この記事に関連するタイプ:LEVF, LFVE, ELVF, EFVL, FLVE, FEVL
概要
第3機能はI- You-(「自分のことはよくわかりませんが、あなたの意見も疑わしいです」)の機能である。
ここにVの側面(意志的な側面;意思決定、意志力、個人の方向性、欲望、目標、責任、権威、権力、自制心、精神力、モチベーションなど)がくるタイプには、サブタイプに関わらず多かれ少なかれ以下の特徴が見られる。
- 他者の願望や目標よりも、自分の願望や目標の実現に焦点をあてる。
- 他者が自分とは違う望みを持っているかもしれないという可能性にあまり思い至らない。
- 目標形成と実行のプロセスに意識を向ける傾向が強い。多くの時間をかけて「本当に自分はそれを望んでいるのか」「その目標は自分にとって本当にふさわしい目標なのか」と考え続けたり、他の人と何度も話し合ったりしようとする。
- モチベーションの維持や目標形成において、他者のサポートを必要としている。
- 望む望まないにかかわらず、外部からの影響を受けやすい。
- 意志の側面では、他者からの評価をかなり気にしている。そのため見栄を張ってしまったり、逆に極力批判されないよう黙り込んだりすることがある。
サブタイプ
3V-1
1Vに似た3V。この3V-1というサブタイプは、あまりサイコソフィアに詳しくない場合(特に「サイコソフィアの機能順序は、顕著に表れている側面や強い側面を順番に並べたものだ」と誤解している人の場合)、1Vよりも「1Vらしく」見えてしまうようなサブタイプである。
概要で紹介した特徴のうち、「他者の願望や目標よりも、自分の願望や目標の実現に焦点をあてる」「他者が自分とは違う望みを持っているかもしれないという可能性にあまり思い至らない」という特徴が比較的強く表れやすいサブタイプ。
3V-1は、いつも世論や社会、あるいは周囲の人々の怠惰さや無気力さと闘っているような人たちである。とても高い目標を掲げ、自己実現のために様々な活動をしていることも多い(隠れて行うのではなく、なんらかの形で「私はこんなことをしている」と見せびらかすようなところがある)。このサブタイプの場合、人の意志ではどうにもならないような運命について思い悩むことも多い。
ステレオタイプな3Vの気弱さは全く見られず、むしろかなり自信に満ち溢れていて、高圧的なところがあるため、1Vと混同されることがよくある。
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- 3V-1と1Vの違い:
3V-1は、1Vよりも「他者の意志や目的に反抗する」「世間一般的に良しとされている風習に反抗する」といった反抗的なスタイルが目立つ。
これはそもそもあまり自分の意志の側面に自信を持っておらず、不安になりやすいことの裏返しである(一般的には忠誠心が高いとか、他者依存的と言われることの多いエニアグラムのタイプ6でも、一部のタイプ6 ─ タイプ6sxや対抗恐怖の強いタイプ6は不安に対する防衛反応のために攻撃的で反抗的になることがあるが、これはそれに似ているかもしれない)。
一方1Vは「他人の意志がなんであろうと、自分の意志には関係ない」というのを、無意識レベルに、それが当たり前の自然の摂理だというくらいの確信をもって感じているため、自分の意志を邪魔されない限りは、わざわざ意志の側面に関わる話題を持ち出そうとさえしない傾向がある。
(これは意志Vに限らず、サイコソフィア第1機能に見られる一般的傾向でもある。サイコソフィア第1機能と第4機能は人にとって無意識的なものであり、第2機能と第3機能は意識的なものであるため、人はサイコソフィアの第1機能の側面よりも第2機能や第3機能の側面により意識や注意を向けようとする。第2機能には楽しさや創造性を感じるが、第1機能にはあまりそういった楽しさも感じないため、人のライフワークになりやすいのは第2機能や第3機能のほうである)
3Vは、意志の側面で上手くいかないことがある時、つい他責的になって周囲の人々や社会を批判し始めることが多い。3Vは他者の意志の影響に弱いため、本人が望む望まないにかかわらず、何かをする時には少なからず他者の意志の影響を受けてしまう。そうした「不本意な影響」への不満に火がついてしまうのである。
それに対して、1Vは失敗を外的要因のせいにすることはほとんどないという違いがある。1Vは良くも悪くも「他者の影響を受けにくい」ため、何であれ自分が行っている活動に「自分以外の誰かの意志の影響」が不本意な形で混ざっていること自体がほとんどない。
3V-2
2Vに似た3V。3V-1や3V-4と比べると、3V-2はもっとずっと調和的で穏やかそうな雰囲気の人であることが多い。
概要で紹介した特徴のうち、「目標形成と実行のプロセスに意識を向ける傾向が強い」「モチベーションの維持や目標形成において、他者のサポートを必要としている」という特徴が比較的強く表れやすいサブタイプ。
「自分と同じ目標を共有できる人が周囲にいる環境」や「同じ目標に向かって、皆で努力できる環境」を好む。他者が目標達成やモチベーション維持で困っていれば、進んでサポートすることもよくある。個人で行う活動よりも、チームで行う活動の方が性に合っていると感じるタイプ。
できれば人と目標を共有できるほうが良いとは思うものの、それができない人がいたとしても、無理に「自分と同じ目標を持て」と押しつけたりはしないほう。
意志の領域の話題(例えば将来の計画の話など)を他者と話し合うのが好きな点から、3V-2は2Vに間違えられることがある。
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- 3V-2と2Vの違い:
3V-2は、一人だけではモチベーションが維持できないことが多い。一方、2Vの場合、一人でやっていても、他の人と一緒にやっていても、あまりモチベーションにへ影響しないことが多い。
3V-2の場合、他者の目標や願望に影響を与えるというより、影響を受けることのほうが多い。
例えば高偏差値の進学校に入ったら、周囲の雰囲気に引っ張られて自分も高偏差値の大学を目指すようになるし、卒業したらすぐに就職する人が多い学校に入ったら、自分も熱心に就活を始めるようなタイプである。同級生や親からの影響を受けたり、模試の判定結果が悪いとすぐに自信を無くしてしまったりして進路を二転三転することも多い。
一方2Vの場合、他の人と進路の話をするのは大好きではあるものの、どちらかというと2Vは影響される側というより影響する側になることが多く、他の人が2Vと同じような進路を目指すようになることのほうが多い。
もしも自分が周囲の人々とは全く異なる進路希望を持っていたとしても、そのことにあまり不安を感じたりもしない。
3V-4
4Vに似た3V。3V-4は、3V-1と同じように高い目標を掲げて、それに向かって懸命に努力するような在り方を理想的に思うものの、それと同時に「自分にはできない」とあきらめているようなところがある。また理想が高すぎるため、周囲のほとんどの人も自分と同様に「ダメ人間」のように見えてしまう。
概要で紹介した特徴のうち、「望む望まないにかかわらず、外部からの影響を受けやすい」「意志の側面では、他者からの評価をかなり気にしている」という特徴が比較的強く表れやすいサブタイプ。
このサブタイプの人は、他の3Vと同じく一人で自信を持って目標を立てたり、モチベーションを維持し続けていることに難を抱えているが、同時に「自分と同レベルでダメ人間」にしか見えない周囲の人々を信頼できず、場合によっては軽蔑していることさえあるため、他者のサポートを借りる必要があるのに借りられずにいたり、意志の側面を介したコミュニケーションを円滑に行えないことが多い。
人から批判されることも非常に恐れているため、こうした暗い内面や理想を表に出さず、ただ黙っているだけの人になることも多い。あまり意志の側面で自己主張しない点から、4Vに間違えられることもある。
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- 3V-4と4Vの違い:
3V-4が望んでいるのは、無気力に人生を浪費していても問題ない環境ではなく、「自分が目指すに相応しい壮大な理想を見せてくれるような実力者やリーダー、指導者がいて、それに従っていればいい環境」である。
そうした条件が満たされているヒエラルキーが明確な組織に所属し、さらにいえば自分が好きに意志の側面で主張できる相手(つまり自分よりヒエラルキーが下位の人間)もいれば、この3V-4は生き生きと過ごすことが出来る(逆に言うと、そのような理想的環境は稀であるため、フラストレーションばかりが募ってしまったり、そうした理想とは程遠いように見える周囲の人間に八つ当たりしてしまうのである)。
それに対して4Vはそもそもそのような壮大な理想を求めておらず、意志の側面で周囲の人々を軽蔑したりすることもない。
他者から意志的な圧力をかけらえた場合(例えばいきなり他人本位の目標を押しつけられたりした場合)、3V-4は強烈な不満を感じて、なんらかの形でそれに逆らったり、無視しようとすることもある。
一方4Vの場合、あまり何も感じずに黙ってそれに従うことが多い。