ソシオニクスのIEI(INFp)と、そのサブタイプNi-IEI、Fe-IEI
IEI
IEI (エセーニン [1] )
IEI, INFp(直観的・倫理的内向タイプ):叙情詩人
外見
IEIの視線は、拡散的で、夢想的で、瞑想的です。時には感情的な輝きを放ちます。
目はとても表情豊かで、会話相手をよく観察しています。この注意深い視線は、決して押しつけがましい物ではなく、突き刺さるようなものでもありません。ある種の冷静さによって和らげられた、穏やかなものです。
IEIの微笑み方は自然ですが、どこか自信なさげで控え目です。愛想の良い人ですが、その表現の仕方も少し控え目です。顔は表情豊かで変化に富んでいます。しばしばメランコリックな顔を見せますが、基本的にはフレンドリーな笑顔を浮かべているため、相手にポジティブな印象を与えます。
動作には滑らかさ、柔らかさがあり、気だるげな雰囲気も感じさせられます [2]。全体としては、意志の弱い、お人好しそうな人に見えます。身振りはエレガントで、軽やかさがあり、少し演技っぽく見えるかもしれません [3]。
歩き方は、フラフラ揺れるようなことはなく、まっすぐで、早く歩くほうです。軽快でのびのびとしています。ズカズカと目立つ歩き方をするタイプではありません。典型的なIEIの歩き方はもっと控え目です。時には遠慮や臆病さを感じられるかもしれません。
◆◆◆
気分が急変することがあります。こういった時は、行動が予測できなくなったり、自分の欲望のままに振舞ったりさえするかもしれません。
話し方は通常、物静かであまりハッキリとした言い方はしません。しばしば情緒的で愛情深いイントネーションになります。
人物像
生まれついての夢想家でロマンチストです。新しさ、美しさ、独創性に心惹かれます。自分の行動や発言を、繊細で優美なものにしようとします。
変わらない日々やルーチンは、このタイプの人にとっては喜ばしいものではありません。もっと非日常的な物事や、あるいは芸術を求めています。旅好きで、冒険というものを愛しています。とはいえ活発に行動をしかけるタイプではありません。IEIは行動するよりも考えるタイプだと言えます。
他の人々の合意を得ていない解決策を選択しなければならない場合は、躊躇してしまいます。
◆◆◆
言動の予測ができないことがあります。
他者に寄り添うことで、他者の気分を改善しようとします。人の弱さや欠点には寛容です。持ち前の優しさ・穏やかさによって、争いを鎮めるピースメーカーの役割を果たすことがあります。
自分の要求を拒絶しない人相手であれば、「影響力」と「必要に応じて妥協する力」の両方を発揮できます。
非常にチャーミングな人です。嫌な話をする時であっても笑顔を保ちます。ユーモアのセンスがあります。
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人と喧嘩するのは苦手ですが、気分のむらは激しいほうです(笑いから涙まで、幅広く変動します)。他の人々と積極的に問題を共有するほうです。他者からの共感とサポートを必要としています。
辛いことがあれば悲しみますが、それでも最高の結末を迎えられるという希望を捨てません。
Ni-IEI
外見
穏やかで、機転が利き、物憂げで控えめな人です。不活発で、どこか浮世離れしていて、現実生活にあまり適応していない人に見えます。
しかしこの印象は誤りです。
彼らは優れた直観力を持っており、それによって有益な人脈を築き、有力者のサポートを得ることができます。
外見上は穏やかですが、内面的には感傷的で、よく不機嫌にいなったり憂鬱になってしまったり、あるいは自分の失敗や不運を長く悔やみ続けることがあります。
◆◆◆
表情はやや単調なほうですが、少し驚いたような表情を見せたり、会話相手に興味を示したりすることが多いです。
視線は夢を見ているように物思いに沈んでいることが多いですが、少しの緊張と輝き、憂鬱さ、周囲へ向けた注意、それから皮肉が見られることもあります。
話し方は滑らかで、控え目であり、心からの親密が込められています。礼儀正しく、やや微笑んでいることが多いです。そのため容易に他者から信頼を得る傾向があります。
身振りは控え目で、誇示的なところはなく、内気さが感じられるものです。歩き方はゆったりとしていてスムーズです。
人物像
思いやりのある優しい人です。内面的には夢想家でロマンチックなところがあります。連想的、比喩的な記憶力に優れており、過去の経験を細部まで鮮明に思い出すことができます。
あまり自分に自信があるほうではありません。そのため、自分が決定的な発言や行動をとらなければならない時には、本当にこれでいいのかと疑ってしまったり、躊躇ったりする傾向があります。
焦って物事に取り組むのは好みません。その裏返しで、仕事の遂行や問題解決に時間がかかることがあります [4]。過去を振り返り、あらゆる失敗や不運な出来事を思い出し、そこから未来へ役立てられる教訓を見つけ出します。
直観が鋭く、短期的な見通しを立てることができますが、あらゆるものを理想化してしまう傾向があるため、過大評価してしまうこともあります。どんな苦境に立たされても、未来はきっと今よりも良くなるという希望を失いません [5]。
自分がリーダーシップを発揮することに憧れはありません。組織を運用することは、彼らにとって難しく、疲れることです [6]。実践的な経営や生産活動よりも、知的な活動を重視します。
変わらない日々、ルーチン、単調さ、ステレオタイプ、慣例、厳格な秩序、ルールや規則に従わなければならないこと。Ni-IEIは、こういったことを嫌います。普通では見られないような不可思議な現象が大好きです。真新しい経験を求めており、面白い人や変わった人に心惹かれます [7]。
奇抜なアイデアや革新的なアプローチを積極的に受け入れて推進しますが、新しい事業には慎重なほうです [8]。新しい事業に臨む場合は、自分よりも積極的でエネルギッシュにな人に主導権を譲ります。しかし必要性に迫られれば、優れた外交能力を発揮することで、「柔軟な人間関係を重視しない、率直でせっかちな人 [9])」であれば諦めてしまうような事業を、成功に導くことができます。
争い合う人がいる場合、どちらか片方の肩を持つのではなく、両者を和解させようとします。
◆◆◆
仕事では、無関係な細部に気を取られてしまって、もっと重要なタスクを完了させるための時間が足りなくなってしまうことがあります。
家庭や職場では、それが創造性を刺激するのであれば「整理整頓できていない混沌とした状態」を許容するかもしれません。
現実的で倹約家ですが、計算高いほうではないため、大きなチャンスを逃してしまうことがあります。強い影響力を持つ人を尊敬します [10]。
道徳的、身体的、物質的なサポートを必要としています。うっかり約束を忘れてしまうことがありますが、その場合はできる限りのことをして埋め合わせしようとします。
◆◆◆
他者に対して敏感で、気配りができる人です。誰とでも公平な関係を保とうとします。他者の欠点や弱点に寛容です。
慣れ親しんだ人間関係を好むため、あまりうまくいかなくなっても、すぐに関係を断ち切ろうとはしません。忍耐強く待つことができ、どんな状況にも適応できます。
親しい人たちとの良好な関係を保つために、相手の要望に応え、実践的な能力を身につけ、学校や職場で活躍し、家庭の責任を果たそうとします。
Fe-IEI
外見
このサブタイプの人々は、魅力的で、情緒豊かで、ソフトな人という印象を与えます。ひらめきに富んでおり、楽観的に見えます。
ユーモアのセンスがあり、自分の問題や失敗を笑顔で話すことがあります。皮肉屋で狡猾なところがあり、行動や会話に一貫性がなく、予測不可能です。不意に相手を非難したかと思うと、すぐに抱きしめてキスをするような、独特の「コントラスト」を見せることがあります。
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芸術的でチャーミングです。「これは話さないほうがいいだろう」というような制限無しに会話をする方です。時にはそれが親しみに見えたり、不謹慎さに見えたりするかもしれません。
他者との心理的距離を縮めるのが上手です。思いやりがあり、機転が利き、気遣いができます。単純に自分の魅力だけで、自分に興味を持たせ、好意を抱かせることができるという素晴らしい才能を持っています。また、人を説得するという才能にも恵まれています。相手が断りにくい形で頼みごとをします。
動作は洗練されています。歩き方は優雅で、早く歩くほうです。話し方は感情豊かで、陰影に富み、時にメロディアスです。
人物像
情緒豊かでチャーミングな人です。初対面の人とも自然に打ち解けて、持ち前の温厚さと誠実さで信頼を得ることができます。一味違うことをしたり言ったりすることで、他の人々を笑わせ、明るい気持ちにさせます。
人の感じていることや「場の空気」を読むことに長けています。それを活かして、目標達成のための有益な人脈を築いて維持したり、自分の中の構想を実現するのに最も適した候補者を探し出すことができます [11]。人それぞれに適したアプローチを見つけ出すのも上手です。
断りにくい形で他者に要求を伝えることが多いです。本質的には独立心の強い人です。また、衝動的で行動が予測できません。即興で行動することが多いです。
自分が何を感じているのかを、あまりはっきり表現しないほうです。例えば、交流の恩恵を感じられないと彼らが感じた場合、口で何かを言う代わりに、黙ってその人と距離を置こうとします。重要な決断を下す際は他の人に相談しますが、そのアドバイスに従わないこともあります。
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エレガントで、人に好かれるのが上手いほうです。すぐに人を褒めます。注目を浴びるのが好きです。比喩を交えたユーモアのセンスが洗練されており、それを用いて自分の経験談を語ります。
自分から進んで、争い合う人々を巧みに仲直りさせます。しばしば皮肉を言ったり嘲笑することはありますが、このサブタイプの人々は、たとえ嫌なことを言う時であっても、まるでジョークを言っているかのように笑顔で言います。
◆◆◆
他者からの賞賛と励ましを強く求めています。自分の仕事に対する批判や、自分の努力が評価されないことに敏感なほうで、こうした状況では生産性が低下してしまいます。その一方で、他者からの賞賛は自信につながります。それを励みに困難を乗り越えようとします。
本質的には非常に傷つきやすく、自分の失敗を痛烈に受け止めてしまうほうです。内面的に様々な矛盾を抱えており、そのせいで気分が急変しやすいです。それまで笑っていたかと思うと急に泣き出したり、あるいはその逆に、といったことが起こります。
新しいアイデアがあるとすぐにやる気に満ち溢れますが、その実現に多くの忍耐と努力が必要な場合は、すぐに興味を失ってしまいます。
自分の正しさを証明しようとする時には無我夢中になります。基本的に、他の人からのアドバイスを受け入れられるのは、落ち着きを取り戻してからです。それも、次に感情が爆発するまでの期間限定のことかもしれません。
強い意志を持ち、有能で、エネルギッシュな人 [12] からのサポートを必要としています。
◆◆◆
やや疑り深く、それでいて他者からの提案には影響されやすいほうです。自分の問題を積極的に他者に共有して、同情、理解、サポートを求めます。自分の肉体的な苦痛や個人的な苦しみを、積極的に開示しようとする傾向があります。
危険を察知したら、不安で落ち着きのない気分を周囲の人々に伝えます。泰然自若な態度をとってみせることがありますが、これは他者に好印象を植え付けるための戦術に過ぎません。
時には危険な状況でも大胆不敵に振舞って見せることで、周囲に感嘆と畏怖の念を抱かせることもあります。彼らの落ち着きや穏やかさが伝わった周囲の人々は、日常の悩みや問題から距離を置くことができます。
◆◆◆
体の動かし方は優雅で、洗練されたマナーが見られます。おしゃれに着飾っています。
几帳面に家事をこなします。美的センスがあり、装飾品や飾りつけを好みます。心地の良さを好み、自分の身だしなみだけではなく、他人の身だしなみにも気を配ります。
浪費家で、経済的な人ではありません。いらないものを買うこともあります。ちょっとした買い物ひとつでケチケチする人のことを嫌います。物質的なものにあまり価値を見出さないため、せっかく何かを買っても、扱い方が雑なこともあります。
人と貸し借りしたまま、長い間それを忘れてしまうことがあります。
訳注
- ^ セルゲイ・エセーニン:ロシアの詩人。
- ^ 二分法「非合理」
- ^ 第2機能がFe。
- ^ こうした特徴を持つNi-IEIの場合、自分のNiが4次元性であることに気が付きにくいかもしれない。関連記事「4次元性機能の特徴とタイピング時の注意点」
- ^ ソシオニクスではなくユングのタイプの話になるが、ユングのタイプ論─フォン・フランツによる劣等機能によると、外向感覚型(劣等機能が内向直観)は、その劣等機能の働きの影響を受けて、暗い未来予想に執拗に悩まされると説明されている。
^ 第4機能(脆弱機能)がTe。Ni-IEIは不活性サブタイプなので、この脆弱機能としての特性がより強調されて描かれている。IEIのこうした描写は、典型的なベータ・クアドラとは少しズレる描写である。
関連記事
「ベータクアドラ・コンプレックス」
「社会的進歩リング」
社会的進歩リングの記事では、なぜIEIはベータ・クアドラなのに、社会の中心から押し出されてしまいそうな描写になるのかが説明されている。^ 面白い人物に惹かれる等の特徴はIEE(Neを第1機能に持つ直観倫理タイプ)と似ている。ちなみにIEIのNeは第7機能である。
第7機能は第1機能と同じく「受容」かつ「不活性」となる機能であり、これらの機能は「終わることのない分析・研究・調査・検証を行う」と言われる(関連記事「機能の特殊化 by Tsypin」)。
以下はIEIとIEEのタイプ判別に対する本サイト管理人の考察:
第7機能には「無視」機能という呼び方と「監視」機能という呼び方があるが、「無視」という観点から描く第7機能の説明(wikisocionの第7機能の説明など)と、「監視」という観点から描く第7機能(本記事の著者のMeged and OvcharovやStratiyevskayaなど)との間には、第7機能をどの程度積極的に、継続的に使うかという点で描写のブレがあるように思える。(ちなみに第7機能は「制限」機能と呼ぶこともあるが、Gulenkoの描写には「無視」と「制限」をミックスしたようなニュアンスがある(関連記事「モデルG 機能の位置と性質」インフレーションブロックの⑧統制の説明より))。
この描写のブレのため、IEIかIEEかで迷うような人物のタイプ判別をする場合、NiとNeに着目するのは悪手かもしれない。文献ごとの第7機能の定義の差が大きいので、どの定義に合わせるかで結果が変わってしまうからである。
さらにいえばIEIはクアドラからの判別も難しいタイプであるため(注釈 [6] 参照)、サイト管理人の個人的な考えを言えば、両タイプを判別する場合は、機能ではなく二分法「静的/動的」に着目すべきではないかと思う(あるいは、静的/動的から派生した認知スタイルであるヴォーティカル・シナジェティクス的(IEI)と、ホログラフィック・パノラマ的(IEE)を比較するか)。
多くの場合、タイピングは第4機能の特定から始まりそうな気がするが、IEIとIEEの場合、第4機能と第6機能の比較になるため、判別が難しい可能性がある。第4機能は超自我ブロックの機能であり、本人も必要性自体は痛いほど理解している可能性がある(特にTeは現代社会で仕事をしている人なら多かれ少なかれ嫌でも求められる情報要素であるため、意識して学習し、高レベルなアウトプットができるまでに至ったIEIは少なくないのではないかと思う)。第6機能は、必要性は理解しているものの、あまりにもそれに関する情報が多いとストレスになる機能だと言われているが、この点が第4機能的な痛みと見分けにくいかもしれない。
次元性に着目した場合であっても、同様に第4機能(1次元性)と第6機能(2次元性)の判別は難しいように思う。なぜなら後天的学習によってTeの経験と学習を重ねているIEIの場合は特に、内省や会話の上では、あたかも規範パラメータ(2次元性)を持っているかのような、規範的に見て正しい回答を容易に出すであろうと思うからである(関連記事「1次元性機能の特徴とタイピング時の注意点」)。
こうした理由から、機能ではなく二分法(少なくともモデルAの機能以外の何か)に着目するほうがいいのではないかと思う。
ここで「静的/動的」としたのは、Gulenko, Tyspine, Popovといった複数の専門家が、「静的/動的」「プロセス/結果」を後天的な影響による変化が比較的少ない(つまり「タイプ」という先天的なものを判定する際の根拠に適している)要素だと考察しているためである。IEIは動的かつ結果タイプであり、IEEは静的かつ結果タイプである。
- ^ 第7機能 Neと第4機能 Te。
- ^ 例えばLIE。
- ^ 第5機能 Se。
- ^ 自分の目標を達成にあたって、実際に手を動かしてくれる人を探すのが上手いとされている点は、IEEと似ている。関連記事「IEE(ENFp)by Stratiyevskaya」
- ^ この特徴を持つのが、IEIの双対であるSLE。