャルル6世のタロットがある)。14世紀後半にエジプトからヨーロッパに伝わったとされているが、エジプト起源説のほかに、ヘブライ起源説、インド起源説もある。


参考:
  • https://dominiquemakowski.github.io/archetypes/history-of-archetypes.html#archetypal-interpretation-of-the-tarot(リンク先ページダウン)
  • 能動的想像法―内なる魂との対話


ユングと十牛図

中国北宋時代の作品で、修行と悟りの10の過程を、牛と牧人との関係として10の図と詩で表したもの。ユングはこれを自己実現のプロセスに対応するものだと解釈し、牛と牧人が最終的に協調関係を結び、両者とも消える点が自己実現の最終的なありさまを示していると捉えた。

自己実現のプロセスと十牛図を関連付けた考察は数多くの人々が行っているが、そのなかには十牛図とエニアグラムを関連付けて解釈する書籍『 意識の10の階梯―意識進化の羅針盤「エニアグラム」と「十牛図」』というものもある。


参考:
  • 能動的想像法―内なる魂との対話


ユングと能動的想像法

能動的想像法(Active imagination)とは、ユングが自分自身の病的な体験(幻覚や幻視)を克服しようとした際に考え出し、実践した方法論のひとつである。夢分析とも似ているが、能動的想像法は覚醒時に意識的に行う方法である点が夢分析とは異なっている。夢と同様、様々な元型的イメージが現れることがある。

日本語の書籍『 能動的想像法―内なる魂との対話 』がある。

手順(フォン・フランツによる説明)
  1. 心を空にする。
  2. ファンタジー的なイメージが自然に現れるのを待つ。
  3. イメージと会話したり、そのイメージを書き記すことによってファンタジーの登場人物に形を与える。
  4. ファンタジーのイメージたちと倫理的な対決を行う。
  5. 結果を実生活に反映する。例えば想像の中で何らかの約束をしたのであれば、それを守るなど。

フォン・フランツは、能動的想像法を行う上で、「偽の自我」の反応と「真の反応」を厳密に見分けなければならないと注意している。例えば「浜辺でライオンを見た」というイメージが現れた時、「ただ見ているだけ」という反応をとっている状態は正しく能動的想像法を行えている状態とは言えない。もし実際にライオンを見たら、人は逃げたりびっくりするという反応をとるだろうが、想像の中でも自然にそういった「真の反応」が起こる必要があるとされている。ライオンだとわかりにくいかもしれないが、これを通り魔など明確な危険と恐怖を感じるものに置き換えて考えてみたらわかりやすい。

ただし、能動的想像法は気軽に行えるようなものではないとされている。これは、個人的成長の形式としての能動的想像法と、芸術としての想像産物を区別しなければならないからである。ユングは自伝の中で、次のようなエピソードを紹介している。それは、現われたイメージに「このイメージを芸術にすることができる」と誘惑されたというエピソードである。ここでユングはその誘惑に従わず、自分がしていることは「科学」であると強く主張して能動的想像法を続けたが、ちょうどこれと同じ態度が必要になる。

日本人の被分析者に能動的想像法を勧めたが、その結果はあまり芳しくなかったと河合隼雄は報告している。これは、日本人に限らずほとんどの人はユングと比較して活性化されている無意識の層が浅いため、どうしても意識の方が強く働いてしまい、わざとらしくセンチメンタルで安易な「解決を目指す物語」になりやすく、治療効果が薄い(実際には何も解決していないのに解決した気になってしまう可能性も考えると害ですらある)からだと河合隼雄は考察している。

そのほかにも、能動的想像法で最も重要なプロセスはフォン・フランツいわく「倫理的な対決」であるが、日本人特有の問題として「欧米人に比して倫理的態度の弱い人が多い」ため、能動的想像法の結果が実際の生き方と結びつかないという点も、能動的想像法があまり多くの人には向かない原因だと河合隼雄は考察した。

また、河合隼雄および町沢静夫は、「自我が弱い人」も能動的想像法に向かない(害になりうる)人であると指摘している。こういった人々は自我が無意識のイメージを律っしきれず、無意識に飲み込まれてしまい、精神病的症状(幻覚や妄想)が現れてしまう可能性があるからである。ユング並みの深い無意識の層を持つ場合も危険であるが、無意識が浅くても自我も弱ければ同様にこのような症状が現れる危険性がある。

河合隼雄は箱庭療法を日本に広め、素晴らしい成果を上げたが、彼はこれを非言語的に行う能動的想像法だとしている。


参考:
  • 能動的想像法―内なる魂との対話


訳注

  1. ^ Die Struktur der Seeleの初版ではユングではなくヨハン・ホーネガーが患者から聞いたとされているが、後の版ではユングが患者から聞いたものとされている。
  2. ^ 影の機能モデルは、8機能モデルやビーブモデルと呼ばれることもある。
  3. ^ エディプスはエディプスコンプレックスのエディプス。元はギリシャ悲劇「オイディプス王」からとってフロイトが名付けた用語。男性が持つ、同性の親である父を憎み、異性の親である母に対して性的な思慕を抱く無意識の傾向を意味する。
  4. ^ 生まれる前に魂が結んだ契約。人が人生を通して学ぶつもりのあること全てに関する幅広い合意が含まれている。
  5. ^ ミダス王:手に触れるものすべてが黄金になる力を与えられた王。
  6. ^ アドレナリンが分泌されるような激しい活動の中毒者。
  7. ^ 聖なる愚者、飢えと野宿に耐え、ボロボロの服を纏って身をやつしながら真理を明らかにしようとする聖者。
  8. ^ ギルガメッシュ叙事詩における不死の植物など。
  9. ^ 20世紀末。
  10. ^ ここでいう精神、すなわちパーソナリティーであり、感覚器官であり、情緒的反応を担う部分は神智学的にはアストラル体と呼ばれる。
  11. ^ 幼児の魂から子供の魂になるためには、幼児の魂における7つの段階をクリアしないといけないが、1つの段階を1回の人生でクリアできる場合もあれば2回の人生、3回の人生が必要になる場合もあるので、合計して10~15回分の転生が必要になる。そして子供の魂になったら、今度は子供の魂における7つの段階をクリアしないといけない、1回の転生に約70年かかるとして、各段階を超え、次の魂の形になるのに何百年、何千年も時間がかかる。

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